竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

牛の歩みのトライースカイライントレイル菅平2020レポート3

スカイライントレイル菅平2020のレポート第3段です。
スタートから29kmほどの第3エイドで、水の補給と持参の補給食などを食べながら5,6分座って休息しました。
ここまでは4時間40分ほどで到着できていて、事前の想定範囲内でした。
四阿山方面の登り下りでペースをつかめずに歩きが多くなったものの、タイムは悪くないものでした。
残りは14kmくらい、なんとかなるかなと、少し気楽な気持ちで出発しました。

ここ第3エイドは関門にもなっていて、出発の際はゼッケンのQRコードを読み取ってもらいます。
エイドを出るとそこには癒しの彼らがそこかしこに。
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カメラ目線バッチリです。
こちらは2頭で寝そべっています。
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牛好きの同僚が「寄り添い牛」と命名していました。
動物が寝そべっている姿って、平和でいいなとつくづく思います。
こちらは集団でお食事中です。
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密ですよ密、牛密。
何てことをやっていたら、すっかり走る気が失せてしまって、第3エイドから小根子岳の登り口までほぼ歩き通してしまいました。
なんとなくレース気分が盛り上がらないまま、本レースのクライマックス、小根子岳への登りに臨みます。

根子岳への道のりは、大部分が笹原の中の傾斜の急な直登で、実に登りごたえがあります。
私は2年前に骨折した恐怖心で下りでスピードを出せない身体になってから、登りでタイムを稼ぎ出す戦術をとっていました。
だから、先の四阿山方面の登りをよいペースで登れなかったのは残念だったのです。
そして、この小根子岳への登りでも苦しむことになりました。
前日の食べ過ぎと日頃の不摂生で身体が重いというのもありましたが、なんと言っても気分が上がってこないのです。
おまけに、時刻も正午を過ぎて、身体を動かし続けていると暑さを感じるようになってきました。
それもあってか、最近は登りで脚を止めることはあまりなかったのですが、この日は立ち止まって一息入れることが何度かありました。
重いし暑いし、なんだか苦しんでいます。
とはいえ、通算4度目となる小根子岳への道のりは、大体記憶に残っています。
どの地点まで登ればあとどのくらいでたどり着くのか、おおよその検討はつけることができます。
私の場合は左側に見えている地形と、ほぼ正面に見えている根子岳の山頂の近づき具合から判断します。
暑いなぁ、重いなぁ、歩みは鈍いのですが、まるで国会の牛歩戦術のように、ゆっくりではあれど、少しずつは前に進む。
さっきの牛さん達もこんな感じで歩くのでしょうか。
牛の気持ちになりながら、登ります。
苦しみながらも、登山口から1時間弱ほどで根子岳と小根子岳を分ける分岐にたどり着きました。
第3エイドからは1時間15分くらいでしょうか。
後は左に見えているピークを踏むだけ。
辺りはすっかり雲の中、小根子岳にたどり着きました。
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本日の最高標高地点であり、私が2020年に踏んだ最高標高地点でもあります。
振り向くと晴れた日は北アルプス方面の眺望が開けているのですが、本日は雲の中の錦秋。
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これもまた美しいなと思います。

さて、小根子岳からフィニッシュまではおよそ10km、ほとんどが下りです。
ここでジェルの一つも補給しながら、残りの道のりの大雑把な計画を立ててから出発しました。
根子岳からは稜線の笹原を下って行きます。
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ここも錦秋。
この稜線からは菅平の反対側の景色を眺めることができます。
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やっぱり錦秋。
この先に分岐があり、左に曲がると山腹をトラバースして、先ほど登って来た登山道に合流する道を走ります。
このセクションは基本的に走りやすい傾斜の山道ですが、所々流水でえぐれた跡があり、足を取られないように気をつける必要があります。
そうしたえぐれた跡には、前日までの雨水が溜まっている所もあり、はまらないように慎重になる必要もありました。
私は今回はまらなかったなかったものの、バラしてしまうと、一緒に出場した友人Bさんは見事にはまってしまったそうです。
私がはまらなかった理由は、水溜まりを見つけたら癒しの歩き、通過した後もすぐに走り出さずに癒しのジョグを入れて、スピードを抑えたからです。
こけなかった代わりに、ジョグだったり歩いたりしたため、タイムはかかってしまいました。
牛の歩みはこの下りでも続いています。

そうこうしているうちに、元来た登山道に合流して、ほどなく菅平牧場に戻ります。
菅平牧場に戻ると、スカイライントレイル菅平の隠れた名物、ガレ場祭が始まります。
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このガレ場では過去2回こけて、流血しながらのフィニッシュを経験しています。
人の生き血をすする、凶悪なガレ場が始まりました。
ガレ場祭のクライマックスはこんな感じ。
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さらに凶悪。
このガレ場祭はほとんど歩いて通過しました。
その甲斐もあって、スカイマラソンでは初めて、こけることがありませんでした。
そうです。
やはりここも癒しの歩きです。
「歩けば、大体こけない。」
ちょっと名言風に記してみたものの、ちょっとみつをな感じもありますね。
でも、ここを歩いたことで、けっこう長いこと癒されました。

さて、そんな感じで癒しタイムばかりだったので、その先にある長いゲレンデの下りはよい感じで走れました。
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ここをひたすら下って、下り切った所にある2回目の第2エイド、通算で第4エイドに到着します。
第4エイドでは、軽くゼリーとあめ玉で最後のスキー場の登り下りへの英気を養いました。
ついでに、フィニッシュパフォーマンスの仕込みの着替えも済ませます。
臨むは残り3kmほど、太郎山のゲレンデに登って、下ります。
ラストのゲレンデを下ります。
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視界が晴れてきました。
やっぱり気持ちいいな。
菅平のこの景色が、私は好きなのです。
気分が盛り上がらないままの1日だったと思っていましたが、最後に気持ちよくフィニッシュを迎えることができました。
ラグビーボール型のビーチボールで観客とパス交換をして、フィニッシュラインの向こうにトライしました。
7時間33分37秒、スカイライントレイル菅平のフィニッシュは4回目、トライは3つ目です。
思い起こすと、大学時代にラグビーの合宿で来た時の菅平では、通算3トライでした。
ラグビーで3トライ、トレランで3トライ。
もうラグビー選手ではないので、来年はトレランで4トライ目を目指します。
そうしたら、菅平でのトライが通算7トライになりますね。
もう何がなんだか…。
でも、また来ますよ、菅平、待っててください。

癒しの歩き、癒しのジョグースカイライントレイル菅平2020レポート2

スカイライントレイル菅平2020の参加レポート第2段です。
スタート後およそ2時間で、約13km地点の第2エイドを出発しました。
まずは想定通り、少し飛ばしたペースで入りましたが、ここからのんびりし始めてしまいました。

出発直後のシュナイダー記念塔を目指した登りは、前回スカイマラソンに参加した2017年は極力走っていたと思いますが、なんだか気持ちが乗らずに歩き通してしまいます。
でも、こうした時は気持ちに余裕があるものと割り切って進むしかありません。
登りの途中から望む四阿山根子岳
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太陽も出てきて錦秋の趣。
天気は上々、気分も上々。
なれど、脚が出てこない。
おなじみのシュナイダー記念塔にご挨拶をして、
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スキー場から菅平牧場を目指します。

これまでの大会ではここで1回、菅平牧場の第3エイドに寄ってから、牧場を下ってスカイライントレイルを走るコース設定となっていました。
その第3エイドには、四阿山方面から下山してきたときにもう一度立ち寄るようになっていました。
今回は、外のゲートから直接牧場内のスカイライントレイルに入るように変更されていて、その分距離が短くなっていました。
エイドへの立ち寄りは、四阿山方面から下山してきてからのみとなります。
人と人との接触機会を減らすという新型コロナウイルス対策の一環でしょう。
これによってエイドの間隔が16km程と長くなったので、補給食などの対策が必要でした。

スキー場から林道のようなトレイルに入った後、いったんロードに出て登りながら牧場のゲートに向かいます。
このロードの登りもなんだか走る気持ちが起きずに、歩きが多くなってしまいました。
ゲートから牧場内のトレイルに入って、ようやくやる気が戻ってきました。
牧場のトレイルは、はじめはフラットで、森の中に入っても緩やかなアップダウンを繰り返します。
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基本は森の中ですが、渡渉もあるなど楽しい区間です。
前回までは大体ここでだれて走れなくなっていたのですが、この日は気を抜かずに走りました。

牧場のトレイルを進んでいき、四阿山への登山道にぶつかったところで左に曲がります。
スタートから21kmほど、3時間と10分くらい経っていたでしょうか。
ここから四阿山の中腹に向けた長い登りが始まります。
登り始めてからすぐ、もう既に脚に余力がないことに気がつきました。
まだ全体の半分しか進んでないのに、しかもずっと追い込んでたわけでもないのに、もう脚が売り切れたのでしょうか。
いつもなら走れるような傾斜も、歩きがちになります。
それでも、菅平牧場の牛の群れに癒されながら脚を前に進めます。
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草原に寝そべるの、気持ちいいんだろうな。
歩みは牛のごとく、ペースが上げられません。
それでも、登り始めてから45分弱、スタートから4時間弱で、ようやく四阿山頂に向かう道と分かれる地点にたどり着きました。
分岐を左に曲がり、トラバースを少し登ってから、菅平牧場の第3エイドに向けての下りが始まります。
がまんの時間も終わりかなと、この時は思えていたのですが…。

四阿山の山腹は、この辺りは標高1800〜1900mくらいですが、すっかり紅葉していました。
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黄、赤、緑と、秋の山の色にあふれています。
紅葉に誘われたのか、登山者にもけっこう会いました。
6月開催時にはほとんど登山者に会うことはなかったので、新鮮な体験でした。
この下りでペースを取り戻したかったのですが、身体が思うように動きません。
体調が悪いわけでもなく、むしろ良いくらいなのに、なんだか反応が鈍く、持続力もないのです。
どうしたもんだろと思いながら、とぼとぼ身体を前に進めます。
そんなときに頭に浮かんだのが「癒しの歩き」「癒しのジョグ」という言葉でした。
思うように走れなくていつの間にか歩いてしまうとき、しかたなく歩いているのではなく、積極的に「癒しの歩き」をしているのだ。
思うようなスピードで走れずいつの間にか減速してしまうとき、それは積極的に「癒しのジョグ」に切り替えたのだ。
と、自分を正当化する概念をひねり出していたのです。
癒し自体は必要なものですが、走れない現実はちゃんと受け止めろよとは思います
それでも、一度概念を思い付いてしまったからには、乱用が始まってしまいました。
2分走ったら1分は癒しの歩き、5分走ったら5分は癒しのジョグ、みたいに、随所に癒しを織り混ぜながらでないと進むことができなくなっていました。
ひどいものです。
乱用はダメ、絶対。

そんな四阿山からの下山の道のりでしたが、山道自体は笹の中のシングルトラックから始まり、下山するにしたがって広くなっていきます。
斜面のトラバースで少し狭くて通過に注意が必要な場所もありますが、総じて走りやすいセクションです。
だいぶ下ってからの川(大明神沢)で、オールスポーツのフォトグラファーに出会い、元気を取り戻しました。
このコロナ禍で大会がことごとくなくなってしまい、フォトグラファーの皆さんもオールスポーツコミュニティの運営自体も、大変な状況に陥ったのではないかと思います。
でもまたこうして再会が出来て、心の底から嬉しかったのだと思います。
疲れて無表情な顔してましたが、せっかく撮ってもらった写真、ちゃんと購入しますよ。
これからもよろしくお願いいたします。
そんなこんなで、癒しが過剰な下り道を終えて、第3エイドに到着しました。
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スタートから29kmほど、その道のりに4時間40分かかりました。
なんだかんだ言って、想定タイムでは来ていました。
あんなに身体が動いてなかったのに。
不思議。

初めての眺めースカイライントレイル菅平2020レポート1

10月11日に開催されたスカイライントレイル菅平2020のレポート第1段です。
昨年はスカイハーフ23kmに参加しましたが、今年はスカイマラソン43kmに出走しました。
菅平のスカイマラソンには過去2回、2016年と2017年に参加して完走しています。
昨年も含めるとこれまで3回、6月開催のレースに出ていましたが、10月のレースは今年が初めてでした。
20年ほど前、ラグビーの合宿で来ていた頃は8月終わりから9月初めの1週間だったので、10月の菅平自体が初めてです。
山は色づいているのかな、台風の影響はどれくらいなんだろうなと、楽しみでもあり不安でもありました。

前泊した菅平ホテルは会場の目の前です。
朝5:00過ぎに起きてすぐ会場に向かって受付を済ませ、ホテルに戻ってゆっくり支度することができました。
朝食のそぼろご飯弁当の量が多いなと感じたのですが、レースが終わった後から考えると、あのぐらいの量を食べておいてよかったなと思います。
今回初めて宿泊しましたが、菅平ホテルの食事は量が多くて、しかも美味しかったです。
トレラン界の食いしん坊の皆さま、菅平ホテル、おすすめです。

支度を済ませてから、スタート10分前からの開会式に間に合うように宿を出ました。
天気は曇りで、予報では午後から晴れるとのことでした。
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赤備えがバキバキにキマッている選手とともに、Fieldsの野々山代表の話に耳を傾けます。
私にとっては2月のおんじゅくオーシャントレイル以来のトレランのレースで、それもFieldsの大会です。
いつもお世話になっているとともに、このCOVID-19の蔓延する世の中で開催にこぎつけた努力に頭が下がります。
菅平の実行委員会にも感謝の念を覚えます。
また次もよろしくお願いいたします。

開会式の後、お互いのブログの読者である先輩ランナーさんと、初めてお話しすることができました。
この方には昨年参加したチャレンジ富士五湖100kmのレース中に応援していただき、いつか直接お礼をしたいと思っていましたが、この日その願いがかないました。
なんと先輩ランナーさんは1週間前に100kmのロードのウルトラマラソンを完走したばかりなのに、中6日で43kmのトレイルレースへの出場です。
ブログで公開される普段の練習にも敬意を覚えていましたが、そのタフさに感服します。
今後ともよろしくお願いいたします。

スタートはウェーブスタートで、先輩ランナーさんと私は同じ第2ウェーブで、ちょっとおしゃべりしながらお互いの位置に着きました。
久しぶりのスタートゲートは、Fieldsおなじみのイエローゲート。
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気分は上々です。
スタートエリアは、三角コーンを使ってディスタンスを取ることができるように設計されていました。
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スタートは同じウェーブの中でもさらに人数を絞った小ウェーブごとのスタートでした。
10~15秒ごとに10人ずつスタートするといった感じだったと思います。
その小ウェーブの整列が済んだら、ゼッケンのQRコードをスタッフに読み取ってもらってからスタートします。
こんなスタートは初めてでした。
結構大変な手間がかかると思いますが、こうした対策のもとにレースが開催できるんですね。
他にはどんなやり方があるのか、今後また大会に出るときに、見て学びたいと思います。

7:10からスタートが始まるブロックにいた私ですが、前のブロックの進行が早かったのか、同じブロックの後方にいた私のスタートがちょうど7:10でした。
最初の登りの頂上から根子岳四阿山を望みます。
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草が色づいています。
もう一度ゲレンデを登りきると、菅平スカイライントレイルと名付けられた程よいアップダウンの山道を走ります。
スカイライントレイルも紅葉しています。
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いつもの6月開催時とは違った、秋の色に包まれて走ります。

この日は台風の雨上がり直後で路面状況が心配でしたが、グチャグチャ泥々ということはなく、少し湿っている程度でした。
このエリアは樹林帯で、しかも落ち葉が道をおおっている場所が多く、雨水が土に直接当たることが少なかったのでしょう。
濡れ落ち葉で滑ることさえ注意していれば、走りやすい路面コンディションでした。

レースとしては序盤をハイペースで入る計画でいたため、8.5km地点の第1エイドでは何もせずに通過しました。
13.5km地点の第2エイドには、スタートから1時間55分程で到着です。
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この時点で既に少し飛ばし過ぎたという感覚があり、後の行程に影響しましたが、それは後の祭。
追々振り返りたいと思います。
今回はエイドでの水分提供は水のみ、1人1本のペットボトルでの提供でした。
食べ物は個包装のまんじゅう、チョコ、あめ、ゼリーなど。
いつもはコーラにバナナ、ブドウやミニトマトなんかを楽しみにしていて、エイドの滞在時間が10分を超えることはざらでした。
でも、今回はCOVID-19対策の一環でエイドが簡素化されています。
あまりやることがなく、水分の補充と持参の固形物を食べたくらいで、4分程の滞在で出発しました。
残りは約30km、四阿山根子岳へと向かいます。