竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

応えきれないー館山若潮マラソン2020レポート3

第40回館山若潮ラソンのレポート第3段です。
前段では当日の天気のようにどんより冷え冷えした反省の弁を開陳しましたが、ここでは私なりの館山若潮ラソンへの愛を記したいと思います。
愛を記すって、なんだか気持ち悪くて少しおかしな表現ですが、そうとしか言い様がないので困ってしまいます。

記憶をたどってみると、私は今回の館山若潮を含めてフルマラソンに9回出場しています。
2012年の富士山マラソンが初マラソン、地元の板橋Cityマラソンには6回、そしてこの館山若潮には2015年と今年の2回出ています。
9回とはいえ上記の3つの大会にしか参加していないのですが、館山若潮はこの中でも特別な大会です。
私のフルマラソンのベストタイムは、館山若潮ラソン2015で記録した3時間25分10秒(ネットタイム)です。
ベストを出せたというだけでも印象がよいのですが、コースが私にとってはちょうどよい感じでした。
館山若潮のコースは、海沿いの道を走る前半20kmと、山越えを目指して走る中盤30km過ぎまでと、再び海沿いに戻る残り10kmほど、という、大まかに3つのパートに分かれています。
総じて小さなアップダウンが多く、30km過ぎには急な登り坂もありますが、フラットな単調なコースを走るよりは、適度に刺激的で楽しいコースだと私は思います。
30km過ぎの登りも、2015年に走ったときは激登りのように見えていたのですが、今回走った感触ではちょっと急な登りくらいかなと、印象が大きく変わりました。
登りよりも、登りきった先の下りの方が急坂です。
下りの勢いをうまく利用できれば、30km過ぎてからもペースアップできるかもしれません。
35kmあたりに少し長い登りがありますが、文字通り35kmの壁だと思えば、意外と楽しんで走れるんじゃないでしょうか。
とにかく、アップダウンを楽しめるよいコースだと思います。
アップダウン好きにはおすすめの大会です。

それにしても今回は雨が降り通しだったので、景色がよくなかったのが残念でした。
晴れた日の海沿いの景色のよさは最高です。
私自身海の近くで育ったのでノスタルジーを覚えるということもあるかもしれませんが、とにかく走っていて気持ちのよい区間です。
2015年は快晴だったため、海の向こうに富士山が見えていました。
ただ、今回のどんよりとした海も趣深くてなかなかよかったとは思います。
特に灯台の辺りの少し物悲しい景色が心に焼き付いています。
ケン・ローチあたりのイギリス映画の一幕のようでした。
天候が変わると違ったものがよく見えてきて、それはそれで楽しかったです。

ただ、2019年の台風被害の爪痕はそこかしこに見られました。
ブルーシートで覆われた屋根、倒壊した塀や家屋など、本当に早く復旧してほしいと思いながら走りました。
こんな状況にもかかわらず大会が開催されたことに、敬意と感謝の念を覚えます。
われわれランナーが走ったことで、少しでも復旧や復興の力になっていればよいのですが。

また、私のなかでは、館山若潮といえば熱い応援、というくらい、沿道の方々の声援が嬉しい大会です。
正直な話をすると私は、応援の多さを大会選びの基準にしている方々の気持ちがわかりません。
「応援はあれば嬉しいけど、それが走る理由にはならないでしょ?」くらいのことを本気で思っている、心の冷たい人間です。
でも、この館山若潮の応援は、それを理由に走ってもいいと思えるくらい、熱く嬉しい応援だと思います。
2015年大会もそうでしたが、特に今回は降り続く雨にもかかわらずコース沿いに出てきて拍手を送ってくれたり、家の中から声援を飛ばしてくれたり、私設エイドでおもてなしをしてくれたり、とにかくありがたかったです。
スタッフの方もよく声援を送ってくれていました。
29kmくらいの家の前にいたおばあさんは「あのばあさん死んだと思われるの嫌だから雨でも出てきちゃった。がんばって!!」と拍手を送ってくれました。
たぶん毎年応援してくれてるんですね。
一瞬泣きそうになるくらい嬉しかったです。
沿道には断続的にたくさんの応援の方々がいて、こちらもたまに手を振って応えはするのですが、数が多くてとても応えきれません。
下の方々は、スタート直後とフィニッシュ直前でダンスで鼓舞してくれていました。
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最初から最後までお疲れさまでした。
応えきれないくらいの応援をしてくれたすべての方々に感謝しています。
本当にありがとうございました。