竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

継続は苦手なりーバーチャルUTMF2021レポート

2021年4月19日(月)~25(日)にランニングアプリSTRAVA上で開催された、Virtual UTMF 2021に参加しました。
7日間で100マイルを走りきった完走者全てに、UTMF限定で使える参加資格ポイントが6ポイント付与される予定です。
COVID-19の収束が見えない現況では、6ポイントも付与されるロングレースの開催が見込めないこともあり、ここでポイントを獲得しておくことは、後々個人的にアドバンテージになると思います。
というのは後付けな理由で、友人達の盛り上がりに流されたというのが本当のところ、川に流される笹舟のような竹仙坊です。

今回のチャレンジでは平日にどれだけ距離が延ばせるかが鍵だと考え、私は帰宅ランを延長することで対応することにしました。
たまたま仕事の工程がテレワーク不可能な、出社しなければできない段階に入っていたのも、その選択の後押しになりました。
私の帰宅ランは、端的に言うと、会社の前にある街道をひたすらまっすぐ10kmという感じのコースです。
それだけでは距離が足りないので、街道と自宅近所の川が交差する地点から、川沿いに走るコースと、街道を奥まで走って折り返してくるコースを足しました。
川沿いは短めが9kmで基本13kmそして最大21km、街道はやる気次第でどこまででも行けますが、今回は短め4kmで最大12kmとなりました。
その後は自宅まで、いつもは飲み歩いている街を夜廻りランして自宅に帰るような感じです。
帰宅ランなので、いったん帰宅して荷物を置いてから走り直すこともできたのですが、私の習性として、一度家に帰ったら二度と出かけないだろうことが予想できたため、走り終えるまでは帰宅しないことにしました。
一度飛び出したら帰らない、鉄砲玉大作戦。
以下、日ごとの雑記です。

★1日目 4/19月 帰宅ラン 32km
18:30過ぎから、仕事中に着ていた衣類と行動食少々を、20Lのリュックに詰め込んで走り始めました。
160kmの道、いざ往かん。
帰宅ランと短め9km川沿いコースの後、街道を折り返し12kmという構成でした。
この街道は江戸時代に整備された街道で、当時の常識にしたがって尾根筋に作られています。
そうすると、東京の坂の多い地勢に沿って、程度の大小はあるものの、アップダウンが続く道のりとなります。
初日から距離を稼ぐ計画だったので少し張り切りましたが、そのアップダウンが想定以上に厳しく、怠惰な生活でなまっていた脚が完全にやられてしまいました。
25km以降には、腿の裏とふくらはぎにこれまでに経験したことのない種類の痛みが走る始末。
痛だるい、みたいな表現があてはまるでしょうか。
ひどい筋肉痛に似ていました。
走ってても歩いてても痛いので、とにかく自分をだましだまし前に進み続けてなんとか帰宅しました。
初日から32kmと距離は稼げたものの、先が思いやられます。
平地を走っただけでこんなに痛むなんて、UTMFだったら完走なんてとてもじゃないけど無理だったでしょう。
それでも、バーチャルUTMFはステージレース感覚で休養を入れることができます。
とか言いながらステージレースに出場したことはないのですが、自分の回復力に期待して、次の日に備えます。

★2日目 4/20火 帰宅ラン 25km
1日目と同じく18:30過ぎにスタートしました。
前夜に覚えた異様な痛みはなく、疲れもとれていたものの、昨日の今日ということもあり自重しました。
帰宅ランに川沿いの道の組み合わせで24kmを超えることを目標にします。
24kmは15マイルに当たります。
これは前日の距離がたまたま32km=20マイルだったことから思い付いたのですが、「160」kmを走ると考えるよりも「100」マイルを走ると考えた方が、数字が小さいから気が楽で、キリもいいから管理も楽だなと、そんな気分になったことから始めた行程管理の方法でした。
しかし、楽、ということは実際あまり感じず、そもそも計算が苦手な私は、走行中にkmとマイルの換算に頭を必要以上に使ってしまって疲れてしまいました。
それでもサクマドロップスを適宜なめながら脳に糖分を送り続けて、どうにかこの日の行程を終えました。
こういうちょっとした補給に飴は便利ですね。
川沿いの道はアップダウンがほとんどないので、脚にも優しく、前日に比べれば格段に楽に走ることができたのは収穫でした。
頭は楽ではなかったけれど、身体は楽ができた1日でした。
結局、目標の24kmから少しゲインした25kmでこの日のランニングを終えました。

★3日目 4/21水 帰宅ラン 25km
この日も18:30過ぎには会社を出て、帰宅ランと川沿いの道を基本に24kmを目標にして走りました。
走り切れれば、3日目にして80km=50マイルを積み重ねて、全体の半分に到達することができます。
しかし、この日はランニング自体は快調だったものの、少し飽きが来ていたようで、集中力を保つのに苦労しました。
集中力に欠けているということには、STRAVAの距離表示が前日より短く出ることにイライラし始めたことから気がつきました。
STRAVAは、他の地図系アプリに比べて距離計算が安定していない印象がありましたが、この日に実感することとなりました。
イライラは募りますが、とりあえず走り切らないことには、全体の半分には届きません。
集中力を保つために少し目先を変えて、川沿いの道をそれなりに走った後、街道に戻って初日の行程を少しだけなぞることにしましたが、なぞり始めて少ししてから、うっすら後悔することになりました。
よく考えたら、初日はこの街道アップダウンにやられて苦しんだのにもかかわらず、集中力に問題を抱えたこの日にまた同じ道を行く選択をしたことが、どう考えても失敗なのです。
それでもとにかく、選んだ道を走り切らなくては目標に到達できず、とにかく走り切りさえすれば到達はできるのです。
選択の誤りを呪いながら、たまにSTRAVAの距離表示に毒づきながら、この日のランニングを終えました。
なんだかんだで25kmを走り、3日で82km、50マイルを超えて全体の半分に到達することができました。
この3日目をどう乗り越えるかが、三日坊主にならないための課題になるのだと思いますが、それは多分にメンタル面に依るところが大きいなということを実感しました。
なんだかんだでしたが、とにかく半分まで到達することができて、少し気が楽になりました。

★4日目 4/22木 帰宅ラン 25km
出社続きの中、この日も18:30過ぎに走り出しました。
目標は前日までと同じく24km超え、コースは前日の反省から、帰宅ランと川沿いの道の組み合わせの一択にしました。
前日までにチャレンジの半分を終えていたため大分気が楽になっていて、また身体もこのサイクルに馴れてきていたのか、前日までの3日間と比べて楽に走れました。
それと、トレイルランナーにあるまじき発言ではありますが、川沿いはアップダウンがなくて楽です。
川に流される笹舟のように走れたら、どんなに楽なことか。
なんて思いながら走っていると、小学校4,5年生くらいの男の子が自転車で橋を渡りながら熱唱しているのに出くわしました。
歌っていたのはWANDSの「世界が終わるまでは…」。
これがSEKAI NO OWARIだったら、なんの不思議もなくなんとも思わなかったのでしょう。
私がまだ高校生だった1994年に発表された曲ですが、2021年の10歳くらいの子が歌えるなんてすごいなと感心しました。
それも大声で大熱唱、よっぽど気に入ってるんだろうと思います。
アニメの「SLAM DUNK」のエンディングテーマだったそうなので、再放送でもしてるのでしょうか。
27年経ってもまだ世界が終わっていないことに安堵も覚えつつ、この日のランニングを終えます。
25kmを追加して、4日目で100km超えです。

★5日目 4/23金 帰宅ラン 32km
この日は少しスタートが遅れ、19:00ごろから走り始めました。
ここまで100km以上走ってきていて、とても順調にこなしてきていますが、世界が終わる前にチャレンジを終えられるよう、この日は勝負をかけることにします。
翌日は仕事がないので、夜遅くまで走ることもできるため、川沿いの道を最大の21kmコースで走ることに決めました。
帰宅ランで走る街道と川の交差する地点から、まずは上流に5km弱走って折り返してきます。
これは先の4日間と同じで、普段のランニングコースでもあります。
前日までよりも少し遅い時刻に走っているので、行き会う人々の顔ぶれやすれ違う場所は変わっていましたが、慣れた道のりなので特に注意を払うこともなく淡々と走れました。
折り返してきて街道に戻ってから、下流に向かいます。
前日までは、この街道から下流にあるもうひとつの街道に突き当たってから折り返していたのですが、この日はその先に向かいます。
いつも走っている川はひたすら住宅街を流れていて、特に下流方面は遊歩道もよく整備されていて、車の往来を気にせず走ることができます。
ただ気になったのは、車が通れるような道よりも、遊歩道の方が暗くて少し走りづらいということでした。
少しでも明るいところを探しながら、橋に着く度に対岸に渡るようなことを繰り返しました。
それで少し距離が稼げたかもしれませんが、ペースは落ちていきました。
それでも、この日は距離を踏むことが一番の目標です。
どんなにゆっくりでもいいから、32kmを走り切ればいいのです。
暗い道のりをヘッドライトが必要かな、そういえばUTMF用に新調したヘッドライトまだ使ってないな、今この時間はUTMFだったら天子山地にいたんだろうな、とか、色々思いながら走り続けます。
下流に向かい始めてから6km弱にある折り返し地点に設定した親水公園には、21:50分頃に到着しました。
折り返すと、月がきれいに見えてきました。
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思えばチャレンジ中の夜は、風が強く吹いていたものの、雨は降ることがなく、寒くもなく暑くもなく、走りやすい気象条件で、UTMFの一夜目に当たるこの日も、快適な夜でした。
折り返してから帰宅ランの街道に戻り、自販機で翌日のスポーツドリンクを購入してから帰宅。
ゆっくり走ったので23時頃になっていましたが、目標通り32kmを超えていました。
この5日間、32km×2回で64km、25km×3回で75km、そして端数を足したら140kmに到達しました。
残り20km、ゴールが見えました。

○6日目 4/24土 川沿いラン 23.9km
走り始めたのは10:30過ぎだったでしょうか。
晴れて暑さを感じる日でした。
この日は川沿いの道を走ることにします。
笹舟気分で始めたチャレンジ、思えばアップダウンを避けて川沿いばかり走ってきました。
残り20km、笹舟は流れます。
自宅から川までは1kmほど、川に出てから先にどちらに走るか少し迷ったのですが、まずは上流に向かうことにしました。
実は、上流の折り返し点の街には11年前まで住んでいて、折り返し点の橋は当時の家から5分もあれば着くような近所です。
かつてより勝手知ったる道でした。
晴れた土曜の昼下がりはまた快適です。
上流の折り返しから下流の折り返しまでは11kmほど。
身体に重さは感じるものの、笹舟のイメージで流れるように進みます。
この川の下流方面は上流方面に比べて流れが曲がりくねっていて、しかも開発が古い地区なので、人家が川沿いに迫っています。
遊歩道は整備されてはいるのですが、地理的な条件から道幅が狭いので、人とのすれ違いに気を遣います。
それでも、繰り返しますが、晴れた土曜の昼下がりは快適です。
ゆっくりと気持ちよく走って、下流の折り返し点の親水公園にたどり着きます。
ここまで17,8km走ってきました。
チャレンジ達成まではあと3kmほど、家に帰るまでには160kmを、100マイルを超えます。
残りはもう、流れるのではなく、流してもいいかなと思えてくるだけ心に余裕ができてきました。
途中、川幅いっぱいに鯉のぼりが渡してありました。
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気持ちよさそうに泳いでます。
この後はSTRAVAとのにらめっこが始まりました。
160kmを超えてチャレンジを達成したら、その時点で一回登録してしまおうと考えていました。
途中でスマホが壊れるとか、操作ミスでデータが消えるとか、そんな不測の事態を回避するための危機管理計画です。
そのときは唐突に訪れました。
家から3,4km地点にある橋の長い信号待ちでSTRAVAをチェックしたところ、既に161kmに達していました。
最初に感じたのは安堵です。
その後、電波のよい場所に移動してからおもむろにアクティビティを登録して、Virtual UTMF 2021のチャレンジを達成しました。
その後、家に帰るまでの道のりを計測がてら走って、チャレンジ期間中のランニングを全て終えました。
6日間で総計163.9km。
安堵の後は、自分自身へのいたわりの気持ちが湧いてきました。
今回のチャレンジのように計画的な継続が必要とされる事柄が苦手な私なのですが、苦手ながらもよくやり切ったよなと思います。
こういうこともできるんだね、たまには。