竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

2017年初詣山行0ー愛宕山・明智越・唐櫃越

ここ何年か、初詣は京都の愛宕山に登っています。
愛宕山は標高924mで、京都市内では一番高い山です。
古来山岳信仰の山でもあり、天狗伝説が残っていたり、空也法然親鸞といったビッグネームの修行の地であったりと、筋金入りの霊山です。
現在でも山内には愛宕神社月輪寺といった神社仏閣があります。
また、明智光秀との縁が深いことでも有名で、居城の丹波亀山(今の亀岡)からよく参詣に訪れていたそうです。
その時に通っていたのが「明智越」(あけちごえ)という山道です。
本能寺の変の前にも、愛宕山で開かれた連歌の催しで、謀叛の決意を匂わせるような歌を奉納したという逸話も残っています。
その本能寺の変では、亀岡から京都に軍勢を送り込むために「唐櫃越」(からとごえ)という山道を利用したとのことです。
愛宕山の歴史は知れば知るほど奥深いので、興味がありましたらぜひ調べてみてください。

愛宕山は登山者や一般観光客にもポピュラーな山で、コースはきれいに整備されています。
しかし、一般登山道以外に枝道などがたくさんあり、迷い込んでの遭難事故が絶えないことでも有名です。
また、登山口は標高100mくらいで、山頂までは800mほどを4,5kmで登り切らなくてはならない、ヴァーティカルレースさながらの厳しい登りが待っています。
なかなか鍛えられる山です。
今回は月輪寺経由で愛宕神社に参詣し、水尾の集落に下りました。
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愛宕山遠景

愛宕山を登ったあとは、明智越の山道を通って亀岡市に抜けていました。
明智越は、最高点が標高400mちょっとの尾根道を基本とした山道で、愛宕山麓の水尾から亀岡の保津町を繋いでいます。
こちらもきれいに整備されていますが、人通りは少なく、快適な道のりです。
コース上には亀岡市が、歴史的遺構や伝説の説明看板を何個か立てています。
興味がある方は読んでみてください。
りっぱな看板です。
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明智越 土用の霊泉

いつもの初詣山行は愛宕山~明智越、下山後は亀岡駅から電車で帰っていましたが、今回は唐櫃越にも足を伸ばしてみました。

明智越を越えて亀岡市に入り、唐櫃越の山道から京都に戻ります。
明智越の麓からは保津川を越えて馬堀駅を目指して、田んぼのなかを進みます。
馬堀駅から東に向かって行くと、突き当たる山が唐櫃越の山道で、篠町山本という集落から京都の上桂駅周辺に抜けます。
過去数回、明智越からの流れで山行計画を立てましたが、いつも山道に取りつくことなく断念していました。
今回は初踏破でした。
標高435mのみすぎ山を最高点に、基本尾根沿いの道を、緩いアップダウンを繰り返す道のりです。
枝道が多くて迷い易いとの評判もあります。
今回は先達の山行レポートを読み漁り、入念に準備しましたが、果たして。
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唐櫃越 みすぎ山

今回の山行は、全行程で大体30kmくらいになったそうです。
初山行にしては距離が長めで、頑張ってしまった感じがあります。
レポートは追々、まとめてゆきます。
また、遅れ馳せですが、今年もよろしくお願いいたします。

終わりも始まりもートレランのおしゃべり考

トレイルランニングのレースでは、周りのランナーと話しながら走ることが珍しくありません。
私は自分から話しかけることは多くないのですが、話しかけられればけっこうおしゃべりします。
レース中だと、たいてい見ず知らずの方と話すことになりますが、そういうのは苦にならないタイプのランナーです。
場合によっては相手の顔も見ないまま話すようなこと(前後して進んでいるときとか)もありますが、顔が見えなくても話はできます。
相手の目を見て話しなさいとかいった常識が、実は無意味なことがよくわかります。
状況次第ですが、相手の目を見なくても、コミュニケーションは成立するのです。
そういった、色々なコミュニケーションの条件や制約を越えたおしゃべりが、トレイルランニングもしくは山の中では、自然と出来るんじゃないかなと思います。
それまで眠かったりダルかったりしても、おしゃべりすると気分がよくなることも多く、そういう効用もあります。
ただし、それを目的に話をしてるわけではありません。
制約からも目的からも解き放たれたコミュニケーションとしてのおしゃべり。
そこに自由を感じます。

もちろん、情報交換という意味での効用もおしゃべりにはあります。
今年一番レース中におしゃべりしたトレイルランナーは、美ヶ原とFTR100でお話しした方でした。
美ヶ原ではA5長門牧場の出発直後から少しお話しして、そのあと、フィニッシュに向かうスキー場でも言葉を交わしました。
再会したFTR100では、有間峠付近の泥沼ピストントレイルでエイドの食料についての情報を伝えてくれました。
美ヶ原のレースでは、私がUTMFに初挑戦するという話をしたところ、ご自身のUTMF2015の完走体験を教えてくれました。
色々なアドバイスをもらった中で、UTMF対策で一番印象に残ったのは、ヘパリーゼ
彼はヘパリーゼの積極活用で、完走率42%くらいで過酷だったUTMF2015を完走しました。
私のUTMF2016のドロップバッグとサポーターバッグに、大量のヘパリーゼが詰め込まれたことは言うまでもありません。
短縮レースとなったため効果はわかりませんでしたが、次の機会には是非またヘパリーゼ持参で臨みたいと思います。

また、おしゃべり相手から、まるで詩のような言葉を聞くこともあります。
同じく美ヶ原のレースで、A5長門牧場に向かう長い登りでちょっとおしゃべりをした方が、牧場のアイスクリームが美味しい!と教えてくれました。
この日の美ヶ原2016は暑い1日で、暑さに弱いトレイルランナーである私は、この長い登りでかつて無いほどヘロヘロになり、集中力も切れかけてました。
完全に熱中症の一歩手前まできていたのですが、そんな状況で長門牧場で売っているアイスクリームが美味しい!との情報を教えてくれたのです。
暑さでヘロヘロの私にとって、美味しいアイスクリーム!という響きは、絶大なモチベーションとなりました。
その後の道のりはアイスクリーム、アイスクリーム、アイスクリームだよ♪と心の中で歌いながら走りました。
牧場の売店で購入できたそのアイスクリームの、美味しかったこと、この上ありませんでした。

そして、後ほど、フィニッシュも近い高原地帯でその方にお会いして、お礼をしたときの話です。
18時半を過ぎた頃、日が沈みかけていて、高原がうっすらオレンジ色に染まっていました。
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この写真はそのちょっと後に撮ったもので、正直なところ雰囲気は出てませんが、ここがオレンジに染まっていたところを想像してみてください。
私はお礼だけ伝えて先に進もうとしていたのですが、景色に見とれて、ふと立ち止まってしまいました。
そんなとき、その方が「もう終わっちゃうね」と言ったのです。
何の気なしに言った言葉だとは思いますが、それが強く心に残りました。
楽しかった時間も苦しんだ時間も、自然に浸る時間も、フィニッシュに近づくにつれて、少しずつ終わっていきます。
そして、フィニッシュラインを越えたら、終わってしまうのです。
過ぎ行く時間への名残惜しさのようなもので、レース終盤に恐らく誰もが感じている感慨が込められたその短い言葉に、強く心が打たれました。
風景と相まって、とても詩的に感じました。
その場は応える言葉が浮かばずに立ち去ってしまいましたが、フィニッシュした後、ああ終わったなと思うと同時に、次はUTMFか、と、次のレースのことを考えている自分がいました。
そのとき、ひとつが終わるとまた次が始まる、そういうことなんだなと感慨深くなりました。
終わってもまた始まるのです。
先にフィニッシュしていた友人とその日のレースの話をしながら、そんなことを考えていました。
もし、あのときの言葉に応えられるならば、あのときに帰って言葉を交わせるのであれば、「でも、また始まりますよね」と今なら言えると思います。
もう終わっちゃうね、でもまた始まるね。
今年のトレイルでのおしゃべりのなかで、一番印象深いことばでした。

思えば「年末年始」という言葉も、似たような感じです。
終わったら、始まります。
さらに「月末月初」もそうかと思うと世知辛さが一挙に上がりますが…。
終わりがあると始まりが来る、今年は終わるけど来年が始まります。

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晦日の御大。
UTMFは2018年までないけど、来年も遊びに行きたいと思います。
そして、皆様、2017年が良い年になるよう祈っております。
来年もお暇があればよろしくお願いいたします。

残してもしかたないのに4結ーTOKYO八峰マウンテントレイル2016

えー、酔った勢いで3連チャンなのです!

以下、装備と反省を少しばかり書こうと思います。

装備
靴:スポルティバミュータント
靴下:C3fit紙ソックス五本指じゃないやつ
カーフ:CEP
パンツ:ノースフェイス腹巻き風パンツ
タイツ:スキンズA400
アンダーウェア:オンヨネブレステックPPメッシュ
アームカバー:ファイントラックアクティブスキンランナーズオリジナル
手袋:サロモン
シャツ:バイロ半袖
首:手ぬぐい
頭:ロウアルパインキャップ
サングラス:持参を忘れました
レインジャケット:ノースフェイス
レインパンツ:ノースフェイスストライク
ザック:マウンテンハードウェアレースベストパック
水:ソフトフラスク500mL×2+予備400mL

オンヨネブレステックPPメッシュは、汗冷え対策にはもってこいなのですが、予想外に暑いレースでは、保温力の高さゆえに、暑さを避けることができないのです。
マーモットで同様のポリプロピレンを使ったアンダーも持参していたので、選択をミスしました。
マーモットは保水性のあるポリウレタンの使用率が高いため、体温を下げる効果は高いのです。
それとサングラス忘れが痛かったですね。

あと、いちばんの失敗は補給食のショートです。
1年の棚卸しにもかかわらず、ジェルを2本、家に残していました。
残してもしかたないのに、残してしまったがために、ハンガーノックスレスレに苦しむことになったのかと思うと、悔しい、の一言に尽きます。
今年1年のレースは、何かを残して終わりました。
来年も何かを忘れて何かを残すのだろう。
でも、苦しみを抱きしめて走るby鏑木毅、のだと思います。
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そんな感じで引き続き、山で遊んでいたいと思ってます。