竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

募れども募れども

まずはじめに、えー、「人を募る」の「募る」と「人を募集する」の「募集する」は、まさに意味が全く同じであるということを、はっきりと、申し上げておかなければなりません。
まさにこんな当たり前のことを、声高に主張しなくてはならないとは、いわばふざけた世の中でありますが、アレがアレだからデンデンななかにおいて、しかたないのであります。
とまあふざけはしましたが、単純に間違えるだけなら、人間誰しもが持つ不徳の一部として許容しますが、日本語を積極的に破壊するのは、厳にやめろと思います。
この問題、今となっては古い話になりましたが、少なくとも正しい日本語を紡ぐことを手伝う職業に従事している私にとって、非常に腹立たしいことで、怒りが募ります。
これも当たり前のことですが、「人を募る」の「募る」と「怒りが募る」の「募る」は、意味が異なります。
怒りや思いといったものが「募る」場合には、辞書的には次第に激しくなるという意味で使用されます。
今回は、私の思いは募れど、どうにも上手くいかなかったことについてぼやきたいと思います。
ぼやきは永遠なり、とは故・野村克也氏の言葉で、理想と現実の乖離がある限りはそこにぼやきが生まれるという趣旨とのことです。
現実がいつだって理想とかけ離れている私にとって、この言葉は真理だと思います。

先日UTMFの二次募集の抽選結果が出ました。
発表によれば倍率は5倍強でした。
一次募集の抽選に落選した私は、今回の二次募集の応募を見送りました。
応募を見送った時、今年はUTMFに出場しないことが決まって、正直に言えば少しほっとした部分もありましたが、やはり残念ではあります。
二次募集に応募しなかったのは、本番までの残り時間で100マイルを走る準備ができるとは到底思えなかったからです。
これまでに100マイルレースの経験があれば、なんとかなるだろうと思えたのかもしれません。
しかし、参加した100マイルレースの経験が、短縮レースとなった2016年のUTMFしかない私にとって、100マイルを走ったことはありません。
短縮UTMFは最終的に大雨の中の44kmのレースとなり、それはそれで、スリリングで貴重な体験となりました。
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/01/25/003931
しかし、この初の100マイルレースに向けて積んだ練習を、今回の二次募集抽選結果発表後の比較的短い期間で積むことは、どう逆立ちしても難しいという判断がありました。
また、この2年間はロングトレイルの経験が積めていないことも不安材料の一つでした。
2018年は骨折、2019年は台風の影響で、ロングトレイルは伊豆トレイルジャーニー2019Faxbisくらいしか走れていません。
自信が、どうしても自信がありませんでした。
UTMFで100マイルを走りたいという思いは強く持っていますが、自信がなければどうしようもありません。
去年の信越五岳100マイルのエントリーも同じく、自信がないという理由でエントリーを見合わせました。
しかし、自信がないばかりでは、せっかくの人生が面白くなくなってしまいます。
人生を面白くするためには、いつか自信を持ってUTMFにエントリーできるように、精進しなければなりません。
あと、贅沢なことをいうと、できれば大池公園にフィニッシュしたいなという気持ちもありました。
短縮UTMFで朝霧高原にフィニッシュせざるを得なかった私には、本来のフィニッシュであった大池公園への強い憧れがあります。
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2018/05/01/170257
今年のフィニッシュである河口湖総合公園は、チャレンジ富士五湖でステラシアターのエイドにも利用されていたので、なじみはあるといえばあります。
しかも大池公園よりも富士山に近いので、より大きな富士山が見える可能性もあるかとは思います。
それでもね、憧れというのは厄介なものです。
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短縮UTMFのフィニッシャーベストを見るたび、走ることがなかった残りの125kmのことを思い出します。
たぶんこのときに100マイルを走っていたら、トレイルランニングについてこんなにうじうじと考えることのない人生を送っていたのだと思います。
ブログを始めることもなかったかもしれません。
今さら何を思っても仕方がないのですが、UTMFにはこの時の忘れものを取りにいく感覚が私にはあります。
その忘れものは、できることならば大池公園で受け取りたいものだと思っています。
いつか大池公園にフィニッシュが戻るのならば、その時には万全に準備を整えて参加したいと思います。
とはいえ戻らなくても、ポイントが貯まればその都度抽選には参加するのだと思います。
なんだかんだ、UTMFで100マイルを走りたいのです。
そして万が一当選したら、自信を持って走れるようにしなければなりません。
自信を持つのが一番難しいのですけれども。

もうひとつ出たかったレースはハセツネ30Kです。
2017年にエントリーをうっかり忘れて以来、ハセツネ30Kには出場していませんでした。
今年は久しぶりに出場したかったのですが、2月1日のクリック合戦に敗れてしまい、エントリーできませんでした。
それでも、敗者復活の「ゆずれ〜る」エントリーの期間中はずっとサイトを開きっぱなしにして、時間ができるたびにスマホをチェックしていましたが、結局空きが出ることはありませんでした。
ハセツネ30Kに出られないということは、秋のハセツネ本戦にもほぼ出られないということを意味すると思います。
30Kのエントリーを忘れた2017年はハセツネ本戦のクリック合戦にも負けて、出場することができませんでした。
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/06/01/111715
ハセツネには2013年の初出場以来、2016年まで4大会続けて出場していましたが、その年はしかたないのと興味があったのとでボランティアに参加しました。
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/10/08/075236
ボランティアはいい経験になりましたし、これで翌年2018年の優先エントリー権が付与されました。
しかし、次の2018年は骨折してしまったため、選手としては参加できず、再度ボランティアに回りました。
そして、優先エントリーで出場予定だった2019年は台風で中止になりました。
これで3大会続けて出場できていません。
ハセツネは相性がよいというか、私の性格に合う大会だと思っています。
私にとってハセツネは、マイペースでいることを許されるレースという位置付けです。
ハセツネにはエイドが一ヶ所しかなく、決められた量の水分の提供しか受けられませんが、逆に言えばそれ以外は自由にプランニングできるということです。
自分の好きなときに休んで、自分の好きなものを食べる、そんな自由さ加減が私にとってのハセツネの魅力です。
エイドがあれば、それはそれですごく楽しみで頼りにもしているのですが、そのことで行動に制約がかかる局面はあります。
ハセツネにはほぼそれがないため、気に入った場所で足を止めて休憩し、好きなものを好きなだけ食べて、71.5kmの道のりを楽しむことができます。
ちなみに好きな休憩場所トップ3は、西原峠、三頭山避難小屋、大ダワです。
ゆるい感じで楽しめると言えばいいのだと思います。
端的に「ハセツネはゆるい」と言うと語弊がありますが、行程のほとんどすべてを自己判断で済ますことが出きるため、変数が少ないというのか、シンプルに考えることが出きるので、とにかく楽に感じます。
「ハセツネは楽」とか言ってるようでさらに誤解を招きますが、それはあくまでも私のメンタル面のお話、フィジカル面ではいつも苦労しています。
それでも思い出もあれば思い入れも深い、いい大会だと思います。
ご無沙汰の今年は、本当に出場したくて仕方がないのですが、クリック合戦を勝ち抜く自信がありません。
結局ダメなんだろうな。

ともあれこれで今年はトレラン界の二大イベントであるUTMFとハセツネには、ハセツネはまだわからないものの、出場しないこととなりました。
私自身の思いは募れども、自分ではどうにもしようのないことがあり、タイミングによってはそれが立て続けに起こります。
抽選やクリック合戦のような人為的な要素だけでなく、去年のハセツネや今回の東京マラソン2020のように災害の要素などもあって、思いが叶わないことは多々あります。
そこからどう心を立て直すのか。
立て直しの秘薬は、人によってはお酒、というか私にとってもそうだったりはしますが…。
でも結局は、思いが募る対象が自分の好きなものならば、いくらでも募らせればよいのだと思います。
いつか巡ってくる機会のために、好きなものから離れずに楽しみ続けていればいいのではないかなと思います。
ということで、次は何のレースに出ようかな。