竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

まだ届かないーUTMF2021中止

2021年3月17日にUTMF2021の中止が発表されました。
参加者としてはぜひ出走して完走したいという思いはありましたが、一市民としては開催されることでの危険性を感じていたので、納得してはいます。
新谷仁美選手と同じです。
というか、新谷選手にその考え方を教わりました。
新谷選手が私の考えを広げてくれました。
UTMF実行委員会の判断の正否をどう捉えるかは人それぞれですが、私は、歴史的な文脈で見て正しい判断であると思います。
そういえば、昔こんな記事を書いたこともありましたが、COVID-19の蔓延という状況に当てはめても同様かなと思います。
https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/08/18/203242
人間の考えることって、さほど変わらないんですね。

さて、これまで私がエントリーしてきたUTMFは、UTMF2016と今回のUTMF2021です。
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UTMF2016の参加賞Tシャツとフィニッシャーベストは、自宅に飾りっぱなしにしています。
UTMF2016は悪天候によって、169kmの予定が最終的に44kmまで短縮されました。
雨でスタート時刻が遅らされて、再集合したときに、鏑木さんから短縮レースとする報告がありました。
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この時の鏑木さん、泣いてたんですよね。
私もちょっとは泣いたのでしょうか。
私についての記憶は曖昧ですが、「こっちが泣きてえよ」って言う声が上がっていたのはよく憶えています。
泣けるときには泣いてもいいのですが、レースがある以上はスタートしなければなりません。
それにしても、定刻にスタートができなかった時点で、完全な形では開催できないだろうと予想していて、ある程度の覚悟はあったものの、聞いた瞬間、なんだか力が抜けていくのを感じました。
たぶん、100マイルを走るために張り詰めていた気力が抜けていったのでしょう。
それでも、大雨の中に突っ込んでいく状況に変わりはないわけで、短縮レースを走りきる気持ちに切り替えて臨みました。
https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/01/25/003931
その結果が先のフィニッシャーベストなのですが、44kmで獲得したベストを見ると、走ることのなかった125kmを思い出します。
100マイラーになりたかった当時の私には届かなかったその距離に、今回もまた届かないのです。

今回のUTMF2021は、開催の1ヶ月以上前に中止の会見が開かれました。
スタートラインで聞くよりは心の準備もできるので百倍はましなのですが、その日までに積み重ねたものはあるので、その成果を発揮する機会がなくなったことはとても残念です。
今回のために12月から本格的にトレーニングを始めていて、私にしては珍しく走り込んでいました。
一緒にエントリーしていたBさんと、ロード、トレラン、峠走をこなしてきていました。
まあ、正直な話、私の方がBさんよりも練習量が少ないのですけども。
そう言えば、峠走の時には、ふと気づいたらむき出しの5000円札が目の前に落ちていました。
山の神様からの贈り物、もしくは託されたものとして、預かりはしましたが、その日のうちに使い果たしたような記憶がありやなしや。
野暮な言葉では拾得物横領なのですが、金は天下の回りもの、拾ったからには回さなければなりません。
そんな言い訳を用意して、竜泉寺の湯へと急ぐ。
それくらいの練習量でも、2週間くらい前にマッサージを受けたときに、今すぐ肉離れしてもおかしくないくらいにふくらはぎが硬い、と言われるくらいまでは練習していたのです。
そして、正直な話、それからしばらくは肉離れ予防のためにトレーニングをサボりました。
予防だったり療養だったり、休養とか言えば聞こえはよいのですが、実態としてはサボり期間中、目的のレースの中止が発表された次第です。
残念です。
サボっていながら白々しいのですが、とても残念です。
その気持ちには偽りがありません。
そしてUTMF2020にエントリーしていた方々は、2年連続ですものね。
残念至極だと思います。
ただ、安全原則を尊重した判断には敬意を覚えます。
その気持ちにも偽りはありません。
いつか、一点の曇りもないような状況で、UTMFが開催できることを心の底から願っています。
その時にやっと、100マイルに届くのかな。