竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

約束の橋ー板橋Cityマラソン2017DNF記2

膝の痛みのためにDNFを宣言して臨んだ板橋Cityマラソン2017でしたが、DNFとはいえ自分の足で帰って来ようと思っていました。
そこで想定が必要になるのは、ドロップアウトのタイミングです。
事前の候補は2ヵ所、4.2kmの第1エイドか、6.6kmの第2エイドを想定していました。
地図で言えば、前者は岩淵水門の手前、後者は鹿浜橋の先です。
自力で折り返すとしたら10km前後のこの辺りが適当だと思いました。
会社の同僚も出走しているため、フィニッシュ地点で応援できるように、時間に余裕をもって帰りたかったのです。
同僚はサブフォーランナーで、サブフォーギリギリのペースで走るということでした。
こちらは、着替えて一息ついてご飯食べるまではやっておきたかったので、2時間くらいで帰れれば余裕でしょう。
そうすると、第1エイド4.4kmでは近すぎて時間をもて余します。
往復距離も8.8kmと短いので、いくら負傷している身とはいえもの足りません。
そこで、第2エイド6.6kmをドロップアウト地点とすることにしました。
そこまで進めばランナーもバラけ始めていて、リタイアのための走路横断にも危険は少ないはず。
第2エイドの目印は鹿浜橋、そこで必ずDNFします。
約束の橋は鹿浜橋、♪君は行くひび割れた河川敷の道につまづきながら…。

というわけでスタートから周りの流れに乗って、邪魔にならないペースで走ります。
最後尾はOゼッケンの方中心に構成されていて、M/Nもそれなりにいて、まれにLの方がいる感じでした。
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私のGゼッケンは異質だったかもしれません。
ペースはキロ7分半前後で走っていたようです。
途中の沿道では、毎年女装でZARDの負けないでを流してくれている「埼玉のはるな愛」さんが応援してくれていました。
まだ女装されてなかったので、普段はこういう感じの方なのかと、ちょっといいもの見たなという得した気分になりました。
過去の経験では、この方の応援は復路の最終盤、41km前後に当たると思いますが、けっこう力になるものがあります。
機会があれば注目してみてください。

レースは第1エイドにさしかかります。
板橋Cityマラソンではエイドの手前に案内表示が出されます。
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これがサプリやジェルを取り出す合図になるので、ちゃんと走った回では助かりました。
ただ、今回はDNFなのでそういった準備はしてません。
第1エイド手前には新荒川大橋があり、その手前にはその案内板がありました。
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距離表示を兼ねているので、キロごとの表示と合わせて目印が多くなり、私のようにGPSを持たないランナーには嬉しいです。
既に1万5,000人が通過したであろう4.4kmの第1エイドは、このような状況でした。
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テーブル数が減らされて、
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少なくなったテーブルに人手も人出も集中します。
さて、私の大好物のレーズンは、
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ヘリから撮った象の群れみたいになってました。
少ないなあ…。
二粒だけいただいて第1エイドを後にします。
もっと食べたかったな…。

第1エイドを過ぎると堤防に登り、岩淵水門を越えます。
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水門にはランナー以外の通路がしっかり確保されていました。
復路の心配は無用のようです。
水門の端に5kmの計測ポイントがあり、私の公式記録はそこで終わりました。
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後は堤防を下り返し、鹿浜橋を目指すだけです。
この辺りは練習ランでもよく走るエリアで、特に目新しいものもないのですが、足立区そして埼玉県川口市を走るエリアです。
板橋Cityマラソンは、板橋と冠するものの板橋区内は往復で2km前後しか走らないことは、その筋では有名なことだと思います。
約40km分は埼玉県戸田市・北区・埼玉県川口市・足立区・墨田区江戸川区を走ります。
戸田と川口は、河川工事の影響だと思いますが、市域のごく一部が荒川を越えていて、走路もその地域に含まれていました。
今しがた地図で調べてわかったことでしたが、岩淵水門から鹿浜橋の間に川口市を走ります。
戸田市に至っては、板橋区を出るとそこは戸田市なのです。
約束の橋までの間に、都県界を都合4回またいでいたことに今軽く驚いています。
板橋Cityマラソン、意外と恐るべしなのです。
まあでも、ここまで書いてなんですが、前身の荒川市民マラソンの方が名が体を表していたと思います。
私自身は板橋区民なのですが、メイン会場が板橋なだけで板橋を冠するのはおこがましいかなと思っています。
ネタには事欠かないですけど、ランナーは荒川流域を都県界を越えて走っているのです。
板橋だけが名乗っていいのかな、2kmしか走らないのに、区民としてもそう思います。

そうこうしているうちに、第2エイドの案内標識が現れて、
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鹿浜橋にたどり着きました。
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♪今までの君はまちがいじゃない…
約束の橋、DNFのときがやって来ました。

6.6km第2エイドに入り、スポーツドリンクと水を一杯ずつ飲んで、一息つきました。
ここにはレーズンがまだあったので、欲張らない程度に頬張りました。
これが楽しみの大部分だったので満足でした。
心置きなくDNFできます。
振り向くと自分の仕事を全うしたゴミ箱が。
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相手は段ボールですが、キャパを越えてなお役割を果たした姿には敬意を覚えます。
片付けてくれるスタッフにも頭が下がります。

走路脇の役員にリタイアを申告して、前のゼッケンを外しました。
チップはここでの回収ではないようです。
不来方ではなく、来し方を見ると約束の橋が目の前にあります。
来た道をたどってフィニッシュ会場に帰ります。
♪これからの君はまちがいじゃない…
といいのですが。

空と君との間にはー板橋Cityマラソン2017DNF記1

板橋Cityマラソン2017は9時ちょうどに号砲がなりましたが、その頃私はまだスタート地点に到達していませんでした。
号砲と同じタイミングで撮った写真。
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奥の左に向かう列がスタートエリア、手前の右に向かう列がそれぞれのスタートブロックに並びに行く人の流れです。
ここから2分かけて、やっとこ最後尾にたどり着きました。

中島みゆきの名曲では、空と君との間には冷たい雨が降っていましたが、空と板橋Cityマラソン2017の最後尾に立った私との間には、ヘリが飛んでいました。
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そして、後ろの空と私の間には、やはりヘリが飛んでいます。
でも、誰もいません。
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参加者1万8,000人の頂点に立った瞬間でした。
ここに到着した時点でスタート時刻を過ぎていたのですが、私が最後尾に立ったのもつかの間、次から次へと最後尾にランナーがやって来ます。
さっきの写真のように、スタートゲートからほぼ1km遡ったところにある最後尾には、たどり着くのに時間がかかります。
スタート時刻が過ぎても並べていないランナーが、少なくとも1,000人以上はいると思ってよいでしょう。
そこでは最後尾が常に更新され、流転しています。
おごれるものも久しからず、って最後尾の私達は決しておごっていないのですが、おごらないものもまた久しからず、スタートの号砲にはやはり諸行無常の響きがあります。
実はハセツネ2016も体調不良で最後尾に並んだのですが、似たような状況だったことを思い出しました。
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見事にバラバラというか、なぜだか並んでないのです。
さすがに人数が少ない分、ハセツネの方がフリーダムというか、のんびり感があるような気がします。
過酷な「日本山岳耐久レース」のスタート前とは到底思えません。
もしかしたらどんなレースでも、最後尾は基本、ちゃんと並んでないことが多いのではないかと推測できます。

スタートゲートに向けて、ゆっくりと前に進むのですが、そのあいだ板橋区吹奏楽団が演奏してくれる曲がよく頭に残りました。
私が覚えているのは、夏の甲子園の入場曲、栄冠は君に輝く、運動会で流れる行進曲、太陽に吠えろ、嵐の走り出せ!っていう歌、でした。
栄冠は君に輝くと運動会の行進曲の間は、歩いていたのですが、とても勇ましく行進するような状況ではなく、周りの参加者ともども、だらだら歩いてました。
思ったのは、いい大人はシャキッと行進なんてしないものなんだなということ。
フルマラソンに挑むような体育会系な大人でも、だいたいシャキッとしてないと思うと、微笑ましくなりました。
私達大人はだいたいシャキッとしてません!
妙な自己肯定をかみしめることができました。
行進は未成年に任せますが、彼らもシャキッと行進しなくていいのかもしれません。
大人がこうだから、彼らもグデっとしててもよいはず。
曲は太陽に吠えろに変わります。
この日は最高気温が20℃になり、スタートの9時ですら13℃ほどありました。
人いきれの熱もあり、歩いてるだけでも暑くて喉が乾いてしまったほどです。
太陽に吠えるというよりも、あっちいよ…、と太陽にぼやく気分になりました。
太陽にぼやけ!ドラマにならなそう…。
嵐の走り出せが流れてきた当初は、まだ周りが走れるような状況ではありませんでした。
走り出せ!ってまだ走れんわ。
みたいな脳内漫才をしているうちに、ようやくスタートゲートの50m手前くらいまで進みました。
そこからは突然、前のランナー達がスピードアップして、スタートゲートをくぐる頃には巡航速度で走り出すことが出来ていました。
入場曲でたらたら歩いたあとに、一回太陽にぼやいてからの走り出せだったので、本当に丁度いい流れだったなと、今振り返って思います。
板橋区吹奏楽団、グッジョブ♪
ゲート前で、ゲストの増田明美瀬古利彦土佐礼子の各氏と板橋区長とハイタッチを交わし、コースに飛び出しました。
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ゲート通過は号砲から18分42秒後、私のintermissionである選択的DNFの旅が、本格的に始まりました。

Wintermission2017‐1ー先生と山2017冬1

2月11日に長野県の飯盛山で、雪山ハイキングしてきました。
よく山行に連れていってくれる先生からのお誘いがあり、先生の職場の方を含め3人の山行でした。
10時30分ごろ、小海線清里駅にて合流し、先生の車で平沢峠の登山口に向かいました。
ちなみに新宿から乗った特急は8時ちょうどのあずさでしたが、2号ではなくスーパーあずさ5号でした。
年齢によってはこのネタがわからない方もいらっしゃるかもしれません。
私自身、リアルタイムでは知らないのです。

さて、目的の飯盛山は長野県南牧村にある1,643mの山です。
いいもりやまではなく、めしもりやまと読みます。
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めしもりやま、の名に恥じない山容ですが、山盛りご飯というよりは盛り塩に見えてしかたありません。
三角コーンに見えなくもありません。
ピラミッド伝説があってもおかしくないかも。
平沢峠の登山口からは休憩含めて1時間ちょっとで到着しました。
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後ろが私です。
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振り向けば八ヶ岳、赤岳は雲の中。
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下山中の一コマ、うっすら写る富士山よりもきれいな円錐です。

この日は晴天ではありましたが雲が多く、ご近所の八ヶ岳すら全身を見せてくれたわけではありません
でした。
気持ちよく歩けたものの、眺望を楽しむという感じではありません。
でも、ふと視界が晴れたときの爽快感はやはりよいものです。
たとえはっきり見えていなくても、あの雲が少しずれたら見えるなあ、あそこにうっすら見えてるのはあの山ですよね、という想像や会話の向こうに、その山があるということ。
それは見えていることとは、別の種類の楽しさであるということを、改めて意識しました。
こうやって何かを認識するということは、やはりwinterのmissionなのでしょうか。
ただのintermissionではないのかもしれません。