竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

悩ましい武甲山の私ーFTR100K2017レポート1

先日、秩父市が今後のFTRを後援しないことを決定した旨の報道がありました。
この山域が好きなトレイルランナーとしては非常に残念ですが、こうした事態に対して私は何ができるのか、ゆっくり考えたいと思います。
まずできることとして大会のクリーンアップ登山があったのですが、体調を崩してしまい参加できませんでした。
他にできることは何かと考えても、まずは、存続が危ぶまれるこの大会の記録を残すことくらいしかなさそうです。
私はA3名栗で中止を迎えましたので、そこまでの記録を残します。

FTR100K2017には友人Aさんと一緒に参加しました。
一緒に参加するのは3年連続3回目です。
私もですが、Aさんもこのレースをとても気に入っていました。
2:30頃に起床して準備と朝食を済ませ、4時ちょうどくらいに会場入りしました。
Aさんはとんでもなく速い人なので、スタート前に別れてからはいつものぼっち運行が始まります。
スタートは11月18日の午前5時。
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実はトイレに行ってて号砲には間に合いませんでしたが、ちょうどよいのでゲート横からスタートの瞬間を撮影してみました。
うっかり観客気分になってしまいましたが、すぐに列の後ろに回り込んで出発しました。

FTR100の最序盤は、羊山公園のトレイルを少し走ってから住宅街の車道を真っ直ぐに走ります。
この住宅街を通るのは夜明け前で、静かに走ってはいるものの、自分達の物音で住人を起こしてしまわないか気にかかります。
次回があるとしたら、ここは熊鈴だけでなく、おしゃべりも禁止の区間にすればいいのかなと思いもします。
少しずつ明るくなるなか、A1橋立堂(土津園)には5:55頃到着しました。
ここまではハンドライトのみで充分でした。
簡単に食事をとって、6:00ちょい過ぎに出発しました。

A1出発後は、長い林道の先にある武甲山の登山口を目指します。
林道なので傾斜はきつくないのですが、だらだらとした登りが続きます。
ここは過去2回はそれなりにがんばって走っていたのですが、今年は気が向いたら走る程度にしておきました。
負傷や故障している箇所に、序盤から痛みが出てしまうのを避けるためでした。
また、気温が低いという予報だったので、体が温まるまでは無理せず行こうという考えもありました。

林道終点の橋から武甲山の登山道が始まります。
私はこの武甲山の裏側の山道が好きで、特に稜線に出てから山頂の直下までの道の、柔らかい雰囲気が気に入っています。
ただ、FTR100では、この付近で毎年、強い眠気に襲われます。
ハンガーノックというわけではなく、理由がよくわからないのですが、レースのための早起きの反動かなという気もします。
この眠気のために、2015年は武甲山頂の御嶽神社で、2016年は長者屋敷分岐の避難小屋で数分仮眠を取らなくてはなりませんでした。
今年の眠気の程度は、昨年までのそれよりも弱かったので、とりあえず歩き続けました。
とりあえず山頂まで行って、そこでまた考えればいいかなと思いました。
まだ序盤で、先は長いのです。

山頂の御嶽神社には7:34に到着。
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今年は山頂で雨が降っていなかったので、せっかくだからと山頂展望台にも回りました。
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秩父の市街地を一望。
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細長い、という印象です。
丘と丘の間の狭い平地に、街が挟まっています。
肌寒い曇天ではありましたがいい眺めでした。

問題の眠気は山頂に着いたら収まったものの、トイレに行きたくなってしまいました。
一口にトイレといっても、特に個室に行きたくなるのですが、武甲山頂のトイレにはこれで3年連続でお世話になりました。
眠くなって、トイレに行きたくなる。
武甲山とは私にとってそういう山です。
眠気も便意も起床時刻との兼ね合いが大きいのだと思いますが、それによってペースが上がらなかったり、休憩を余儀なくされたりしてしまいます。
その結果、長い時間を武甲山で過ごしています。
FTR100における武甲山の位置付けは、レース全体の最高標高地点で序盤のハイライトというところだと思います。
ただこれにレースの時間軸の視点を入れると、朝の寒い時間帯に、一番寒いだろう場所に向かって行く構図が見えてきます。
FTR100の武甲山は寒いのです。
本当は休憩なしで進んだ方が、体温の保持という観点からはよいということは承知しています。
でも、私は眠いうえにトイレに行きたくなるため、長時間の滞在が必然となります。
2015年大会で神社の軒下で仮眠したときはひどい寒さだったので、その経験を踏まえて、2016年は手前の長者屋敷の分岐にあるトタンの小屋で仮眠しました。
今年は仮眠なしで切り抜けましたが、トイレ休憩は避けられませんでした。
生理現象に悩まされる山、それが私にとっての武甲山です。
好きな山なのですが、なんだか悩ましいのです。

秩父の街から見る武甲山は、削られてしまってなお、白く荒々しい山体をさらけ出すことで偉容を誇っています。
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その姿も好きなのですが、街からは見えない、柔らかい雰囲気の山道も非常に魅力的です。
写真を撮っておけばよかったのですが、眠気と闘っているせいか、頭が回りませんでした。
晩秋の山はどこもそうなのかもしれませんが、落ち葉が敷き詰められた斜面には、日焼けした畳のような落ち着いた明るさを感じます。
山道の脇に積もった落ち葉をよく見ると、ふんわりと柔らかい布団のように見えます。
つまりは身を置いていて心地がよいのです。
というか、私の居室は畳の和室で、寝具は布団です。
落ち葉が畳であり布団でもあるならば、眠くなるのは必然であるかもしれません。
うーん、悩ましい。
とか言う前に、家で寝なさいという話ですね…。