竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

悩殺によろめくstageースカイライントレイル菅平2022レポート2

2022年5月29日に開催された15th SKYLINE TRAIL SUGADAIRAのスカイマラソン43㎞の参加レポート第2段です。
執筆が進まないうちに、FTRみなののレポートに追い越されてしまい、さらに櫛形ウインドトレイルにも出場してしまいました。
いい加減にこちらはフィニッシュさせたいと思います。
前段は菅平牧場のA3にエイドインした所で終わっています。

今回はフィニッシュタイムで7時間(43km)を切ることを目標にしています。
29km地点にあるここA3には、スタート後4時間23分で到着しました。
前回参加の2020大会では4時間40分くらいかかっていたので、だいぶタイムを縮めることができています。
エイドではコーラがぶ飲みのほか、ミニゼリーやミニトマトをいただきました。

たぬきもペロリ。
このサイズのゼリーは食べやすくていいですね。
一休みして11:30には出発しようかと思っていたら、ソフトフラスクの水分補充に手間取ってしまい、結局3分遅れの11:33にエイドアウトしました。
昼食時が近づいていて、牧場の牛もお食事タイムです。
一人で草を食んだり。

食事会を開いていたり。

牛達の背景には、アルプスがくっきり見えています。
ハイジでも出てきそうな雰囲気です。
ここはスイスなの?
さすが、駐日スイス大使館が後援する大会だけあります。
そういえば前の大使のジャン・フランソワ・パロさんは、過去の大会の前日セレモニーでスピーチして、翌日のスタートではスターターを務めていました。
今の大使のアンドレアス・バオムさんも、いつか菅平に来てほしいものです。

A3からフィニッシュまで残りは14kmです。
まずは、菅平牧場からの標高差700mほどの長い登りを経て小根子岳のピークを踏みます。
牧場から登山口までの緩斜面を、歩きとランを交互に入れながら進んでいきます。
太陽が燃えている、ギラギラと燃えている。
みなののレポートでもそんなことを書いた記憶がありますが、とにかく太陽が燃えていて、ジリジリとこの身を焼いていきます。
根子岳に向かう登山道は、木々に覆われていない南向きの斜面を直登します。
灼熱の太陽に焼かれて、早々にへばってしまいました。
近年得意としていた登りでまったくペースアップができず、むしろペースダウン。
ここまで急ぎ続けてきた疲れから足が重く感じます。
暑さで集中力も切れ始めてしまいました。
こういう嫌な流れを断ち切るためには、写真を撮るに限ると私は思っています。
体力が回復することはありませんが、多少は気が紛れ、負のスパイラルに水を差すくらいのことはできます。
梅?

根子岳のある根子岳は花の百名山に選ばれていますが、この梅?も関係はあるのでしょうか。
また、この登山道からも、振り向けば北アルプスがどーん。

美しいものを見た気分のよさを感じました。
この日高気圧に集ったVenus達は、人を暑さで苦しめながらも美しい景色で魅了する、たちの悪い神様達です。
悩殺によろめきながら、一歩一歩登ります。

苦しみながらも、小根子岳山頂にはレース開始から5時間38分経過した12:38に到着しました。

この景色を見るのはもう5回目で、晴れた日の綺麗さは予想はしてましたが、それでも絶景かな!
場合によっては2022年の最高到達地点になるかもしれないので、山頂標識も記録に残しておきます。

また、あれだけ苦しんでいた割には意外と悪くないタイムで到着できていることがわかりました。
A3から小根子岳山頂までの所要時間は、2020年大会では1時間6分かかっていたのが、この2022年大会では1時間5分でした。
ほんのちょっとですが縮まっていたのです。
ただ、その事実を知ったのはこの記事を書いているこの瞬間で、もしもレース中に把握していれば、もっと気持ちが上向いていたのかもしれません。
実際とは逆に、ずいぶんと時間を費やしてしまった感覚があった私は、ジェルを一本流し込んだらすぐに下山を開始しました。
下り始めにあるFieldsとコラボしたケルン。

ケルンに何かを巻き付けると何かいい感じになりますね、というのは私だけの感想でしょうね。
でもいい雰囲気でした。

ここからしばらく笹原の稜線を走ります。
笹原なので当然木々に覆われておらず、太陽光線を直接浴びてヘロヘロ。
気象条件がよければ楽しいトレイルなんですけどね。
ただ、ちょっと周りを見渡すと涼しげな光景がありました。
四阿山の山肌に残雪が。

白い筋のように、崖にへばりついています。
今までこの大会は6月の上旬に開催されることが多かったのですが、そのときは気がつきませんでした。
5月の下旬だとまだ残っているものなのですね。
ていうか暑いから、その雪、ちょっとこっちの稜線にも分けてくれませんかね。
笹原を根子岳の肩まで下ると、分岐を左折して菅平方面に進路を取ります。
ここからも基本は笹原で、時折木々に覆われるものの、太陽を遮る盾としては頼りないものがあります。
暑いのは相変わらずで走るスピードはどんどん弱っていき、ついには下りなのに歩きに切り替える回数がどんどん増えていきました。
暑さに悩んでよろめいているうちに、時は過ぎていきます。
ここを走りきることができていたら、おそらく目標の7時間切りもかなっていたのだと思います。
スタミナというか補給の問題もあるのかもしれませんが、とにかく暑い日にだれていってしまう傾向が強いので、今後はその対策が必要です。
信越五岳には間に合うでしょうか。

根子岳の肩から下ってきた道は、やがて先ほど登った根子岳直登の登山道へと合流します。
この辺りからは傾斜が急なので、否応なくスピードが出てしまいますが、山に合わせていれば勝手に脚が出ていくので、若干ですが脚運びが楽になってきました。
また、すれ違う登りの選手とエールを交換していると少しずつ気持ちも上向いてきます。
こうした声かけって、相手を応援しながら自分自身も鼓舞する働きがあるのでしょう。
自分のためにも大事なことですね。
そうしているうちに私の苦手な牧場脇のトレイルにさしかかります。
こちら、悪名高き、人の生き血をすする凶悪なガレ場でございます。

長い下りで脚が疲れているのと、レース終盤で集中力が低下しているところに待ち受ける不安定な浮き石地獄。
ここで転倒して流血しながらフィニッシュしたことが過去に何度かありました。
絶対にこけまいと、ペースを落として通過します。
その後にグラウンド脇のロードを少し走りますが、このあたりで、目標の7時間切りのフィニッシュができないだろうということが見えてきました。
集中力が切れて、また歩きだしてしまいます。
根子岳の登り下りを1つのステージと捉えてペースアップを図るつもりでいましたが、必ずしもうまくいかなかったことが一番の原因です。
しかし、レースをステージ分けせずに、序盤から基本の巡航速度を高めに設定できれば、途中からの頑張りに依存しなくてもよいのです。
レース巡航速度の設定を
かといって、最初から突っ込んだら確実に途中でつぶれます。
信越五岳までに、ちょうどよい巡航速度を身に付けられるよう意識してトレーニングするしかありませんが、こんな風に計算しながら走るのは辛いな…。

短いロードからゲレンデの長い下りに入ると、少しまた元気が戻ってきます。
元気は戻れど時間は戻らず、ただ、もう最後だから走れるだけ走ってみようということで、少しがんばることにしました。
しかししかし、このゲレンデは南斜面。
灼熱の太陽を真っ向から浴びて走るうちに、その元気もあっという間になくなってしまいました。
最後のエイド(2度目のA2)に着いた頃にはもうよろよろです。
時刻は13:42、スタートから6時間42分が経っていて、3km弱先にあるフィニッシュまで18分でたどり着かないと7時間は切れません。
ということで、ここで最終的に目標達成をあきらめました。
まずはかぶり水で体を冷やしてから、少し休んで心を落ち着けることにします。
この先は、おおざっぱにいえば1kmちょっと登って1kmちょっと下ってフィニッシュという感じです。
エイド出発は13:45、40km過ぎから最後の登りへ向かいます。

見ての通りの快晴。
そして何度も言いますが、暑いのです。
よろよろと力弱く進んで最後のゲレンデの下りへ。

時刻は14:01、スタート後7時間1分が経過、目標を達成できなかったことが確定したことを確認しました。
間に合わないとわかってから、あきらめてからもなお、こうして確定するまでは、悩みながらよろめきながら進み続けていましたが、それももう終わります。
草の緑色が目に沁みます。
晴れた日の菅平は本当に気持ちがいいです。
暑いのは勘弁してほしいですけど…。
結局スタートから7時間5分16秒でフィニッシュしました。

いつものようにフィニッシュラインの向こうにトライを決める恒例行事を全うすることができたのは何よりです。
誰からも求められていないパフォーマンスを続けるのはなかなか根性が必要なのですが、菅平という土地だからこそその根性を見せなければならないと思っています。
走りで根性見せろ。
そんな声が心のなかから聞こえてきますが、それは信越五岳に取っておきたいと思います。
ていうか、信越五岳は開催されるのかな…。