竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

余韻ー美ヶ原トレイルラン2017余録3

私は美ヶ原トレイルランでは後泊するのを恒例にしていますが、朝が弱いために早朝散歩をしたことがありませんでした。
しかし、今回は落としてしまった手袋を探すために、初めてレース翌朝の会場を歩くことになりました。

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テーブルの周りに椅子が積み上げられています。
昨夜のにぎわいは今いずこといった感じです。
私はこうした祭りのあとの風景に漂う寂しさに、なぜだか心をひかれます。
終わった寂しさの向こうに、何かがまた始まる楽しさの芽があるようにも思っています。
始まったら終わりますが、終わったら始まります。

昨年の美ヶ原の次のレースは、UTMF2016でした。
初の100マイルレース挑戦だったため、美ヶ原のすぐ翌週からトレーニング山行を始めました。
7,8月の毎週末、9月になってもレースの2週前までは毎週、どこかの山で走り込むといった夏を過ごしていました。
終わったと思う間もなく、始まっていたのです。
今年は、まだ次が始まっていないところが、昨年と大きく違うところです。
足と脚の故障を抱えてしまったので、負荷がかかるようなことはせずに、余韻に浸りながら夏を過ごす計画を立てたいと思います。
とか言いながら先の海の日がらみの日月、八ヶ岳天狗岳に歩きで山行してきました。
下山してから故障の痛みを噛み締めているところなのですが、それはまた別の機会に。

余韻に浸ると言えば、南の耳のことが気になります。
今年のレースでは行くことがありませんでしたが、いつかの週末や三連休などで行ってみてもいいのかもしれません。
3回出場した美ヶ原トレイルランの記憶に、あのピーク周辺の景色が、なぜだか強く残っているのです。
南の耳は正確には「美ヶ原」にはなく、霧ヶ峰とか車山高原の奥に続く草原地帯にあります。
しかし、草原地帯の柔らかで穏やかな緑と、足下の硬くゴツゴツとした岩の感触が、私にとっての美ヶ原トレイルランの象徴となっています。
たぶん、象徴であるこの場所に来なければ終わらない、そうどこかで思っているのかも知れません。

「もう終わっちゃうね」
美ヶ原トレイルラン2016の終盤、南の耳でおしゃべりを交わした方の言葉でした。
そして、もしかしたら、私にとっての美ヶ原トレイルランの終わりは、フィニッシュゲートではなく、南の耳から見える景色なのかもしれません。
だから、今年の美ヶ原トレイルランはまだ終わってないとも言えます。
「でもまた始まるね」
フィニッシュ後に、私はそう思いました。
終われば始まります。
その感慨を私は忘れることができません*。

http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2016/12/31/163615

今年はどうだったかなと、今思い返しています。
終わらなければ始まらないけど、終わらないものは終わらないのです。
そして、終わらないなら終わらないまま、それはそれでよいのです。
余韻にひたりながら、足と脚の回復に努める夏にしたいなと思います。