竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

聖地巡礼ー木曽路藪原2018夏1

私の母方の曾祖父は、中山道藪原宿の近郊出身の櫛職人だったそうです。
藪原の名産品にお六櫛という櫛がありますが、その職人だった曾祖父は、上京して根津神社の門前で櫛を作って売っていたそうです。
しかし若くして亡くなったため、家業として私の祖父には伝わりませんでした。
もし祖父が櫛職人になっていたら、私も今ごろ根津神社の門前で櫛を作っていたのかもしれません。

藪から棒になんでそんな話をしているかというと、この夏、トランス・ジャパン・アルプス・レースTJAR2018を見ていて、その藪原がコースになっていることに初めて気がついたからでした。
選手達のオアシスと呼ばれるスーパーまるとが、木祖村の藪原にあるということを初めて知りました。
この藪原って、確かうちの先祖の土地じゃないか。
私はこれまで藪原を訪れたことはなく、興味はあったものの、実際に訪問するまでには至りませんでした。
今回はTJARとの絡みを発見したことがきっかけとなり、既に大会は終わって久しいのですが、この9月1日に訪問してきました。
先祖の土地でTJARの聖地巡礼です。

目指す藪原は長野県木曽郡木祖村にあります。
新宿から8時ちょうどのスーパーあずさ塩尻まで行き、中央西線のワンマン電車に乗り換え、藪原駅に着いたのはお昼前でした。
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駅近くの道の駅でそばを食べ、
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腹ごしらえができたら、TJAR選手のオアシスでありファンの聖地であろう、スーパーまるとに向かいます。
道の駅の高台から見た藪原の街。
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山間の宿場町はあやしい雲に覆われていました。
降りだす前にいざ行かん。

駅からまるとまでは2kmほど歩きます。
私は宿場町の旧中山道を抜けてから、県道26号線に合流して上高地方面に向かうコースをとりました。
2kmほどです。
宿場町には歴史的建造物は少ないものの、中山道を中心にした街並みに往時の名残は感じました。
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宿場を抜けて県道26号線に入り、しばらくすると、木曽川を右岸に渡ります。
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写真は橋から下流を写していて、右手が右岸です。
橋を渡ってからは、緩い登り基調の道を10分も歩けば、聖地・スーパーまるとに到着します。
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写真はTJAR選手の目線に合わせて、一度上高地側に通り過ぎてから撮ってみました。
選手たちは上高地方面からやって来るので、藪原からきた私とは見ている方向が逆になります。
今回何よりも見たかったのは、TJAR選手がいつも座っているテラスのような場所でした。
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イスは片付けられていましたが、雰囲気はそのままでした。
TJARからまだ一月も過ぎてないのかと思うと、感慨深いものがあります。
私が選手としてここに座る姿はまったく想像ができないのですが、そういう日が来たら素敵だろうなと思いました。
まあ、怠惰な私にはそういう日は来ないとは思いますが。
まるとでの買い物のラインアップはこんなところでした。
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木祖村産の酒米を使った燦水木と、村内限定販売の女獅子、どちらもこれからじっくり飲みたいと思います。
他には、この日に飲む用の木曽路源流水仕込み300mLと、つまみになすの肉味噌乗せを買い込みました。
リュックが重くなったことこの上ありませんでしたが、TJAR選手、特に今回の望月さんに比べれば大したものではありません。
リュックの重さだけ選手になったつもりでまるとを出発、聖地にお別れです。
出発直後の26号。
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こんな風景を見ながら走ってるんだな。
ただの道ですが、巡礼者にとっては選手と同じ道を歩いているというのがまた心踊るものでもあります。
自分が選手としてこの風景の中を走っている姿は、やはり想像はできませんが。

ふと富士不登山ー避暑2018夏

一月ほど前の話になりますが、8月1日から2泊3日で富士山に行ってきました。
とは言っても、まだ骨折が完治していないため、富士登山をしたわけではありません。
8月の最後の終末も猛暑日が続きましたが、8月1日からの3日間も、東京地方に猛暑日の予報が出ていました。
こりゃたまらんと、前日申請で衝動的に夏休みを取ってしまいました。
とにかく涼しい所に避難したい、ということで、目をつけたのは富士山五合目でした。

標高2300mの富士スバルライン五合目には、新宿から高速バス一本で行くことができ、宿泊施設もあります。
天気予報では最高気温25℃、最低気温17℃、同じ時期の東京より10℃も低いのです。
めちゃくちゃ快適ではないですか!
猛暑日続きの今ここに行かない選択肢はない!
そうと来れば、なるべくリゾート気分で行って参りたいと思い、富士急雲上閣のカプセルを2泊分確保しました。
この時期の富士山は登山者ばかりのはずですが、私は骨折の影響で登山を控えているため、山頂を目指すようなことはできません。
それでも涼みに行くだけというのもなかなか乙なものではないかと思うことにしました。
この日程は、富士登山競争と富士登山駅伝というトレイルランナーにとってのビッグイベントのちょうど間の時期でした。
そんなハードなレースに挟まれながらも、同じ富士山でただごろごろと涼むだけ。
名付けて富士不登山納涼。
なんてぜいたくに怠惰なんでしょう。

8月1日、15時頃に富士スバルライン五合目に到着しました。
もくろみ通りの涼しさで、最高気温でも25℃前後、太陽が陰るとうっすら肌寒いくらいでした。
東京は35℃を超えていたので、避難して大正解でした。
下界の熱で凝り固まった体が、富士山の冷気で緩んでゆきます。
五合目にはあらゆる国からの観光客が一杯。
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みんな楽しそうです。
自転車ライダーにはおなじみだそうですが、チャリたぬのお出迎えを受けます。
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スバルラインを山麓からヒルクライムしているロードバイカーをバスの中から何人も見かけました。
なんでタヌキなのかはわからないのですが、かわいいのでよしとします。
五合目からの富士山鑑賞は、ビジターセンターの屋上からが遮るものが少なくて見やすいです。
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夕飯も富士山。
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みはらしの赤富士ハヤシ。
ここの食堂は富士山を真正面に見ることができます。
初日はこうして終わりました。

明けて二日目は少し散歩に出掛けることにしました。
遠出ができないので、六合目辺りまで歩いたら引き返してくる計画です。
六合目に向かう道。
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まるで高速道路のように整備されています。
せっかくなのでメインのルートを外れて、富士登山競走五合目コースのゴールでもある佐藤小屋によってみることにしました。
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ここはテント場もあるそうなので、機会があればテント泊もしてみたいと思います。
佐藤小屋から六合目に向かう山道は樹林帯です。
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森林限界に向かって歩きます。
この道で外国人登山者二組に声をかけられました。
メインルートから外れて何がしたいのかと思って聞いてみると、どちらも道中の星観荘や佐藤小屋で、金剛杖に焼き印をもらいたいとのことでした。
確かによい記念になりますね。
やがて森林限界を越えるとかつての五合五勺、現在の六合目に到着です。
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礫だらけの場所でガスに包まれると、塞の河原感がいや増します。
六合目は行き帰りの登山者で賑わっていました。
シーズンの吉田口登山道の混雑は想像していた通りのものでした。
外国人登山者は3~4割といったところだと思います。
せっかくの富士登山、彼らには存分に楽しんでもらいたいと思いました。
こちらは散歩とは言うものの、「登山」と言ってもおかしくはないくらいに装備は整えていました。
六合目までしか行ってませんが、富士不登山とは言い切れないような気もしています。
ただ、富士登山競走や富士登山駅伝はもちろん、山頂を目指す登山者達のことを思うと、私はやはり富士登山をしたとは言えないのです。
いつかは本当の富士登山をしてみたいと思います。
そんな気持ちの帰り道、山頂を仰ぐと、
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目に青空、草は緑。
不登山ではありますが、気持ちのよい散歩でした。

五合目に戻ってからは昼食をとったり昼寝をしたり、ひとしきりのんびりしてからみはらしで唐揚げと富士山をつまみに一杯。
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ボッチ不登山の打ち上げを楽しみました。
飲み終わってからはビジターセンターの屋上へ。
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どーんと御大がそびえ立ちます。
二日目が暮れてゆきます。

そして最終日、チェックアウトしたらすぐにビジターセンターの屋上へと向かいます。
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青空にそびえ立つ富士山。
3日間で一番の富士山でした。
また、この富士スバルライン五合目は小御岳火山という側火山に作られています。
ここには小御嶽神社という神社があります。
そこからは神々しく雲がかかる御大。
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これもまた美しく感じました。
こうして少しふらついた後、チャリたぬに見送られて帰路に着きます。
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帰りついた東京は35℃を超える猛暑日でした。
その前日は37℃を超えたとのこと。
本当によいタイミングで体を休めることができました。
富士山の冷気をチャージしてきた効果は一週間くらい続きました。
猛暑に疲れたら富士不登山納涼、おすすめです。

海が待っているー若狭路トレイルラン2018予報

若狭路トレイルラン2018は、例年通り、9月最後の日曜日である9月30日に開催されます。
昨年2017年に初めて出場しましたが、これが楽しい大会でした。
この記事の最後の方(◇以下)に2017年大会の記事のリンクをまとめてあります。
何かの参考になればよいなと思います。

今年は信州戸隠トレイルランニングレース2018と日程がかぶってしまいましたが、昨年は戸隠が9月10日頃の開催だったため、両方のレースに出ることができました。
今年の私は骨折の影響でトレランを控えているためどちらにも出場しませんが、どちらに出たいかを選べと言われたら、相当な難問だと思います。
ただ、そういう難問への答えを出さなくてよい状況にあるのは、ある意味楽ではあります。

両者を比べると、山か海かの違いというのが一番の違いである気がします。
信州戸隠は山中の門前町から山々を駈ける、純粋に山を巡るレースです。
翻って若狭路は、海から山に入ってまた海に戻る、海と山のレースです。
海沿いの街で育った私は、山には憧れを、海には懐かしさを感じます。
とはいえ、若狭路トレイルランの会場である食見海岸は青く澄んだ海で、私が懐かしさを感じる北部東京湾の味噌汁のような海とはまったく別物でした。
こんなきれいな海で育ったら違う人生があったのではないか。
育つ土地が違えば人生が違うのは当たり前なのですが、そんな感傷のような感想を抱いてしまうくらい、きれいな青色をした海でした。
人それぞれ何を思うかは違うと思いますが、私にとって若狭路は、海が印象的なレースでした。
こんな海や、
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こんな海、
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こんな海が待ってますよ。
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2017年大会予報
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/09/22/205040

2017年大会速報
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/09/24/132539

2017年大会レポート1
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/09/27/125424

2017年大会レポート2
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/09/27/201437

2017年大会余録1
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/10/01/184225

2017年大会余録2
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/10/06/225431