竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

どこにも行けないーCOVID-19徒然19

新型コロナウイルス感染症COVID-19の拡大防止のために行われた事実上の移動制限によって大打撃を受けた観光業界を救済するためのGoToトラベル事業を、今日までに2回利用しました。
ちなみにその他のGoToキャンペーンは、主体的には利用していません。
そんな私ですが、勝手にこのキャンペーンについて総括したいと思います。
端的に言えば、税金の使い方としては筋の悪い、不公平な制度だなという印象を受けました。
使える人しか使えないというのが、公金使用の公平性の担保という点で、大問題であると思います。
私自身は利用することができて、少なからぬ返金も受けましたが、返金を受けるということは先に払うお金の余裕があればこそなのです。
その余裕がない場合には、公金による経済的補填を受けることができません。
お金の余裕が、公金支出の不公平を生む状況を作る行政施策は不公正である、としか考えようがありません。
さらに悪いことに、COVID-19の罹患者も、このキャンペーン以降著しく増加しています。
ここはもう中止して、余った予算は現在の感染拡大第3波に対応している医療機関に回してはどうでしょうか。

そんなGoTo事業ですが、私はスカイライントレイル菅平の往復バスと宿泊のセットツアーと、父親の仕事場の移転の手伝いに京都に帰省したのとに、GoToトラベルを利用しました。
相対的に危険地帯である東京から、感染後のリスクの高い高齢の両親に会いに行くとなると、それ相応に警戒した行動を取る必要があります。
なので、京都の実家には泊まらず、ホテルに3泊しました。
それで新幹線(のぞみ)の往復込みで2万3千円くらいで済んでしまいました。
先の感想を抜きに純粋に金銭的なメリットだけで考えると、すさまじいものがあるなと思います。
だからこそ、余計にお金の使い方としてどうかと思ってしまうのです。
そこはかとなく、後ろめたさを感じてしまうのです。

来月12月13日は伊豆トレイルジャーニー2020に出場の予定ですが、前泊の宿がGoToトラベルの対象になっています。
でも、現在のCOVID-19の感染拡大状況を考えると、やはり東京発着のGoToトラベルは停止すべきなのだと考えざるを得ません。
でも、それは同時に、東京都民は移動を控えるべきという情勢でもあります。
ITJにも出ない方がいいのかな、と思わざるを得ません。
本当にどうしたらいいかわからない。
大いに悩ましい問題です。
もう、どこにも行けない。

【おまけ】GoToトラベルde帰省の思い出写真展
東京発のぞみの右の車窓に大山を望みます。
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丹沢山塊の奥には、うっすら富士山。
せっかくなので、駅弁は富士山弁当に。
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中身を撮るのは忘れました…。
新富士あたりから、よく晴れた薄い雪化粧の富士山。
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その奥には、憧れの天子山地。
UTMF2021の抽選に通ったら、そしてレースが無事に開催されたら、ここを走ることになるはずです。
名古屋を過ぎたらアイスクリームとコーヒー。
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たぶん季節限定のマロングラッセ、美味しゅうございました。
アイスを左手に、右手の車窓には伊吹山が。
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夢高原かっとび伊吹の舞台ですね。
まだ参加したことのないレースですが、いつか出走したいなと思います。
そして、父の新しい仕事場近くから望む比良山地
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間近で見るのは初めてですが、立派な山塊ですね。
この山も実に走りたくなる山である(『全力坂』の吹越満のように)。
帰路は左の車窓からの富士山。
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少しだけ、雪のお化粧が濃くなりました。
晩秋です。

自転車持ってないけどースカイライントレイル菅平2020余録

スカイライントレイル菅平2020の装備等の記録です。
今年は43kmのスカイマラソンに参加しました。
事前にエイドでの食料提供が少ないと告知があったため、今回は補給食の全てを自分で用意したものでまかなうことにしました。
実際エイドにはそれなりに食料があったので、ちょっと誤解してしまった感じでの判断ではありましたが、レース後の今は、用心しすぎて悪いこともないだろうと思います。
それでも、レース前の判断では、補給食を全て自前で運ぶ準備はしておかなければならないと思っていました。
ちょっとしたハセツネ気分です。
そうすると、私の場合はサイクルジャージの出番で、今回はこれで出場しました。
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赤だから真田の赤備えコンテストにもピッタリ。
このジャージには背中にポケットが3つあります。
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私は以前から、ハセツネのように食料提供のないレースや、長い距離のレースでエイドの間隔が長くなるようなときにはサイクルジャージを着用していました。
最近は減った印象がありますが、私がトレランを始めた2011年頃には、サイクルジャージで走っている選手がけっこうな割合でいて、背中のポケットからジェルをサッと取り出す姿を見て、なんかカッコいいなぁ、と憧れていました。
何かのセールで初めて手に入れたのはパールイズミのジャージで、2013年のハセツネでデビューしました。
そのジャージはもうお役御免になっています。
でもそれ以来、サイクルジャージを欠かしたことはありません。
毎回のハセツネをはじめ、FTR100、短縮レースになってしまったUTMF2016、美ヶ原2017、近いところでは伊豆トレイルジャーニー2019などで、サイクルジャージを着用しています。
ロードでも、チャレンジ富士五湖2019の100kmはサイクルジャージで走りました。
ロングもしくはウルトラディスタンスのレースでは、必ずと言っていいほど、サイクルジャージです。

メリットはやはり背中のポケットの収容力です。
今回はジェルだの固形食だのを詰めこんで走りました。
他のレースでは、補給食に加えて、ウインドブレーカーやハンドライトなどの小物や、大きめのものではファーストエイドキットを入れた実績もあります。
リュックの容量を補完できて、よく使うものを取り出しやすい所に入れておくことができます。
ただ、水は何度か入れて走ったことがありますが、ソフトフラスコでもボトルでも、重さで暴れてしまって走りにくかったので、あまりお勧めはできません。
他のものでも、少し重いと下りで暴れる可能性もありますが、ゼッケンベルトで抑えつければ対処できます。
デメリットは、ランニング用のシャツよりも重量があるというところでしょうか。
でも、使い勝手がよくて、デザインによっては普段着にもできたりするので、1枚は持っていてもいいかも知れません。
私は半袖3枚、長袖1枚を持っていましたが、つい昨日長袖の2枚目を購入してしまったため、今は5枚所有していて、通算だと6枚となってしまいました。
そんな私ですが、自転車は持っていないんです。
でも、自転車に乗らなくても、サイクルジャージは良いですよ。
今、家にあるジャージのメーカーはそれぞれ異なっていて、パールイズミ(長袖の赤)、デマルキ(半袖の紺)、カステッリ(半袖の緑)、ルコックスポルティフ(半袖の赤)、サンティーニ(長袖のグレー)の5社です。
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色とりどりで、どれもそれぞれいいところがあって、どれもおすすめです
とか言ってしまう八方美人な私は、紹興酒を呑みながらこの記事を書いています。
いい加減に酔っていますけど、サイクルジャージに乾杯。
自転車持ってないけど。
そして菅平に、乾杯。

装備一覧
頭:バフ(赤備え)、サンバイザー(Fields)
首(マスク兼用):バフ(赤備え)
シャツ:ルコックスポルティフサイクルジャージ半袖(赤備え)
アンダーシャツ:オンヨネブレステックPPメッシュノースリーブ
アームカバー:スキンズ
手袋:サロモン
ズボン:アシックス
タイツ:スキンズショート丈
アンダーパンツ:オンヨネブレステックPPトランクス
カーフ:CEP黒
靴下:ドライマックス赤
靴:スポルティバ・アカシャ
雨具:ノースフェイス上下
リュック:オスプレー・デューロ6
サングラス:スコット
ゼッケンベルト:UTMBお土産
水分:500mLソフトフラスコ×2、予備200mLソフトフラスコ×2
その他:着替え(ラグビー日本代表レプリカTシャツ)、ラグビーボール型ビーチボール

牛の歩みのトライースカイライントレイル菅平2020レポート3

スカイライントレイル菅平2020のレポート第3段です。
スタートから29kmほどの第3エイドで、水の補給と持参の補給食などを食べながら5,6分座って休息しました。
ここまでは4時間40分ほどで到着できていて、事前の想定範囲内でした。
四阿山方面の登り下りでペースをつかめずに歩きが多くなったものの、タイムは悪くないものでした。
残りは14kmくらい、なんとかなるかなと、少し気楽な気持ちで出発しました。

ここ第3エイドは関門にもなっていて、出発の際はゼッケンのQRコードを読み取ってもらいます。
エイドを出るとそこには癒しの彼らがそこかしこに。
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カメラ目線バッチリです。
こちらは2頭で寝そべっています。
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牛好きの同僚が「寄り添い牛」と命名していました。
動物が寝そべっている姿って、平和でいいなとつくづく思います。
こちらは集団でお食事中です。
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密ですよ密、牛密。
何てことをやっていたら、すっかり走る気が失せてしまって、第3エイドから小根子岳の登り口までほぼ歩き通してしまいました。
なんとなくレース気分が盛り上がらないまま、本レースのクライマックス、小根子岳への登りに臨みます。

根子岳への道のりは、大部分が笹原の中の傾斜の急な直登で、実に登りごたえがあります。
私は2年前に骨折した恐怖心で下りでスピードを出せない身体になってから、登りでタイムを稼ぎ出す戦術をとっていました。
だから、先の四阿山方面の登りをよいペースで登れなかったのは残念だったのです。
そして、この小根子岳への登りでも苦しむことになりました。
前日の食べ過ぎと日頃の不摂生で身体が重いというのもありましたが、なんと言っても気分が上がってこないのです。
おまけに、時刻も正午を過ぎて、身体を動かし続けていると暑さを感じるようになってきました。
それもあってか、最近は登りで脚を止めることはあまりなかったのですが、この日は立ち止まって一息入れることが何度かありました。
重いし暑いし、なんだか苦しんでいます。
とはいえ、通算4度目となる小根子岳への道のりは、大体記憶に残っています。
どの地点まで登ればあとどのくらいでたどり着くのか、おおよその検討はつけることができます。
私の場合は左側に見えている地形と、ほぼ正面に見えている根子岳の山頂の近づき具合から判断します。
暑いなぁ、重いなぁ、歩みは鈍いのですが、まるで国会の牛歩戦術のように、ゆっくりではあれど、少しずつは前に進む。
さっきの牛さん達もこんな感じで歩くのでしょうか。
牛の気持ちになりながら、登ります。
苦しみながらも、登山口から1時間弱ほどで根子岳と小根子岳を分ける分岐にたどり着きました。
第3エイドからは1時間15分くらいでしょうか。
後は左に見えているピークを踏むだけ。
辺りはすっかり雲の中、小根子岳にたどり着きました。
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本日の最高標高地点であり、私が2020年に踏んだ最高標高地点でもあります。
振り向くと晴れた日は北アルプス方面の眺望が開けているのですが、本日は雲の中の錦秋。
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これもまた美しいなと思います。

さて、小根子岳からフィニッシュまではおよそ10km、ほとんどが下りです。
ここでジェルの一つも補給しながら、残りの道のりの大雑把な計画を立ててから出発しました。
根子岳からは稜線の笹原を下って行きます。
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ここも錦秋。
この稜線からは菅平の反対側の景色を眺めることができます。
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やっぱり錦秋。
この先に分岐があり、左に曲がると山腹をトラバースして、先ほど登って来た登山道に合流する道を走ります。
このセクションは基本的に走りやすい傾斜の山道ですが、所々流水でえぐれた跡があり、足を取られないように気をつける必要があります。
そうしたえぐれた跡には、前日までの雨水が溜まっている所もあり、はまらないように慎重になる必要もありました。
私は今回はまらなかったなかったものの、バラしてしまうと、一緒に出場した友人Bさんは見事にはまってしまったそうです。
私がはまらなかった理由は、水溜まりを見つけたら癒しの歩き、通過した後もすぐに走り出さずに癒しのジョグを入れて、スピードを抑えたからです。
こけなかった代わりに、ジョグだったり歩いたりしたため、タイムはかかってしまいました。
牛の歩みはこの下りでも続いています。

そうこうしているうちに、元来た登山道に合流して、ほどなく菅平牧場に戻ります。
菅平牧場に戻ると、スカイライントレイル菅平の隠れた名物、ガレ場祭が始まります。
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このガレ場では過去2回こけて、流血しながらのフィニッシュを経験しています。
人の生き血をすする、凶悪なガレ場が始まりました。
ガレ場祭のクライマックスはこんな感じ。
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さらに凶悪。
このガレ場祭はほとんど歩いて通過しました。
その甲斐もあって、スカイマラソンでは初めて、こけることがありませんでした。
そうです。
やはりここも癒しの歩きです。
「歩けば、大体こけない。」
ちょっと名言風に記してみたものの、ちょっとみつをな感じもありますね。
でも、ここを歩いたことで、けっこう長いこと癒されました。

さて、そんな感じで癒しタイムばかりだったので、その先にある長いゲレンデの下りはよい感じで走れました。
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ここをひたすら下って、下り切った所にある2回目の第2エイド、通算で第4エイドに到着します。
第4エイドでは、軽くゼリーとあめ玉で最後のスキー場の登り下りへの英気を養いました。
ついでに、フィニッシュパフォーマンスの仕込みの着替えも済ませます。
臨むは残り3kmほど、太郎山のゲレンデに登って、下ります。
ラストのゲレンデを下ります。
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視界が晴れてきました。
やっぱり気持ちいいな。
菅平のこの景色が、私は好きなのです。
気分が盛り上がらないままの1日だったと思っていましたが、最後に気持ちよくフィニッシュを迎えることができました。
ラグビーボール型のビーチボールで観客とパス交換をして、フィニッシュラインの向こうにトライしました。
7時間33分37秒、スカイライントレイル菅平のフィニッシュは4回目、トライは3つ目です。
思い起こすと、大学時代にラグビーの合宿で来た時の菅平では、通算3トライでした。
ラグビーで3トライ、トレランで3トライ。
もうラグビー選手ではないので、来年はトレランで4トライ目を目指します。
そうしたら、菅平でのトライが通算7トライになりますね。
もう何がなんだか…。
でも、また来ますよ、菅平、待っててください。