竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

誰がために鐘は鳴るースカイライントレイル菅平2018応援感想記2

6月10日のスカイライントレイル菅平では、応援者としてコース上に出没しながら、鐘ではなく小さなカウベルを鳴らしていました。
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BUFFのノベルティカウベル、大活躍でした。
左腕に骨折の手術による痛みがあり、拍手で応援するのは辛いのですが、カウベルなら片手を振るだけでカラカラと元気に鳴り続けてくれます。

菅平牧場で山ツツジに囲まれてカウベルをカラカラ鳴らしているとき、ずいぶんと妙な気分になりました。
自分がその手の妖怪(水木しげる的なそれ)になってしまったような気がするのです。
山道でトレイルランナーを待ち伏せしてカウベルを鳴らす、妖怪「カウベル鳴らし」。
もしくは妖怪「カウベル」にとりつかれてしまったような感じ。
手が勝手に自分の意思を離れてカウベルを鳴らしている、もしくは自分の意思と無関係にカウベルが鳴っているような感覚といえばいいのでしょうか。
そんな気分になりました。
まあ、たとえ妖怪だとしてもうるさいとかうざいとか、それ以上の害はなさそうなのが救いですが。

そんな妖怪カウベル鳴らしである私ですが、カウベルを鳴らして選手を応援するのは本当に楽しいものでした。
自分が参加していなくても、周辺でウロチョロ遊んでいるだけで十分楽しいのです。
今回は応援に徹したことで、私がいかにトレイルランニングというスポーツが好きで、トレイルランナーが好きなのか、ということがよくわかりました。
このスポーツに触れていることが、私の楽しみであることは間違いありません。
私の手で鳴っていたカウベルは、第一に私の楽しみのために鳴っていたのでしょう。
そのカラカラという音が、結果的に私のためだけではなく、選手の力になるのであればそれは幸せです。
鏑木さんの著書『プロトレイルランナーに学ぶ やり遂げる技術』には、誰かのためにと自分のためにを使い分けるというテーマがありました。
そこで鏑木さんは以下のように語っています。

「自分のために」走ったことが、回り回って「誰かのために」なるのです。この順番を間違えてはいけません。

この、まずは自分のために、という心がけは大切なものだと私も思います。
私は私の楽しみのために、トレイルランナーとトレイルランニングを応援する、という基本を忘れないようにしたいと思います。

BUFFのカウベルの片面には、FLAT IS BORING!!
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私はこのスローガンが大好きです。
そうだよね、起伏がないとつまらないよね。
山に行かないと面白くないよね。
なんて、身を乗り出して同意してしまいます。
骨折の影響で、しばらくは「トレイルランニングをすること」からは離れざるを得ない状態の私ですが、だからといって起伏のない所ばかりで生きていては面白くありません。
そして、トレイルランニングはなにも、走るだけがトレイルランニングではないのだと思いたいのです。
退屈になったら、またどこかの山の何かのレースで、妖怪カウベル鳴らしと化してトレイルランナーを待ち受けていたいと思います。
そして、うちにはカウベルがもう一つ。
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UTMFのPERTEXブースでもらった一回り大きなカウベルには、いつ出番が来るでしょうか。
まずは自分のために、鳴らしたいと思います。

出ないけど出るースカイライントレイル菅平2018応援感想記1

出ないけど出るといっても、幽霊やら山村貞子やらのお話ではなく、あるトレイルランナーが出ていないレースのコース上に出たというお話です。
6月10日に開催された第11回スカイライントレイル菅平に、賑やかしの応援に行って来ました。
友人Bさんが50kmのスカイマラソンに出場したので、私もくっついて行ったのです。
私も50kmのスカイマラソンにエントリーを予定していたのですが、4月に骨折した影響で参加を見合わせていました。
それでも、私自身はトレランができなくても、トレランの周辺でウロチョロしていたかったのです。
また、昔ラグビーをしていた私にとって、菅平は思い出深い土地でもあります。
この土地の思い出はラグビーとトレランのそれなので、汗臭いことこの上ないのですが、好きなスポーツにドップリとつかっていた時間は楽しいものでしかありませんでした。
好きな土地に再訪して、好きなトレランの雰囲気だけでも楽しんできました。

今回はダボスの丘と、その後余裕があれば菅平牧場まで行く計画を立てて行動しました。
ダボスの丘まではバスで行きました。
菅平高原内は100円で移動できるみたいなので、時間さえ合えばバス移動はお得です。
8時にダボスのバス停に着いてから、スキー場のゲレンデに付けられた階段を登り切ると、ダボスの丘のシュナイダー記念碑に到着します。
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菅平高原を一望。
この時、時刻は8:10でした。
既にスカイマラソンのトップ選手は通過していましたが、一桁順位の選手には数人間に合いました。
この日の相棒は、UTMFのBUFFブースでもらったノベルティカウベルです。
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使う機会が滅多にないので、ここぞとばかりに鳴らしました。
出場した友人Bさんを見送るまでの1時間ちょっとの間、この丘で鳴らし続けていました。

ダボスの丘からはこの先のコースを見渡すことができます。
四阿山(右)と根子岳(左)、その裾野に広がる菅平牧場。
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四阿山は中腹くらいまでしか見えていません。
選手はこの先菅平牧場を通り抜けた後、四阿山の中腹まで登ります。
そこからいったん牧場に戻ってきてから、根子岳の山頂まで登り切ります。
この日は写真のような曇天で、比較的風が強く吹いていました。
当日のアメダススクリーンショットです。
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予報では午後から雨ということでしたが、なんとか持ちこたえて、ずっと曇りのままレースが終わりました。
最初のうちは、雨が降るのなら菅平牧場まで行くのはやめようと思っていましたが、1時間予報でどんどん降り出し予想時刻が遅くなっていったので、とりあえず向かうことにしました。

丘を菅平プリンスホテル方面に下り、道なりに登って行くと菅平牧場にたどり着きます。
下る途中でアヤメだか花菖蒲だかカキツバタだか、よくわからないけれどきれいな花が咲いていました。
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菅平牧場には30分くらいで到着し、ゲートで200円の入場料を支払って中に入ります。
はじめは直接エイドまで行こうかと思っていましたが、ゲートの近くにコースが見えていたので、コースを遡りながら応援することにしました。
菅平牧場は山ツツジが満開でした。
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牛は山ツツジを食べない、そんな話を前回か前々回大会の前夜祭で聞いた記憶がありますが、それゆえツツジの木が立派に育つそうです。
ツツジに囲まれてカウベルを鳴らしながら、坂を下ってくるBさんを無事に見送った後、エイドまで登って行きました。

エイドでは選手が次々と到着しては出発していきましたが、私は邪魔にならないように、エイドの近くにあった牧場の施設で休憩していました。
ソフトクリームとカフェオレをいただきながらくつろいでいました。
この日はアメダスの数値以上に風が強く、外で待つのは少し辛かったのです。
その後、中四阿山からの下山口に移動して、またカラカラとカウベルを鳴らしながらBさんを待っていました。
ここでは応援仲間が数人いて心強くなりました。
選手と同じで、応援も一人では心細いのです。特にお一人の方とはダボスの丘でも一緒でした。
自然と仲間意識が湧いてきます。
私にとって肝心のBさんは、12時10分過ぎに中四阿山から下山してきました。
エイドまで一緒に歩きながら、今後の天気予報や根子岳までの標高差の情報を伝えるなど、サポーター風味の会話をしたはずなのですが、疲れていたBさんにどれだけ伝わったかはわかりません。
せめてエイドインして、一息ついてから話すべきだったのかもしれません。
反省事項です。

根子岳に登るBさんを見送ったあとは、フィニッシュ会場近くにある宿に戻り、一風呂浴びて昼食を取りました。
屋台村のタンドリーチキン、菅清園のお焼き、美味しゅうございました。
四度、カウベルを手にコースに出たのは14時30分過ぎでしょうか。
最後のゲレンデでカラカラとカウベルをひとしきり鳴らして、15時頃にフィニッシュ会場に移動しました。

この頃になると、もうランナーの顔を覚えていました。
もともと私は人の顔を覚えるのが得意なのですが、既に何度も顔を合わせている選手とは、古くからの知り合いのような感覚になります。
選手にしても、色々なところでカウベルを鳴らしているおじさんを見て、さすがに顔を覚えてしまっていたようです。
御礼とかは求めてないので、せめて、おっさんまた出たなくらいに思ってくれていれば、私にとっては幸いです。
出場してなくてもコース上には出る、この日はそんな日でした。

一方の私は、選手が次々と帰ってくる姿を見ては、順位が上がってるなとか、転んじゃったのかなとか、色々な思いが湧いてきますが、基本的には嬉しくなりました。
ちょっとしか知らない、トレラン姿しか知らないほとんど他人な人でも、無事に帰ってくるだけで嬉しいのです。
この気持ちはトレイルランナーに対する仲間意識に由来するものなんだと思います。
フィニッシュ会場でもカラカラとカウベルを鳴らし続けました。
今でなければいつ鳴らすのだと、カウベルに言われているような気分になったとかなっていないとか。
それでも仲間を労う気持ちで鳴らしました。
本来ならば私も参加していたはずなのですが、骨折のために出場を見合わせざるを得なかったのは本当に残念です。
その私の残念感を、帰ってくる選手達がいたわってくれているような気にもなっていました。
力をもらうというのとは違うのかもしれませんが、少し自分が癒されるのを感じていました。
そしてBさんが帰ってきます。
無事に帰ってくるだけで何よりですが、好記録でのフィニッシュでした。
Bさんは距離が短かった昨年のスカイマラソンに引き続きの完走でした。
昨年は宿に戻ってから帰りのバスまで35分しかなかったのですが*、今年は1時間以上の余裕をもってフィニッシュしました。

http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/06/21/001801
この大幅な上積みは純粋に素晴らしいと思います。
できれば来年は私も、出ないけど出るとか言ってないで、ケガから快復して出場できるようになっていれば良いのですが。

思い出はいつの日も晴れースカイライントレイル菅平2018予報

来る6月10日のスカイライントレイル菅平2018には50kmのスカイマラソンに出場するつもりでしたが、4月に骨折した影響で参加できなくなりました。
房総トリプルマスターの特典でエントリーが無料だったのですが、とてもトレランができる状況ではないため招待を辞退しました。
この大会には今まで楽しませてもらったので、せめてボランティアをしようかとも考えました。
しかし、まだ骨がくっついていないため重たいものが持てず、逆に足手まといになりそうなので、それも参加を見合わせました。
2kgを超えるものが持てないので、エイドの水のペットボトルすら運ぶのに難儀しそうです。
ボランティアは骨がくっついてから考えたいと思います。
とはいえ、昨年に引き続き今回も赤備えコンテストのチラシモデルになったため、大会に全く無関係なわけでもありません。
チラモの一人として、大会の盛り上がりや楽しさに貢献できたら幸いです。

私の書いた2016年と2017年の大会関連記事を、この記事の下の方にまとめました。
今大会はコースが延びたり一部変更になったりと、書いた当時の条件とは違うところがあるため、そういう意味ではどこまであてになるかわかりませんが、何かしら参考になればよいなと思います。
ちなみに、昨年と一昨年は両年とも前日受付は雨、レース当日は快晴、という天気でした。
晴れた日の菅平は、開放感からの解放感にあふれた景色が魅力的です。
2017年大会のスカイマラソンの序盤、大松山から振り返ってコース終盤を仰ぎます。
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中央右のピークが日本百名山四阿山、左の緩やかな山が先日の変更によってコースに加わった根子岳です。
根子岳に登れるなんて、今年のコースは今まで以上に楽しくなるような気がしています。
まあ、私は出走しないのですが、それだけに羨ましくなります。

レース中は至るところから、残雪の日本アルプスを遠望することができます。
コース序盤、スカイライントレイルから。
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コース中盤、牧場脇の登りから。
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コース終盤、小根子岳から。
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どーんと目の前に。f:id:CHIKUSENDO:20180601004529j:plain
白と青の壁みたいに聳え立ちます。
今年も晴れて、こんな景色が見られることを祈っています。

こんな晴れた日の菅平ですが、最大の悩みは強烈な太陽光線です。
開放感の裏返しで、コース上は遮るもののない場所が多く、まぶしさや熱さに苦しむこともあるかと思います。
私も2年続けて太陽に苦しみました。
また、雨が降ったとしたら、それこそ遮るもののない場所が多いので、風雨にさらされる時間が長くなる危険性があります。
特に根子岳のような2000mを越える高山帯は、酷く寒くなるのでしょう。
雨にならないことを祈っていますが、対策バッチリで行きたいものです。
選手の皆様、なにとぞご無事で!

2016年大会レポート
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2016/12/20/014205

2017年大会予報
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/06/10/000003

2017年大会速報
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/06/11/221400

2017年大会レポート1
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/06/13/191516

2017年大会レポート2
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/06/15/191357

2017年大会レポート3
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/06/19/235029

2017年大会余録1
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/06/21/001801

2017年大会余録2
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/06/23/224011