竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

とにかく走れればー2022年振り返り

2023年、明けましておめでとうございます。

現在、正月休みの帰省から帰京する新幹線の車中にいます。

夕闇に包まれる富士山と天子山地。

やはり、ここを過ぎると帰ってきたなという思いが湧いてきます。

帰省先が京都とはいえ、『鎌倉殿の13人』ばりの坂東武者では全くないのですが、つくづく私は東国の人間なのだなと思わされます。

そうこうしているうちに、新幹線はそろそろ東京駅に着きます。

皆様、今年もよろしくお願いいたします。

さて、まだ松が取れないうちに、昨年2022年を振り返りたいと思います。

 

2022年は、4月のUTMF160Kと9月の信越五岳110Kの準備に追われた年でした。

コロナ禍はまだ落ち着きを見せていませんが、レース自体は軒並み再開されたため、優先エントリー権のあったUTMFと信越五岳の完走を目指すことにしました。

そのため、練習の一環としてのレースにも数多く出場することになりました。

レース以外でもトレーニング山行を重ねていましたが、ここからはレースを中心に振り返ります。

 

2月の花嫁街道トレイルランは午前と午後を二回とも走るダブルの部に出場、UTMF対策として、午前のレースで疲れた脚で午後にもきっちり走ることを課題にしていました。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/02/27/173330

午後の部に疲れが出てしまい、課題が十分に達成できた、とは言えないような結果でしたが、トレーニングの積み重ね自体にはなりました。

そして4月のUTMFです。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/04/24/234754

記事をまだ書き終えないまま2023年を迎えたのはさすがに心苦しいのですが、UTMF2023までには書き終えたいとは思っています。

ちなみに、UTMF2023は抽選で落ちたので出場しません。

UTMF2022は本来は165kmの予定でしたが、事前の悪天候によるコース変更で、天子山地を回避する157.9kmに短縮されました。

そんな状況だったため、正直なところ完走はできると思っていました。

しかし、初めての100マイル級レースは一筋縄ではいかないもので、特に2日目は、昼は想定外の暑さ、夜は眠気でふらふらになりました。

それでも、3日目の明け方辺りから元気になってきましたかね。

思い入れのある大会の完走を間近に、ちむどんどんしてたのかもしれません。

私のUTMFへの思い入れを通り越した偏愛の原点については、以下の記事をご参照ください。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/03/06/204417

そして、そんな思い入れのあるレースであるため、フィニッシュでは不覚にも涙がこぼれてしまったのですが、その姿がライブ中継されているとは露知らずでした…。

それでも、100マイルではなく98マイルにとどまりでしたが、ひとつの到達点にたどり着いた感がありました。

また、主催者の鏑木さんと一緒にUTMFを走る経験ができたのも、感慨深かったです。

 

しかし、UTMFの後には信越五岳110Kが待っています。

信越五岳はUTMFに比べると制限時間が厳しいので、スピードを意識して走る必要があります。

そのため普段の練習と並行して、直前までレースを入れて調整しました。

レースでの課題は、とにかくスピードを意識して走り続けること。

怠け者系のトレイルランナーである私は、レース中は基本的にのんびりしていることが多いのですが、この時期はのんびりを封印して、とにかく走ることにしました。

5月のスカイライントレイル菅平2022のスカイマラソン43kmは、過去最高タイムで走りきることができました。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/05/29/214628

全力で走りきるのも楽しいなと、そして、この感じだったら行けるんじゃないのと、手応えを感じることができました。

しかし、6月にはその鼻をへし折られます。

FTRみなのでは50Kの部に出場し、30kmでリタイアしました。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/06/26/141805

36.8℃にもなった暑い日で、暑熱順化ができていなかったのですが、暑さのなかでスピードを出し続けることの難しさを実感しました。

暑さへの対処という課題が追加された7月は、2週続けてレースにエントリーしていました。

まず、サマークロスカントリーin昭和の森20kmです。

レースの記事は書いていませんが、昭和の森と私については下記をご参照ください。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2018/03/28/195451

上の記事に出てくる友人一家が応援に来てくれて、しかも小6の長男が陸上部志望とのことで、かっこ悪いところが見せられなくなりました。

珍しく頑張り、キロ5分数秒のペースでとにかく20km走りきることに成功します。

トレランではありませんが、アップダウンのある不整地で、しかも暑さのなかで押し切ることができたのは少し自信になりました。

次週のKUSHIGATA WIND TRAIL2022は、2017年に関門タイムアウトになった因縁のレースです。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/07/24/171046

櫛形ウインドトレイルは距離は31kmと短めなのですが、山麓から稜線への往復を何度も繰り返すハードなレースです。

この日もコース上にひっくり返っている選手がいるくらい(文字通りにひっくり返っていました)暑い日で、大変な思いをしましたが、なんとかスピードを維持しながら走りきることはできました。

こちらも早く記事を書き終えないといけないのですが、結果として6時間を切ってフィニッシュできたのは上出来と言えます。

8月は陣馬山トレイルレースのロング34kmの部のプレ大会に出場しました。

これも記事にしていない大会です。

プレ大会ということでどれくらいの時間がかかるか予想がつきませんでしたが、トレーニングとしてはスピードを意識して走るしかないので、とにかく走りました。

コースとしては、麓から陣馬山に登って一部ハセツネコースを通ったり、激登りがあったりと、山の登り下りがかなりしっかりしていました。

それでもとにかく走って走って、5時間5分ほどで帰ってくることができました。

とにかく走る、という感覚をつかむことができてきました。

信越五岳トレーニングレースシリーズの最後は、9月初頭のフォトロゲイニング大会です。

フォトロゲイニングは、オリエンテーリングのような競技で、地図を読んでチェックポイントの写真を撮りながら進んで行きます。

各チェックポイントには点数が設定されていて、チームないしは個人でより多く得点することを目指します。

これはチェックポイントのタコの滑り台。

この大会にも、とにかく走ることを意識して臨み、5時間の制限時間で35km走りました。

そしたら得点もそれなりに獲れていて、図らずも優勝してしまいました。

暑いなか走らせ続けてしまった相棒のBさんに感謝です。

ただ、ランニング系のスポーツで優勝したのは初めてで、年が明けた今でも実感が湧いてきません。

 

こうしてトレーニングを積んでいくうちに、とにかく走るくらいならなんとかなりそうだ、という感覚は得ることができました。

そうして臨んだ信越五岳では、20時間以内という高望みは叶わなかったものの、21時間ちょっとでなんとか完走します。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/09/19/035157

真夏日からの熱帯夜を乗り切ることができたのは、暑い季節にレースでとにかく走った経験が生きたのかもしれません。

とにかく走る。

それは怠け者の私にとっては難しいことであるのですが、なんとかできるようになったのかなと思っています。

また、石川さんの『トレイルランニングを楽しむ』を教本としてきた私にとって、ここでもひとつの到達点にたどり着いた感慨があります。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/12/08/202203

とはいえ、どこへたどり着いたのかはまだ定かではありません。

ただ、いつかは100マイルの完走バックルを目指したい、なんていうその先への思いは湧いてきています。

そのためにはまた、とにかく走るしかないのでしょう。

 

そんな、私の2022年の2大ターゲットレースが終わって間もない10月でしたが、今年は日本山岳耐久レース・ハセツネカップが開催されました。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/10/10/105503

昨年の中止による優先エントリーで出場した私でしたが、これまでのトレーニングの余勢を駆って、あわよくば自己ベストタイムの更新を狙っていました。

しかし、結果はセカンドワーストのフィニッシュタイムでした。

しかし、しかし、順位は自己ベストでした。

記事は追々書いていきたいと思いますが、控えめに言っても激悪なコンディションのレースで、冷たい大雨で山道は泥沼、といったところでしょうか。

私にとっては、これまで経験してきたなかで最悪のコンディションでした。

普段は私よりも速いランナー達にとっても、ちゃんと走れないくらい、ひどく厳しいものだったのでしょう。

最低限の意味でとにかく走るしかないレースで、無事に帰って来れてよかったと心から思います。

何はともあれ、自分を追い込むのはこれでおしまいにして、ここからは適当に走ったりすることにしたい。

とにかく走り続けてきた疲労も蓄積しているはずなので、残りの2ヶ月は楽をしたいと思っていました。

 

が、そうは問屋が卸さず、このあたりから、ランニング以外のスポーツが忙しくなります。

17年にわたって継続しているフットサルに加えて、頻度は高くないものの、ひょんなことから昔やっていたラグビーやバドミントンを再開することになりました。

ランニングではランナー自身が自分を追い込みますが、球技系のスポーツはボールなどの状況がプレーヤーを追い込みます。

身体の使い方は異なるものの、強度の高い運動で追い込む機会は減りませんでした。

疲労が回復しない状況が続きましたが、楽しむためのレースにはいくつか出場しました。

11月に激坂最速王決定戦に初出場しました。

記事にはしていませんが、箱根ターンパイクを貸し切りにして行うレースで、上田瑠偉さんやクレイジーかろさん、福島姉妹など、ゲストも豪華で、また、箱根駅伝5区や6区の練習として、大学生も多数参加しているビッグイベントでした。

私はターンパイクを登ってそのまま下り返すピストンの部27kmに出場しました。

登りの途中、相模湾と大山の景色がきれいでした。

記録は2時間38分ほどで、下りの途中からはキロ4分前後で走れました。

このスピード感は久しぶり過ぎて怖くもありましたが、好天もあって気持ちよかったです。

12月には武田の杜トレイルランニングレース2022に出場しました。

石川弘樹さんプロデュースの、いわゆる「走れるレース」です。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2022/12/11/195633

記録はギリギリサブ3.5でした。

適当に走るつもりが、とにかく走ってしまいました。

フィニッシュ後に石川さんから軽くインタビューを受けたので、信越五岳の感想といつか100マイルを走りたい旨は伝えておきました。

石川さんにまたどこかのトレイルで会えることを楽しみにしています。

 

2022年は、コロナ禍は終わりが見えず、ウクライナでは新たに戦禍にみまわれる人々がいて、ここ2年ほどと同様、災禍の止まない、心苦しいことが多い1年でした。

そういう所感も忘れずにいたいと思い、ここに記しておきます。

ただ、私としては、とにかく走ったということに尽きて、それは言い換えれば、とにかく走れた、と言い換えられるかもしれません。

とにかく走るためにとにかく走る。

2022年はそんなトートロジーで終わったような気がします。

とにかく走ると言い続けていたら、『とにかく笑えれば』というウルフルズの歌を思い出しました。

その歌からは、日常がうまくいかなくても、とにかく笑えれば、それが明日への力になる、そんな思いを私は感じます。

翻って、ランニングというスポーツです。

とにかく走れれば、何かの力になるのでしょうか。

走力になる。

まあ、それはそうでしょう。

というか、それに尽きるのかもしれません。

そして、恐らく走力すら付かなくてもよいのかもしれません。

とにかく走るためにとにかく走る、それを繰り返した2022年は、走っていて楽しかったです。

レーニングの課題を達成できないときにはさすがにもやもやしましたが、走ること自体は楽しかった記憶があります。

とにかく走るためにとにかく走る。

どちらが目的でどちらが手段だとかではなく、走ること自体をまるっと全て楽しむことができれば、それで充分なのかもしれません。

2022年はUTMFと信越五岳の完走で、個人的な到達点にたどり着いた感覚はあります。

そういう意味では、とにかく走れればどこかへたどり着きます。

でも、それはとにかく走ることの楽しみの副産物で、おまけに過ぎないのです。

でもでも、おまけのために頑張ってしまうのもまた人間というもので。

UTMFの完走ベストや信越五岳100マイルの完走バックルみたいなおまけのために、またがんばってしまうのでしょうね。

とにかく走れれば、おまけを手にすることができる。

とりあえずはそんなところですかね。