竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

もっと光をー伊豆トレイルジャーニー2019レポート4

伊豆トレイルジャーニー2019の参加レポート第4段です。
足のケアやコーヒータイムでゆっくりと過ごしたエイドを後にします。
15時24分、スタートから9時間24分でA3土肥駐車場を出発しました。
A3が51.2km地点なので、68.3kmのフィニッシュまで残りは17.1kmです。

出発直後から登り基調で、コース最高標高地点の達磨山を目指します。
達磨山手前からの富士山。
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この日は富士山の景色がよすぎて、何枚も写真を撮ってしまいました。
こんなにきれいに見えているなんて、本当に幸運だったと思います。
達磨山にはエイドから30分ほどで到着しました。
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そして何度でも富士山。
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ため息が出てしまいます。
時刻は16時頃、夕陽が傾きはじめています。
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フィニッシュまでの間に確実に日が沈むなと思いながらも、しばし見とれていました。
この日最後の富士山の写真。
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堪能した一日でした。

達磨山を過ぎてからは下り基調で、C3戸田(へだ)峠を経てC4だるま山高原レストハウスを目指します。
階段の多いトレイルをドカドカ下りながら、第1回大会のことを思い返していました。
そのときは曇りで強風が吹き荒れていて、今回に比べると過酷なコンディションでした。
同じトレイルでも天候次第で大きく印象が異なります。
今回は好天に恵まれて幸運でした。
C3(56.1km)には、A3からの約5kmで58分要しました。
ここからC4までは芝生のトレイルです。
とても走りやすいので快調に走れましたが、また第1回大会のことを思い出しました。
第1回大会ではここを飛ばしすぎて、大会翌日から約1ヶ月にわたってろくに歩けなくなるくらいの大故障につながりました。
今回は右足と左足に痛みがあるため飛ばすことはできませんが、同じ轍を踏まぬようさらに自重します。
C3から16分で2km先のC4に到着、時刻は16時39分、ここでライトと発光体を装着します。
装着に6分かかっているうちに戸田峠手前で追い越したBさんに抜かれましたが、出発直後のトレイルで再度抜き返しました。
この日は図らずも抜きつ抜かれつになっていました。

16時45分にC4を出発してから、すぐに目の前の山道に入りました。
修善寺総合会館のフィニッシュまでは残り10.2kmです。
第1回大会の記憶では、ここからはほとんどがロードだったような気がします。
私にとっては初めての区間です。
最初は山道、後に未舗装と舗装を繰り返す林道を下り、いったんロードで登り返した後、再度未舗装と舗装を繰り返す林道に入ります。
林道は途中から山道となり、ラストのロードに合流します。
下り始めた私には大きな問題が起きていました。
ヘッドライトもハンドライトも、ともに光量が小さすぎて、前がよく見えないのです。
ヘッドライトはブラックダイアモンドのストームで、ハンドライトはジェントスの閃です。
スペック上はどちらも申し分ないのですが、いかんせん電池が古すぎました。
最後に新品の電池に取り換えたのは恐らくは2年前、今回は使用時間が短いのでそのまま使用しましたが、放電のせいか、光量が大分落ちていました。
これだけ光が弱いと怖くて仕方がありません。
もっと光を!(泣)
と切実に思いますが、この期に及んでどうしようもないので、山道や林道のトレイルではスピードを緩め、足下をじっくり見ながら進みます。
月明かりがあるところや舗装区間ではある程度スピードを上げますが、それもたかが知れています。
たまに後ろについた選手の光量が強いと、本当に救われたような気分になりました。
下りでスピードを出せないので、登り返しのロードは全部走りました。
窮すればなんとやらですが、同時に残りが全てロードであればいいなとトレイルランナーにあるまじき願望を抱きましたが、その願望は再びの林道にくじかれます。
はかなかったです。
少し助かったのは、この林道は未舗装と舗装を繰り返していましたが、舗装区間では白っぽい舗装材が月明かりを反射していたため、多少明るく見えていたことです。
ちょうど月が上っている方向に向かって林道が開けていたことも幸いしました。
ほんの少しですが、幸運だったのだと思います。
ただ、最後の山道は背の高い林のなかに入ってしまい月明かりが届かず、泣きそうな思いでゆっくり下りました。
え~ん、怖いよ~、と、心のなかで泣きっぱなしでした。
修善寺市街地に向かうロードに合流できたときには、心底ほっとしました。
街灯のありがたみをしみじみ感じました。

ほっとした思いで最後のロードに入りましたが、恐怖から解放されたことで、少し欲が芽生えてきました。
もしかしたら12時間を切ってフィニッシュできるんじゃないか。
12時間を切れたら、先程の下りで走れなかったことで鬱屈した気持ちを晴らせるのではないか。
どうせなら晴れた気持ちでフィニッシュしたい。
そんな欲から、フィニッシュ会場の修善寺総合会館を目指して、できうる限りのスピードで走ります。
両足の痛みに配慮しながらも、私にしては珍しく、ロードレースなのかというくらい激しく追い込みました。
ただ、GPSウォッチを持っていない私、残りの距離が手元ではわかりません。
いつまで追い込めばいいのかわからないまま追い込んでいるのは辛かったです。
やっぱりGPSウォッチ買おうかな。
やっと安心できたのは、地元の応援の方の「あと787m」のボードを見てからでした。
手元の時計で5分ほど残しています。
それでも追い込みは続けましたが、気持ちは大分楽になりました。
とてもありがたかったです。
橋を渡って修善寺総合会館の敷地内に入ると、大勢の方が出迎えてくれていました。
ありがとうのハイタッチで駆け抜けると、フィニッシュゲートの向こうには鏑木さんが待っています。
最後はゆっくり歩いて、Faxbisを11時間59分20秒でフィニッシュしました。
修善寺で鏑木さんと握手するのは6年ぶり、目標も達成できて良い旅となりました。
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