竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

空と君との間にはー板橋Cityマラソン2017DNF記1

板橋Cityマラソン2017は9時ちょうどに号砲がなりましたが、その頃私はまだスタート地点に到達していませんでした。
号砲と同じタイミングで撮った写真。
f:id:CHIKUSENDO:20170320233056j:plain
奥の左に向かう列がスタートエリア、手前の右に向かう列がそれぞれのスタートブロックに並びに行く人の流れです。
ここから2分かけて、やっとこ最後尾にたどり着きました。

中島みゆきの名曲では、空と君との間には冷たい雨が降っていましたが、空と板橋Cityマラソン2017の最後尾に立った私との間には、ヘリが飛んでいました。
f:id:CHIKUSENDO:20170320193551j:plain
そして、後ろの空と私の間には、やはりヘリが飛んでいます。
でも、誰もいません。
f:id:CHIKUSENDO:20170320193902j:plain
参加者1万8,000人の頂点に立った瞬間でした。
ここに到着した時点でスタート時刻を過ぎていたのですが、私が最後尾に立ったのもつかの間、次から次へと最後尾にランナーがやって来ます。
さっきの写真のように、スタートゲートからほぼ1km遡ったところにある最後尾には、たどり着くのに時間がかかります。
スタート時刻が過ぎても並べていないランナーが、少なくとも1,000人以上はいると思ってよいでしょう。
そこでは最後尾が常に更新され、流転しています。
おごれるものも久しからず、って最後尾の私達は決しておごっていないのですが、おごらないものもまた久しからず、スタートの号砲にはやはり諸行無常の響きがあります。
実はハセツネ2016も体調不良で最後尾に並んだのですが、似たような状況だったことを思い出しました。
f:id:CHIKUSENDO:20170325043134j:plain
見事にバラバラというか、なぜだか並んでないのです。
さすがに人数が少ない分、ハセツネの方がフリーダムというか、のんびり感があるような気がします。
過酷な「日本山岳耐久レース」のスタート前とは到底思えません。
もしかしたらどんなレースでも、最後尾は基本、ちゃんと並んでないことが多いのではないかと推測できます。

スタートゲートに向けて、ゆっくりと前に進むのですが、そのあいだ板橋区吹奏楽団が演奏してくれる曲がよく頭に残りました。
私が覚えているのは、夏の甲子園の入場曲、栄冠は君に輝く、運動会で流れる行進曲、太陽に吠えろ、嵐の走り出せ!っていう歌、でした。
栄冠は君に輝くと運動会の行進曲の間は、歩いていたのですが、とても勇ましく行進するような状況ではなく、周りの参加者ともども、だらだら歩いてました。
思ったのは、いい大人はシャキッと行進なんてしないものなんだなということ。
フルマラソンに挑むような体育会系な大人でも、だいたいシャキッとしてないと思うと、微笑ましくなりました。
私達大人はだいたいシャキッとしてません!
妙な自己肯定をかみしめることができました。
行進は未成年に任せますが、彼らもシャキッと行進しなくていいのかもしれません。
大人がこうだから、彼らもグデっとしててもよいはず。
曲は太陽に吠えろに変わります。
この日は最高気温が20℃になり、スタートの9時ですら13℃ほどありました。
人いきれの熱もあり、歩いてるだけでも暑くて喉が乾いてしまったほどです。
太陽に吠えるというよりも、あっちいよ…、と太陽にぼやく気分になりました。
太陽にぼやけ!ドラマにならなそう…。
嵐の走り出せが流れてきた当初は、まだ周りが走れるような状況ではありませんでした。
走り出せ!ってまだ走れんわ。
みたいな脳内漫才をしているうちに、ようやくスタートゲートの50m手前くらいまで進みました。
そこからは突然、前のランナー達がスピードアップして、スタートゲートをくぐる頃には巡航速度で走り出すことが出来ていました。
入場曲でたらたら歩いたあとに、一回太陽にぼやいてからの走り出せだったので、本当に丁度いい流れだったなと、今振り返って思います。
板橋区吹奏楽団、グッジョブ♪
ゲート前で、ゲストの増田明美瀬古利彦土佐礼子の各氏と板橋区長とハイタッチを交わし、コースに飛び出しました。
f:id:CHIKUSENDO:20170320214934j:plain
ゲート通過は号砲から18分42秒後、私のintermissionである選択的DNFの旅が、本格的に始まりました。

Wintermission2017‐1ー先生と山2017冬1

2月11日に長野県の飯盛山で、雪山ハイキングしてきました。
よく山行に連れていってくれる先生からのお誘いがあり、先生の職場の方を含め3人の山行でした。
10時30分ごろ、小海線清里駅にて合流し、先生の車で平沢峠の登山口に向かいました。
ちなみに新宿から乗った特急は8時ちょうどのあずさでしたが、2号ではなくスーパーあずさ5号でした。
年齢によってはこのネタがわからない方もいらっしゃるかもしれません。
私自身、リアルタイムでは知らないのです。

さて、目的の飯盛山は長野県南牧村にある1,643mの山です。
いいもりやまではなく、めしもりやまと読みます。
f:id:CHIKUSENDO:20170317221257j:plain
めしもりやま、の名に恥じない山容ですが、山盛りご飯というよりは盛り塩に見えてしかたありません。
三角コーンに見えなくもありません。
ピラミッド伝説があってもおかしくないかも。
平沢峠の登山口からは休憩含めて1時間ちょっとで到着しました。
f:id:CHIKUSENDO:20170317221621j:plain
後ろが私です。
f:id:CHIKUSENDO:20170317222647j:plain
振り向けば八ヶ岳、赤岳は雲の中。
f:id:CHIKUSENDO:20170317222125j:plain
下山中の一コマ、うっすら写る富士山よりもきれいな円錐です。

この日は晴天ではありましたが雲が多く、ご近所の八ヶ岳すら全身を見せてくれたわけではありません
でした。
気持ちよく歩けたものの、眺望を楽しむという感じではありません。
でも、ふと視界が晴れたときの爽快感はやはりよいものです。
たとえはっきり見えていなくても、あの雲が少しずれたら見えるなあ、あそこにうっすら見えてるのはあの山ですよね、という想像や会話の向こうに、その山があるということ。
それは見えていることとは、別の種類の楽しさであるということを、改めて意識しました。
こうやって何かを認識するということは、やはりwinterのmissionなのでしょうか。
ただのintermissionではないのかもしれません。

Intermissionを終えてー板橋Cityマラソン2017

板橋Cityマラソン2017をサブツーで終えました!
1時間53分55秒、人類の夢サブツー!
なんて言うだけ虚しいのですが、6.6kmの第2エイドでリタイアを申告してゼッケンをはずし、きちんと走れば38.6km地点の関門の係員にチップを託し、フィニッシュ地点に帰りました。
往復の13.2kmで、私の板橋Cityマラソン2017は終わりました。
スタートは最後尾に並び、一瞬ではあるものの、参加者1万8,000人の頂点に立ちましたが、そこは底辺とも呼びます。
でも、そこに居続けることは大変だということがわかりました。
最前列も時間とともに変わりますが、最後尾は比較にならないくらい目まぐるしく変わってゆくことがわかりました。
万物は流転する。
古代ギリシアの哲人の言葉が、身に迫ります。
底辺で頂点からの眺め。
f:id:CHIKUSENDO:20170319194255j:plain
f:id:CHIKUSENDO:20170319194421j:plain
スタートの号砲の声、諸行無常の響きあり。
見たことのない世界を見に行ってきます。