竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

セルフコントロールー成木の森トレイルラン2019レポート2

第9回TOKYO成木の森トレイルランのレポート第2段です。
10:00にスタートしてから、折り返し点のある棒ノ嶺に11:51に到着しました。

ここ棒ノ嶺は私の好きな山で、レース(FTR名栗)も含めれば5回以上は訪れているでしょうか。
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晴れた日の開けた眺望が気持ちのよい山です。
これまでは名栗の白谷沢コースからしか登ったことがなく、高水山からの縦走は初めてでした。
大きめのアップダウンで体力は削られそうですが、なかなか楽しい道のりでした。
トイレが常福院にしかないのが残念ですが、練習でも来たくなりました。

棒ノ嶺では補給をしながら数十秒休みました。
これから始まる下りが心配でしたが、ここまで来てしまったら進む以外の選択肢はありません。
登りのイケイケモードから、下りの慎重モードに
気持ちを切り替えて出発します。
下り始めはちょうどお昼時でもあり、多くのハイカーが歩いていました。
距離を取りつつゆっくり下ります。
名栗からの登山道と合流する権次入峠までは、そんな調子で、そこからは登りの選手とのすれ違いに気を配ります。
イカーに対してほどは気を使うことはありませんが、接触のないよう、スピードと距離感に気をつけて走ります。
黒山に戻るまでは急斜面が多いので、その分余計に注意して下りました。
黒山からは下り専用のコースに別れます。

折り返し点から先、コースはほぼ下り斜面となります。
登り返しは数箇所あったかどうか、とにかく長い下りが続きます。
昨年骨折してから山の下りが怖い私ですが、新しい下り方を試みるよい機会でもありました
新しい下り方というと大げさなのですが、重心が前にかかるのではなく、身体の真下に来るように意識を向けるようにしました。
これは小川壮太さんのランニングレッスンで教えてもらったことなのですが、ごく簡単にいうと身体の真下、鉛直方向に足を下ろす意識で走るとランニングの効率がよいとのことです。
効率のよさと下りの怖さの克服は関係のないように思えますが、私にとってのポイントは真下に着地することで、それによって転倒時のリスクを軽減することにあります。
身体の真下、鉛直方向に重心があれば、つまづいたり滑ったりしたときに、前のめりで倒れるリスクを軽減することができます。
私は山道の下りで前のめりに倒れたことによって、左腕の上腕骨を骨折しました。
前のめりの転倒は大ケガに繋がるリスクが高いのです。
鉛直を意識することはリスクマネジメントとして私には必須で、かつランニングの効率がよいのならば一石二鳥です。

ただ、身体の真下、鉛直を意識するのはよいとして、具体的には身体のどの部分をどう動かせばよいのでしょうか。
私の場合はまず、体幹を真っ直ぐに立てることを意識しました。
身体に一本真っ直ぐな棒が通ったようなイメージで、鉛直方向に真っ直ぐを意識して体幹を立てます。
その次に、足をその体幹の真下に下ろします。
もしかしたら下ろすというよりは、落とすに近いようなイメージでしょうか。
これらは壮太さんに習ったことをできるだけ忠実に再現するようにしただけなのですが、身体の運び方に心を配りました。

また、転倒時のリスクマネジメントとしては、重心とともに、スピードのコントロールも大事になります。
今年のおんじゅくオーシャントレイルのアフターレース交流会で、鏑木毅さんから、自分でコントロールできるスピードを越えてしまうと大ケガに繋がりやすいので、コントロールの意識を忘れないで、というアドバイスをもらいました。
そう、セルフコントロールが大切なのです。
この日のセルフコントロールの対象は、重心とスピードの両方です。
セルフコントロールTMネットワークのメロディに乗せて、例のごとく頭のなかで呪文のように無限ループさせました。
頭のなかはセルフコントロール一色に染まっていました。

ただ、そうやって適度なスピードで真下に着地していくと、意識し続けている分、頭は疲れますが、脚や足にはそれほど負担がかかりませんでした。
やはり効率のよいランニングフォームなのだと思います。
直近のレースであるチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンが、フォーム固めの練習として効を奏したのかもしれません。
このレースの下りはテクニカルな場所もあって、それなりに怖い箇所もあったのですが、フォームを崩すことなく、そしてこけることなく下りきれたのは本当に嬉しかったです。
フィニッシュタイムは2時間46分25秒、今の自分の実力は出せたのかなと思っています。
そんなわけで、祝杯は青梅の地ビール
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カラカラの身体にしみわたりました。
美味しゅうございました。

それにしても今回のレースでは、今まで味わっていたトレイルランニングの楽しさとはまた違う楽しさを感じました。
復帰第一戦のおんじゅくオーシャンはもう無我夢中で、復帰できたことへの単純な嬉しさがありました。
今回は下りへの恐怖心との付き合い方を身につけるためのレースで、なんとか目標を達成できたのだと思います。
正直な話、骨折する前と同じようには楽しめなくなっています。
それでも、下りのスピード感を楽しむことを諦めたとしても、セルフコントロールをし続ける楽しみができました。
意識と身体が1つになったような感覚を楽しむことができた気がします。
これを身心一如の境地と言ってもいいのではないか、そう思いました。
そして、今の私の状態でも、トレイルランニングの楽しみを享受することができるんだという嬉しさ、それが何よりの収穫でした。
次も同じように楽しみたいと思います。