竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

山なりー信州戸隠トレイルランレース2019レポート1

信州戸隠トレイルランレース2019ミドルの部の参加レポート第1段です。
レースの前日に行われた、ラグビーワールドカップアイルランドvs日本で、日本が金星を上げた興奮が個人的に冷めやらぬ中、8時のスタートを迎えます。
スタートから望む戸隠山高妻山
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朝日を浴びた山肌がきれいでした。
予報では午後から雨とのことでしたが、この時間帯はよく晴れていました。
スタート後は越水ゲレンデから怪無山を目指して登ります。
最初は意識の半分がラグビーのことで占められていて、レースのことはあまり考えずに登っていました。
ラグビー日本代表は、残るサモアスコットランドとの試合に勝つと、予選プールAを1位で通過します。
そうすると、私が観戦に行く準々決勝のカードは日本戦になることに。
これはもうジャージを買ってしまうか、でも高いしな、どうしようかな、てかまだ予選プールを通過できるかもわからないしな、なんて考えているうちに怪無山と思われるピークにたどり着きました。
スタートから20分くらいでした。
怪無山を越えたあたりから再びの戸隠山高妻山
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戸隠山のゴツゴツとした岩肌がくっきり目の前に見えます。
ここから下りに入るので、靴紐を締めなおし、ラグビーのことも頭から追い出し、集中して下り始めます。
この下りは始めのうちは浮き石が多い印象でした。
さほど傾斜はきつくないのですが、とりあえず転倒だけは避けるように、あまりスピードを上げずに走りました。
斜面の角度に合わせて脱力しながら下ると、速くなりすぎずに適度なスピードに乗ることができます。
私はそれを、山に合わせるというくらいの意味合いで、山なりに走ると呼んでいます。
競馬で言うところの馬なりに近い用法です。
追い込むことなく自然に任せます。
今回のレースは序盤に大きな登り下りがありましたが、最初から下りは山なりに走ると決めていました。

下りの途中、中社ゲレンデに出ると、一面のススキ野原に秋を感じました。
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秋だね、秋。
中社ゲレンデを一度下りきってから登り返し、飯縄山登山道に向かう森の中の川沿いの道を走ります。
ここはほぼフラットで森も美しく、とても気持ちよく走れる区間です。
今回は、ここを含めてフラットな区間を走りきるという目標があったこともあり、走り続けてしまったため写真を撮ることができませんでした。
しばらく走ると川を離れて森の中に入っていきます。
その森の先に古びた趣のある鳥居が出てくると、そこが飯縄山の登山道の入り口です。

飯縄山には飯縄権現を祀る飯縄神社があるとのことですが、レースでは山頂には行かず、南登山道分岐というポイントで南登山道を下ります。
山頂には行かないとはいえ、飯縄山の登りは長くて斜度もきつく、ミドルの部にとっては文字通り最大の山場となります。
森林限界までは斜度がきつく眺望もききませんが、森はきれいでした。
森が切れてからも南登山道分岐までは以外と距離があり、きつい道のりは続きます。
この登りは少し追い込むと決めていたので、はじめから飛ばしていたところ、森林限界を越えてからは足も限界が近づき、気持ちもだれて来ていました。
そんなところへ、ごほうびのような絶景が。
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南の方向を望んでいます。
柔らかい色合いの山が幾重にも折り重なり、まるで風景画を観ているようでした。
富士山も遠くに小さく見えています。
遠くに富士山が見える町で生まれ育った私は、遠くに見える富士山にノスタルジーを覚えます*。
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拡大してもこんなくらいなのですが、見えているだけで嬉しくなります。

絶景スポットからそれなりに歩いたところで、南登山道との合流点から南登山道を下ります。
この下りは岩がゴツゴツとしている上に斜度もきつく、はっきり言って苦手なタイプの下りです。
骨折してから下りが怖くなった私ですが、今年いくつかのレースに出て恐怖と向き合う術を求めて来た結果、それなりにやり過ごせるようにはなってきました。
それでも苦手は苦手なのです。
この下りには2015年に大転倒を決めた苦い思い出があることもあり**、おっかなびっくり、なるべく走らずに下ることに決めました。
山なりですらない、ただの早歩きです。
この下りには歩行区間もあればハイカーも多く、ビュンビュン飛ばして走れない事情もあります。
ゆっくり、山なりよりもゆっくりと下りていきました。
ただ早歩きは早歩きで大腿四頭筋に負担がかかってしまったみたいで、レースの後半に響くことになりましたが、それはまた次のお話です。
南登山道を下りきった先の鳥居をくぐり抜けて、山麓のトレイルやロードを少し走ると第1エイドに到着します。
ミドルの部にとっては13km地点、スタートから2時間20分ほどかかりました。
想定の範囲の、かなり遅いほうといった感じでした。

*私にまつわるエトセトラーUTMF2018に向けて1
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/03/06/204417
**転倒考
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/01/22/213441