2022年9月18~19日に開催された信越五岳トレイルランニングレース2022の110kmの部の装備等の余録です。
私はドロップバッグのあるレースでは、靴も含めてほぼ全着替えをする習性がありました。
時にはリュックも替えてしまいます。
それには、実利的なこと以上に、気持ちを切り替えるという意味合いを強く持たせていました。
装備一式を物理的に変えてしまうことで、ドロップバッグ前後で2つの違うレースを走るという感覚で臨んでいたのです。
例えば、100kmのレースでドロップバッグが50km地点にあるとしたら、その前の50kmと後の50kmのレース2本を走る、という感覚です。
これは、まだロングレースに慣れていないときに距離への不安を軽減するために編み出した策でした。
100kmのレースだと思うと長く感じるけど、50kmのレース2本だと思えば多少は楽に感じるのではないか。
浅はかな考えではあるのですが、私としては当初から効果を感じていて、実際に実績に繋がった方法論でした。
しかし近年、私自身がロングレースに慣れてくるにつれ、感覚的に2本のレースに分ける必要性がだいぶ薄れてきました。
いつの間にか、100kmや100マイルをひとつのレースとして考えられるくらいには経験を積んできていたのです。
また、全取っ替えするとエイドでの滞在時間が延びたり忘れ物リスクが高まったりというデメリットもあり、そろそろ再考の時期が来ているなと思っていたところでした。
そしてこの信越五岳ですが、もろもろの事情を考慮した結果、ほとんど着替えずに済ませることになりました。
判断の決め手はこの日の暑さでした。
60km地点の笹ヶ峰でドロップバッグを受け取った時に、この暑さがこれからも続くのならば、乾いたウェアに着替えるとより暑く感じてしまうのではなかろうか、と思ったのがその理由です。
この日は台風からの南風で気温が高く、昼は真夏日、夜は熱帯夜となりました。
まだこの風が湘南乃風だったらタオルを振り回して踊れるのですが、夜になっても低体温リスクよりも熱中症リスクの方が高そうなので、踊っている余裕はありません。
そうした状況で自分に注意を払うと、汗やかぶり水で濡れたまんまのシャツが、肌に触れるたびにヒヤッとして気持ちが良かったのす。
この日着ていたのはTANNUKI(タヌキ)のArrow(アロー)でした。
アローにはノースリーブもありますが、私は今回半袖で臨みました。
素材自体に少し冷感があり、加えてヘンリーネックの襟元からある程度の放熱も見込めるため、今回のような真夏日から熱帯夜を過ごすにはちょうど良い感じです。
笹ヶ峰ではアンダーシャツだけ替え、アローはそのまま、濡れたまんまで行っちゃいました。
このとき替えなかったのは帽子も同じで、スタートからかぶっていたパタゴニアのダックビルをドロップバッグ後もかぶり続けました。
理由は、かぶり水です。
ダックビルは目が粗めのメッシュキャップであるため、帽子をかぶったまま水をかぶっても問題ありません。
この日、数えきれないくらいの回数水をかぶりましたが、ずっと帽子をかぶったままでいられたため、サングラスやヘッドライトをその都度はずす煩わしさを覚えずに、なんの心置きもなく水をかぶれました。
頭が濡れていないと力が出ない河童系のトレイルランナーとして、声を大にしてお勧めします。
今回はドロップバッグで全取っ替え大作戦を発動させず、そしてそのことが完走という結果に繋がったと言えると思います。
とはいえ、この大作戦を今後一切やめるのかというところには結論が出せません。
今回は昼夜の気象条件に大差が出ないことが予想された、そして実際にそうなった、ということに過ぎません。
結局、最大の事前準備をして現場の判断に委ねるしかないのでしょう。
だから次のドロップバッグには、人事を尽くしてあれこれ詰め込んじゃいますかね。
装備
帽子:パタゴニア・ダックビル
シャツ:タヌキ・アロー半袖
アンダーシャツ:ゼロフィット(笹ヶ峰まで)、オンヨネ・ブレステックPPノースリーブ旧(オーロラまで)
手袋:デマルキ
ズボン:ノースフェイス・腹巻きパンツ
アンダータイツ:ゼロフィット
カーフスリーブ:CEP
靴下:ポイント6
靴:テクニカ・シュープリームマックス
雨具:上下ノースフェイス・ストライク
ライト:頭・レッドレンザーNEO10R、手・ジェントス閃
リュック:アルティメイトディレクション(UD)・マウンテンベスト5.0(13.4リットル)
必携品の長袖シャツ:スマートウール
ウインドシェル:パタゴニア・フーディーニ
その他:防寒具など