竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

まだまだ半人前のリタイアーFTRみなの50K2022レポート2

2022年6月26日に開催されたFTRみなの50Kに出場し、熱中症疑いのため30km過ぎの地点でDNFしたお話の第2段です。
A3皆野スポーツ公園を出発してから15分弱歩いた先のコース上で、レースをやめることを決めました。

決断の時刻、正午のチャイムが鳴ったときには、道路をくぐるトンネルの前にいました。
最後の望みをかけてスマホを開いて天気予報を確認します。
気温が下がる予報ではありませんでした。
当日の予報では最高気温35℃ということでしたが、実際にはもう少し低かったようです。

皆野町のお隣・秩父市の実績では33℃弱でした。
しかし、スマホを開いた時点では35℃の予報値が表示されています。
このトンネルの先に進んでいくことはできない。
入り口で踵を返し、少し戻ったところにいた誘導のスタッフにリタイアする旨を告げました。
熱中症疑いで気力が低下している、足腰は大丈夫だから会場まで自分の足で歩いて帰る、多分そんな話をしたと思います。
スタッフの方々は大会本部に連絡を取っている間、彼らが座っていた椅子を勧めてくれました。
私はかなり高レベルの汗っかきで、シャツもズボンも滝に打たれた直後なのかというくらいにずぶ濡れです。
座ってしまうと椅子がびしょ濡れになってしまうので始めは断りましたが、ご厚意を無にし続けることもできず、結局椅子に座って待つことにしました。
スタッフとしては、熱中症疑いの選手を炎天下に立たせておくことは良心が許さなかったのでしょう。
ありがとうございました。

少し経ってから大会本部との連絡がつき、体調が悪くなければA3に戻ってそこで計測タグを返還してほしいとの要請がありました。
繰り返しになりますが足腰には問題がないので、ゼッケンをとりあえず裏返しにして、リタイアした感じを前面に出しながら、歩いてコースをさかのぼり始めます。
先へ行く選手とは何人もすれ違いましたが、一緒に出場したBさんにも会い、リタイアして会場に戻る旨を報告しました。
Bさんはその後、無事に完走を果たしています。
すれ違った選手の何人かからは、ねぎらいの言葉をかけてもらいました。
ありがとうございました。

炎天下のA3に帰り着いて計測タグを返還し、正式にリタイアが確定しました。
その後本部にも立ち寄ったのですが、特にそこではやることがなく、預けていた荷物を受け取ってしばし休憩することにします。
会場の屋台には前日から目を付けていたのですが、迷うことなくかき氷を注文しました。
山の水を使った氷とのことで、食べる前からちむどんどんします。
残念ながら写真はありません。
注文しながら、暑くてリタイアしちゃいましたあっはっはー!なんて話をしていたら、身体を冷やさないといけないから大盛りにしちゃいますね、なんていうご厚意をいただきました。
以前も経験したことですが、リタイアすると皆が優しくしてくれます。
非常にありがたいことです。
ただ、癖にならないようにはしないといけないなとは思います。

かき氷を食べようと移動しようとしたところ、「○○番の人ですか?」と、先ほど連絡していた大会本部の方から話しかけられました。
その方に近くの日陰に休める場所を作っていただきました。
その方は皆野町側の実行委員会のメンバーのようでしたが、秩父発着のFTR100Kにも関わっていらっしゃるとのことだったので、これまで陰ながら大変お世話になっているのだろうと思われました。
暑さに危険を感じてリタイアしたという話をすると、地元としては何かある前に決断してくれてよかったと思っている、とこれまた優しい言葉をかけてくれました。
繰り返しになりますが、リタイアすると皆が優しくしてくれるんですよね。
本当に癖にならないようにしないといけませんね。
かき氷を食べながらその方とおしゃべりをしていたら、だいぶ元気が戻ってきました。
更衣室で着替えをして、再度屋台に戻って秩父うどんをいただきます。

疲れた身体に染み渡りました
そういえば秩父うどんとちむどんどんって、響きが似てますね。
一人前に二人前くらいのうどんが入っていて、本当にお腹いっぱいです。
美味しゅうございました。

食後、帰路につきながらフィニッシュゲートでしばし応援団となります。

時刻は13:25、30Kの上位選手達が続々とフィニッシュしてきていました。
奥宮さんはこの暑さのなかでも元気いっぱいでした。
同い年で同郷*、応援してますよ。


https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/09/06/213223

この後、秩父鉄道親鼻駅まで歩いて移動する道すがら、先を急ぐ選手達を見送りながら、これでよかったのかななんて思いが湧き上がってきました。
私が進まなかった道を進んでいく選手達がまぶしく見えます。
とはいえ、結論から言えばやめてよかったのはわかっていて、今回のリタイアは正しい決断だと思っています。
熱中症の1つのカテゴリーである熱疲労の症状として、集中力・判断力の低下があるそうです。
今回私は暑さと大量発汗で気力がなくなって、集中力を失いました。
その精神状態で山岳地帯を含む残りの20kmへと進んでいくことに危険を覚えてリタイアしました。
以前、集中力を欠いて大ケガをしたことがあり**、そのときの精神状態に近いものを感じていたこともあります。

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https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2018/04/22/063505

経験に基づくリスク回避の意識が、リタイアの決断を後押ししました。
事故に繋がりかねない行動を避けることができた、それだけでいいのかもしれません。
そしてリタイアすれば、何度も繰り返しますが、皆が優しくしてくれます。
この日の俺は間違いじゃない。
そんなふうにリタイアの正当性を探して、つらつら書き連ねているうちは、まだまだ半人前のリタイアしかできてないのでしょうね***。

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https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/06/26/141805
https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/05/18/212158

ていうか、一人前のリタイアって、一体なんなのでしょうか。
目指すべきものでは、なさそう…。