竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

高気圧はVenus達の交差点ースカイライントレイル菅平2022レポート1

2022年5月29日に開催された15th SKYLINE TRAIL SUGADAIRAのスカイマラソン43㎞の参加レポート第1段です。
菅平はアツい。

この日は朝から暑さを予感させるような陽気でした。
菅平の当日の天気は以下の通りです。

菅平は標高1200mくらいの高地ですが、スタート時刻の7:00には既に15℃を超えていました。

スタートゲートの向こうの抜けるような青空にちむどんどんしつつも、暑さへの不安も膨らんでいきます。
ところでこの「ちむどんどん」という言葉は、例の朝ドラが終わったら言葉の意味さえわからないものになるのでしょう。
暢子やニーニーなど、俳優の演技力が素晴らしいだけにキャラクターのダメさが際立ってしまい、ちむわさわさしてちむぐりさんです。
いきなり脱線してますが、2年ぶりの菅平、晴れ渡った菅平に心浮き立つのは止められません。
今回はコロナ禍以降主流となったウェーブスタート無しで、一斉スタートでした。
久しぶりの一斉スタートに多少違和感はあったものの、序盤のトレイルヘッドに向かうロードを走るうちに、いつもの感覚が戻ってきました。

よーいドンでドーっと走り出すこの感覚、なかなか心地よいものです。
このレースのトレイルヘッドはスキー場の登りで、そこを登り切ってからしばらく進むと、かなりの急斜面となります。
チャンピオンゲレンデという名のゲレンデだと思いますが、そこを登り切った大松山からは、菅平と四阿山根子岳が一望できます。

来し方と行く末を一瞬望んだ後、車が通れるトレイルをしばらく走ります。

このあたりはトリプルトラックくらいの広さがあり、快適に走ることができます。
今回は7時間を切るという目標を立てていたので、走るスピードもいつもより私基準で2割増しくらいでした。
ただ、広いトレイルは頭上も開けているので、太陽を浴び続けながら走ることになります。
広い林道のトレイルからシングルトラックの森のなかに入ると、日差しから逃れることができて、スタートから感じていた暑さから解放されました。
その後再び林道から山麓に降りると8.5km地点のA1にたどり着きます。
今回はアームカバーに水をかけてもらうだけで通過しました。
ここから4.5km先の13km地点にA2があり、レース前からよほどのことがない限りA1では補給の必要がないと想定していて、今回はトラブルなく無事にここまで来ることができていました。
想定通りの通過です。
タイムはスタート後1時間5分くらいだったと思いますが、記録がないため定かではありません。
A1通過後は基本的にシングルトラックの山道に入りますが、次のエイドまでの距離が長くないので、なるべくペースを落とさないように走り続けます。
足元に広がる笹の緑がきれいでした。
白樺混じりの森のなか、少しずつ疲れを感じながらも気持ちよく走ります。
ただ、気温が高いため水の消費量が多くなってきていました。
2本持ちの500mLのソフトフラスクは既に1本空になっています。
A2では補給必至ですね。
やがてスキー場のゲレンデを下るとA2に到着しますが、今回はその手前のトイレに立ち寄り、7,8分滞在しました。
トイレ後にエイドインしたのは、スタート後1時間48分くらいです。
A2ではソフトフラスクに水分の補給を済ませ、ミニゼリーをいくつかいただいて英気を養いました。
エイドアウトはエイドインから5分後、スタートから1時間53分が経過していました。

次のA3は29km地点、ここからの距離は16kmあります。
ほぼトレイルで、途中に標高差500mほどの大きな登り下りが一つあります。
先を急ぐつもりでしたが、エイドアウト直後のシュナイダー記念碑への登りで、靴ひもがゆるんでいるのに気がつきました。
いつもならエイドで靴ひもの締め具合を確認するのですが、今回はすっかり忘れていました。
目標を7時間切りにしていたため、いつもより速いペースで走り続けてきています。
だからと言って、安全確認を怠ってしまうのは危ない傾向です。
少し心を落ち着けて靴ひもを結ぶと、とてもいい感じの締め心地に締め直すことができました。
速く走らなきゃ!と、必要以上に気持ちが張りつめていたのですが、一息入れてこれまたいい感じに気持ちを締め直すことができました。
タイムも大事ですが、心地よく走ることも大事です。
人心地ついてシュナイダーを回り込むと、四阿山根子岳がドーン!

青空を従えてそびえ立ちます。
広大な草原となったゲレンデを走りながら、再び四阿山根子岳

そして、振り向けば北アルプス

高気圧はVenus達の交差点とはよく言ったものです。
山の神様は女神様だという話もありますね。
美しい青空と美しい山々に心が踊ります。
こんな景色に出会えた幸せを感じました。
心が踊れば足取りも軽くなるもので、登り基調の草原を走り切って、短いトレイルとロードを経由して、菅平牧場内に入ります。
この牧場の下部を走るトレイルは比較的フラットで走りやすいのですが、少し疲れて気持ちも切れてしまうポイントで、例年は大体歩き出してしまっていました。
今回は7時間切りという目標があるため、なんとか走り続けますが、暑いのなんのでスピードが上がりません。
それでも途中に沢があることを思い出してからは、そこでかぶり水をすることだけを楽しみに進み、目的の沢にたどり着いて、かぶり水とアームカバーを水浸しにして身体を冷やしました。
身体が冷えると心も落ち着きます。
とはいえパフォーマンスが劇的に上がったわけでもないのですが、四阿山の登山口に着くまでは走り続ける気力を維持できました。

この時点でスタート後3時間ちょうどくらいで、ここから直登が始まります。
レース前はこの登りを全てステップを踏んで走り切ってやろうと思っていたのですが、早々に諦めました。
だって暑いんだもん…。
時刻は10時過ぎ、太陽は勢いを増し、気温もぐんぐん上昇しています。
この山道は森のなかを通る序盤は直射日光を避けることができますが、中盤は牧場わきの草むら、終盤は丈の低い樹林帯で、太陽光線を遮るものはありません。
ただ、やはり高気圧はVenus達の交差点。
緑の牧場の向こうに青く広がる北アルプス

晴天は正義なり、とはよく行くランニングショップの店長さんの言葉ですが、その通りですね。
心が洗われる美しさです。
写真に写る美しさで、写真には写らない暑さをしばし忘れてしまいましょう。
まあ、きれいな景色が見えたからといって走る気力を取り戻せたわけではないのですが、早歩きの速度を上げることはできたようです。
四阿山中腹の分岐点には登山口から38分で到着。

直近で参加した2020年大会よりも7,8分短いタイムで登れました。
ここから少しだけ登ってから、菅平牧場への長い下りトレイルに入ります。
初夏の笹の繁るトレイルは快適でした。

2020年大会参加時はこの下りで気力が尽きてしまい、下りにもかかわらずたらたら歩く時間帯が長かったのですが*、今回は心を鬼にして走り続けます。

https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2020/10/22/195341
ただ、鬼とはいえども、その鬼も鬼に追い立てられるのも自分自身でしかなく、ついつい甘さが出てスピードが緩んでしまいます。
だって暑いんだもん…。
分岐から少し登った先が1900mくらい、標高としてはかなり高いものの、太陽に温められた樹林帯の暑さにこれはいかんぜよと思います。
走ってはいるもののペースは上げられないまま、たどり着いたのは大明神沢。

ここで待望のかぶり水です。
本当はここの水を飲むことも楽しみにしていたのですが、雨の後で濁っていたので遠慮しました。
それでもかぶり水だけで生き返るには充分です。
ここまで来れば菅平牧場のA3はすぐ近く、疲れで足をとられつつも10分ほど下ってたどり着きました。
牧場はVenus達の交差点。

乳牛達に出迎えられてエイドインします。
スタートから29km走ってきて4時間23分経過、時刻は11:23。
太陽がますます激しく熱を放っています。