竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

菅平とFieldsと私

2020年も7月となってしまいましたが、私は過ぎ去った6月にまつわる思い残しをここに記そうかなと思っています。
2016年から毎年6月は、長野県の菅平で開催されるスカイライントレイル菅平に参加していました*。
気持ちのよいコースで、特に晴れた日の小根子岳からの眺めは最高です。
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今年は10月開催の予定だそうですが、もし可能ならば参加したいと思っています。

菅平にはトレランを始める前から縁があります。
菅平はラグビー合宿の聖地で、その名を知らないラグビー愛好家はほとんどいないんじゃないかと思います。
菅平は自他ともに認めるラグビータウンなのです。
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私も、サークルでラグビーをしていた大学時代、毎年夏合宿で訪れていました。
普段はきつい練習をするサークルではなかったのですが、菅平合宿では一転、練習も飲み会もハードになりました。
大学からラグビーを始めた私にとって、1年生の頃は特に、ラグビーという競技やラグビーチームという組織に慣れることで精一杯でしたが、合宿で身に付けたことはかけがえのないものが多かったと思っています。
特にこの菅平で取った人生初トライは、この先ラグビーを続けていってもいいんだという自信になりました。
仲間が大いに喜んでくれていたのも嬉しかったです。
初心者マークの時期の成功体験には、やはり特別な思い入れがあります。
私のいたチームはとんでもなく弱かったのですが、初心者を大切にしてくれる気風がありました。
たぶんそれは、弱いからこそ皆で成長しようという精神の現れだったのだと思います。
このチームでなければ、ラグビーをやり続けていたかどうかはわかりません。
きついことは多かったのですが、合宿自体は菅平の風景とともに良い思い出として記憶に残っています。
この菅平との縁を育んだラグビーチーム、今はもうなくなってしまいましたが、その名を「Fields」といいます。
トレイルランニングに出会ってからは「Fields」といえば、実績豊かなレース運営会社として認識していますが、私にとっては、私をラグビープレーヤーとして育んでくれたあのチームを思い出させる名です。
私が育ったFieldsはなくなってしまいましたが、新しく始めたトレランでもFieldsに出会えたというか、出会ってしまいました。
この名には深い縁を感じざるを得ません。
まあ、縁と思えるものの大半は偶然の産物だとは思いますが、それでも何かしらのとっかかりがあることの心強さを感じました。

そんなFieldsの主催するレースで、私が最初に出たのは美ヶ原トレイルラン2015で、戸隠の2015年にも出場しました。
その2大会ですっかりFieldsのレースにはまってしまい、これまでに14大会に参加しています。
何が好きなのかなというと、感覚的なものでしかないのですが、程良い感じ、ちょうど良い感じ、強いていえば中庸という雰囲気でしょうか。
例えばハセツネのような、例えばUTMFのような、ある意味尖鋭化したコンセプトや人々の思いが質量ともに過剰であるような大会とは違って、自ずと開催地に親しむことができる気がしています。
気負わないで参加できる感じが、とても私の性に合っています。
菅平の大会には、2016年に初参加しました。
Fieldsで菅平に縁ができた私、そのFieldsが菅平で開催するレースです。
ということで、スカイライントレイル菅平には格別の思い入れがあります。
参加するからには、毎回、菅平愛を表現しようと試みてきています。
菅平のある上田市の旧真田町は、おなじみの戦国大名・真田氏の故地です。
菅平のレースでは、真田氏の戦装束が赤に統一されていたことにちなんだ「赤備えコンテスト」が開催されています。
簡単に説明すると、赤いウェアで参加した選手の中でいけてる赤だった方を表彰します、という企画なのですが、初出場の2016年大会からこのコンテストに参加しています。
運が良かったのかなんなのか、その次の年の赤備えコンテストのチラシモデルになってしまいました。
これでちょっとはFieldsという名に恩返しができたかなと思いましたが、でも、それだけではまだ私の菅平愛を表現しきれていない感覚がありました。
全国津々浦々のラグビー愛好家にとって、菅平はやはりラグビーの聖地の一つなのです。
そうしたら、私が表現すべきはラグビーへの愛とラグビータウン菅平への敬意だ、ということに思い当たりました。
でも、どうやったら愛と敬意を表せるのでしょうか。
私がひねり出した答えは、菅平でトライを決めることでした。
ラグビーにおけるトライとは、ゴールラインの向こうの地面にボールをタッチダウンすることによって得点する行為を表します。
ゴールラインを越えるまでチーム一丸となってつないできたそのボールには、愛と敬意が込められているのです。
そして2017年大会、私はリュックに仕込んでいたラグビーボール型のビーチボールを抱えて、フィニッシュゲートの向こうにトライしました。
あなたバカでしょ、と言ってもらってかまいませんが、そのトライには私の菅平とFieldsへの愛と敬意が込められています。
2018年大会には骨折が癒えていなかったので出走しませんでしたが、2019年大会では再度きっちりトライを決めました。
ちょっと前にフィニッシュした星野由香理選手が「あ、ラグビーボール!」と楽しそうに反応してくれたのが、ちょっと嬉しかったですね。

だから今年も、Fieldsがスカイライントレイル菅平2020を開催できたあかつきには、また愛と敬意を込めたトライを決めにいきたいと思っています。
よろしくFields、よろしく菅平!


https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2018/06/01/184759
https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2018/06/12/211427
https://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2019/06/09/214654