竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感です。藤沢周平が好きです。

蛇の道を行くー遅ればせUTMF2016試走記Day3

この記事はUTMF2016の試走記録の第3段ですが、UTMF2018のコースとなっている区間の記録でもあります。
↓関連記事はこちら↓
☆UTMF2016試走記Day1
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/08/27/201847
☆UTMF2016試走記Day2
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/10/24/084017

UTMF2018とSTY2018のエントリーが締め切られましたが、どちらも2倍を超える抽選倍率となりました。
私は今回、どちらにもエントリーしませんでした。STYに1回落選歴のある私ですが、UTMF2016には1回目のエントリーで当選しました。
普段くじ運の悪い私なので、まさか1回で当選するとは思っていなかったのですが、こういうものの機微はわからないもので、ふたを開けたらUTMF2016は荒天短縮UTMF、出てませんがSTYにはスタート後の荒天中止という結果が待っていました。
これは、くじ運がよいとは言わず、悪い部類なのかもしれません。
よくも悪くも当たった、当たってしまった、というところなのでしょう。
ただ、当たってしまったからには準備が必要で、その準備期間は充実したものとして過ごすことができました。
何をおいても、コースの試走は楽しかったのです。
これは、試走記録ではありますが、同時に楽しかったトレランの記録でもあるのです。

2016年9月12日の日曜日、UTMF2016の試走で、富士小学校から霜山を経て河口湖にフィニッシュする区間を走りました。
前日の本栖湖方面の試走に引き続き単独行で、河口湖の駅前のホテルに宿をとりました
2016大会でA9になる予定だった富士小学校には、富士急行の寿駅から向かいます。
UTMF2018では富士小学校はエイドではないものの、霜山からフィニッシュに向かう区間は2016大会とほぼ同じのようです。
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幻のA9。
準備運動を済ませてから富士小学校を8:50頃に出発し、大きな道路を渡って、霜山への登山口に向かいます。
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私は150km過ぎてから歩道橋を登る状況を経験できませんでしたが、UTMF2018ではここまでコースが繋がるとよいなと思います。
目指す霜山の登山口は、団地の脇にある獣避けのゲートです。
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9:00頃に到着して登山開始です。
登山道というよりは作業道のような道なのかもしれません。
霜山への登りは総じて斜度が急で、150km以上進んできた身体には負荷がキツいと思います。
はじめは少し樹林帯を登りますが、すぐに伐採後の明るい斜面になります。
足元の土は固められていて、トタン板のようになっています。
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雨が降ったら立て板に水のごとく、水が流れるのでしょう。
注意すべきポイントだなと思って先に進んだところで、長さ30cmほどのヤマカガシに出くわしました。
毒蛇です。
2017年の夏に小学生が咬まれて話題になりましたが、藤沢周平の『蝉しぐれ』でも物語の冒頭に、主人公達の子供時代のエピソードとして、ヤマカガシに咬まれてしまうシーンがあります。
話題になるということはよくいる蛇なのだと思いますが、私は蛇に遭遇すると、どうしても後味の悪い恐怖感をぬぐうことができなくなります。
30cmの長さの蛇なんて、太さにすれば大人の人指し指くらいしかないはずですが、どうしても恐怖心が先に立ってしまいます。
また蛇が出てこないか、警戒しながら伐採帯を登り詰めて、いくつか鉄塔の下を通りすぎると、樹林帯に入ります。
樹林帯に入ると足元はふかふかの落ち葉になったり、もろい砂の地面になったり、なかなか多様性に富んでいます。
ただ、時折切れ落ちるような斜面に取り付けてある道もあるので要注意です。
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こういうところは大体足元ももろいので、余計に要注意です。
この切り立った道の先を登りきると、河口湖方面に下る稜線に出ます。
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10:00少し前でした。
稜線は基本的には眺望が利かないのですが、所々に展望台が設けられています。
ここは恐らく霜山の展望所。
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富士山は雲の中です。
眺望はいまいちですが、適度に広く走りやすい傾斜の稜線で、文字通り飛ばせる快適なトレイルでした。

この稜線を走っている最中のことでした。
前方10m位の山道をふさぐように、大人の手首くらいの太さの枝が横たわっていました。
この日は台風が過ぎてから間もなかったこともあり、所々に落ちた枝や倒木を見かけていました。
なので、初めは「枝か」ぐらいにしか思っていませんでした。
しかし、5mくらいの距離に近づくと、なんとその枝が動きだしたのです。
蛇でした。
今度は体長が1.5mくらいありそうでした。
蛇は山道を横切ろうとしているようで、ズルっという音まで聞こえてきます。
こちらは緩やかな下り坂を快適に走っていたため、すぐに止まることはできません。
また、止まってやり過ごすのもなんだか恐ろしかったので、思いきって飛び越えることにしました。
蛇は焦る感じもなくゆったり進んでいましたが、こちらは走りながら1mほど手前でエイヤと踏み切り、ピょーんと飛び越えました。
必要以上に遠くまで飛んで着地し、ひとまずワーッと悲鳴を上げてから振り返ると、蛇は稜線脇の藪の中に消えた後でした。
たぶんアオダイショウだと思いますが、大きかったのは間違いなく、驚いたのなんの、恐かったのなんの、いやあ、たまげた。
しかも、同じ日に2匹も蛇に出会ったのは生まれてはじめてでした。
霜山周辺トレイルは、蛇の道として私の記憶に刻まれました。

また、この日は台風の爪痕が凄まじく、山道が完全に塞がれている場所が数ヵ所ありました。
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道なんだか倒木なんだか、よくわからないことになっています。
この2週間後、UTMF2016本番の直前にも台風が来ていました。
コース整備には相当苦労したんだろうなと思います。
本当に頭が下がります。

霜山からの道には時折分岐が現れますが、河口湖(天上山、カチカチ山)方面が基本です。
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左へ行くと富士急行の沿線ですが、すべての道が麓に繋がっているわけではなさそうなので、エスケープの際には地図の確認が必要だと思います。
ただ、UTMFのコースはこの下りのどこかで「右」に折れて、天上山方面への山道から外れる必要があります。
そのポイントははっきりした分岐にはなっているものの、表示があったかどうかは記憶が曖昧です。
このときは霜山の展望所から15分ちょっとでたどり着きましたが、まだ早いのではないかと思い込み、1度通り過ぎてしまって戻るはめになりました。
間違いに気がついたのは、舗装林道との交差点を過ぎてしばらくしてからでした。
けっこう長いこと登り返しました。
このポイントで右に下ります。
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画面左寄りに杭が立っていますが、他に標識がなければこれが目印になるかもしれません。
ここは主稜線から下りる道で比較的急な斜面、すぐ下を走る舗装林道とはほぼ直角に交わります。
レース中なら案内がしっかりしていると思いますが、試走時は注意すべきポイントだなと思います。
試走ロストも凹みますので。

舗装林道を横切ってすぐにまた山道に入ります。
正しいコースにはこんな橋が架かっています。
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舗装林道との交差点を過ぎてから10分ほどでこの橋に出会わなかったら、1度ルートの確認をした方がよいと思います。
そして、道を間違える、というより、道がどこかわからなくなるポイントもあります。
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踏み跡が薄くて木がまばらなので、林なんだか道なんだかよくわからなくなってしまいます。
私はこういうポイントがとても苦手なのですが、落ち着いて探せば、行くべき道は見つかると思います。

里には10:40ごろに下りてきました。
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コスモスと名前の知らない虫が待っていました。
4月下旬のUTMFでは何が待っててくれるのでしょうか。
稜線に出てからは40分程で下山できました。
途中、ロストしかけて倒木に行く手を阻まれて、おまけに蛇に心を折られての40分です。
UTMFは40時間を切るくらいで完走する計画を立てていた私ですが、これと同様の走力の方であれば、そのぐらいで下山できると思います。
下りてすぐに左に曲がって、突き当たった神社の角を左に曲がります。
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するとすぐに、あじさい公園を目指す道に入ります。
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あじさい公園に向かう道は最後のトレイル。
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もう100マイルは過ぎてからの登り基調のトレイルです。
あじさい公園では、100マイル過ぎてからの下り階段。
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膝が大笑いしてるのかもしれません。
ここまで来ると河口湖が一望できます。
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見えているのは河口湖大橋、フィニッシュへと向かう約束の橋です。

湖畔に下りてからしばらく進む道には、ウッドチップが敷きつめられていました。
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ふかふかの足に優しい道のりを、いったん河口湖北岸に回り込みます。
そして、約束の橋を渡ります。
「栄光の架け橋」という歌もありますが、私にとっての橋は「約束の橋」なのです。
ただ私は、君のためなら河を渡ろう♪、ではなく、私のために河口湖を渡ります。
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心がけを表してか、富士山は見えずじまい。
でも、他人のためにできることはあっても、私は私のためにしか走れないのです。
他人のために橋を架ける佐野元春、偉大です。

大池公園には11:20ごろにフィニッシュしました。
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出迎えてくれるのは、たぶんポプラの木。
8:50から走り出して、2時間半でのフィニッシュでした。
私は本番ではたどり着くことはなかった大池公園のフィニッシュですが、UTMF2018とSTY2018の選手が、無事にこの場所にフィニッシュできることを願わずにはいられません。
皆様、ぜひご無事で。

さて、お昼御飯は昨日に続いてカレーライス。f:id:CHIKUSENDO:20171103113140j:plain
河口湖駅前の絃(げん)というお店です。
ここは数年前から気に入っていて、河口湖に来ると必ず立ち寄っています。
料理が美味しくて雰囲気が落ち着いています。
それにしてもカレーばかり食べてるな。