竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

知るも知らぬも逢坂の関ーKYOTO GREAT ROUND 2021見学記

昨日の12月30日に、KYOTO GREAT ROUNDという大会を見学してきました。
京都グレートラウンドとかKGRとかいったようにも表記されるそうで、先日までこの大会の存在を知らなかったのですが、友人Bさんに教えてもらって興味を持ちました。
大会の詳細はこちらをご覧ください。
https://trailfest.net/kyotoround
概要としては、距離は140km超、制限時間は31時間、コースのマーキングは最小限で、ほとんどセルフナビゲーションのトレイルランニングレースと考えればいいのでしょうか。
先日のFTR100K2021で、106kmに27時間以上かかり、しかもマーキングが少ないとブーたれる始末だった私です。
走力を取ってもナビゲーション能力を取っても、私にとっては厳しい大会だなと思いますが、逆に、なんだか面白そうでもあります。
ちょうど開催日に京都に帰省しているので、ちょっと様子を見に行こうという次第で、カウベル持参で応援がてら見学してきました。

初めは実家からゴール会場まで走って行こうかと思ったのですが、片道21kmも土地勘のない場所を走らなければならないので、早々にやめにしました。
京都には実家があるとはいえ故郷ではなく、不案内な土地なのです。
それならばどこか山の中で応援するかと、目を付けたのが鉄道駅(京阪京津線大谷駅)からほど近い、東海自然歩道・逢坂山歩道橋です。
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逢坂山歩道橋は国道1号と京阪京津線を跨いでいます。
ここは京都から滋賀に向かう交通の要衝で、付近には、他にも名神高速東海道本線が通っています。
歴史的には東海道・逢坂の関があり、また歌枕として、清少納言百人一首(というよりも坊主めくり)でおなじみの蝉丸の歌が残っています。
逢坂の説明はこのくらいにして、その歩道橋の北側の小山へ登る山道のどこかで応援がてら、選手の様子や大会の雰囲気を知ることができればいいなと思います。
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この看板から長等公園方面に登ります。
ここは130kmをゆうに超えたレース最終盤の地点です。
これまでの最長完走距離が106kmの私にとって、想像の世界でしかない距離です。
しかも、300mほどの距離で70mの標高差という、バーチカルレース級の急登を登らなければなりません。
最初は、登った先のピークで待機していようかと思っていたため、ピークまで登ってみました。
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小さく開けた平地で陽当たりがよく、応援ポイントには適していたのですが、開けている分、風がよく当たるのが気になりました。
この日は冷たい西風が強く吹いていたため、すぐに堪えられなくなって、少し下ったところの木立の中に避難することにします。
すると、ピークの少し手前に、道が広くて見通しの利く場所がありました。
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陽だまりが心地よいです。
ただし、少しはやわらいだものの、木立を抜けてくる風はそれでも冷たく、かなり身体を冷やしてしまいましたが…。
この場所で12時くらいから1時間半くらいカウベルを鳴らした後に、下りながら場所を変えていって、最終的には歩道橋の近くまで下りてカウベルを鳴らしていました。
選手は全体的に元気に身体が動いている人が多くて、タフだな、強いランナーだなと、単純に尊敬の念を覚えました。
これが私だったら、130kmを超えた後なんて想像の世界でしかありませんが、控えめに言ってもヘロヘロでフラフラでしょう。
参加者のレベルの高さを感じます。

山の中で選手20名くらいとマーシャルの方を見送った後、京阪電車でスタート/ゴール会場の滋賀県大津市のなぎさ公園に移動しました。
ここにはびわ湖ホールという、音楽関係者にとっては有名な劇場があります。
なんで有名なのかはよく知りませんが、ここからの眺めがよいものでした。
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手前に左から伸びているのが比叡山です。
選手は29日の8:00~9:00に順次スタートして、まずこの比叡山に登ってから、ぐるっと京都盆地を取り巻く山々を巡って、翌日にこの場所に帰ってきます。
ゲートはこんな感じです。
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最後に高さ60cmのスロープを登ってゴールテープを切ります。
それを「トルデジアンスタイル」と呼んでいる声が聞こえてきました。
知らなかったのでよくわかりませんでしたが、そうだとしたらかっこいいですね。
このゲートの横で1時間弱フィニッシャーを出迎えていましたが、選手が来ない間にスタッフの人と少しお話をして、大会の概要を知ることができました。
セルフナビゲーションが基本で、GPXデータを扱える時計があると大分便利で推奨されてもいるということ。
装備品は、年末開催という季節柄、チェーンスパイクを必須とすることもあるとのことです。
確かに、大会当日は降雪はありませんでしたが、その翌日の本日、京都市内はご覧の雪景色。
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大会当日がこんな気象条件になることもあり得るわけで、安全性を重視した装備になることは理解できます。
その他、エントリーや講習会などの情報も知ることができました。

15:00を過ぎると、前日の8:00にスタートした選手が31時間の制限時間を迎えます。
以降、スタート時刻に準じて順次、各自の制限時間を迎えていくようになっているようです。
また、選手は全員大会用のGPSを装備していて、どこにいるかが簡単に把握できるようになっているそうです。
このとき最後の選手達はまだ4km先にいて、しばらくは帰ってこないだろうとのこと。
この頃にはかなり強く風が吹いてきていました。
危険回避のために、ゴール脇のフェンスが撤去されたりレッドカーペットが巻き取られたり、会場のテントもしまわれたりと、にわかに動きが出てきます。
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私もそのタイミングで会場を後にします。
その後、浜大津の駅に向かう途中に最終ランナーとスイーパーの一団に出会いました。
本当にお疲れさまでした。
私にとって想像の世界でしかない距離を超えてきた選手の皆さんに、重ねて尊敬の念を表します。

つい最近までは全く知らない大会でしたが、この1日で多くのことを知ることができました。
やはり実際に現地に足を運んで自分の目で直接見ることができたのは、大きな意義があったと思います。
コース上の選手の姿からは、求められる走力のレベルや装備などの情報が得られます。
会場のスタッフからは、大会の概要や運営の雰囲気を教えてもらえました。
タフな選手とフレンドリーなスタッフ。
とても魅力的な大会です。
実は、会場のスタッフからは、色々と情報を教えてもらっただけでなく、恐縮なことに、余っていた磯部もちや豆大福をいただいてしまいました。
ちょうど昼食も摂らずに移動していたため、とてもありがたかったです。
磯部もちはその場でペロリと食べ切ってしまい、豆大福は実家に持ち帰り、甘い物好きの父と2人でいただきました。
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美味しゅうございました。
これ、餌付けされてしまったわけですね。
参加したい大会、というか、参加しなければならない大会になってしまいました。
いつか、よろしくお願いいたします。

また末筆ながら、皆さま、よいお年をお迎えください。