竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

復帰までの16kmーおんじゅくオーシャントレイル2019レポート

昨年4月に骨折して以来遠ざかっていたトレイルランニングに、2月3日開催のおんじゅくオーシャントレイル2019で復帰しました。
およそ10ヶ月ぶりでしたが、なんとか無事故で完走できて一安心しています。
トレランへの復帰にレースを選んだのは、まだ恐怖心を払拭できていないため、周りに人がいる環境を求めていたからです。
このレースを選んだのは、昨年も出場しているためコースの記憶が新しく、テクニカルな場面が少なくて、比較的安全な道のりであることがわかっていたからです。
不安要素は少なければ少ない方がよいのです。
生まれ育った千葉県で開かれる大会であるというのも、その不安要素を減らすためのものだったのかもしれません。
多分にメンタル面をカバーできるような大会を選ぶと、このおんじゅくオーシャントレイルが最適でした。
この10マイル、16kmを走りきることで、改めてのはじめの一歩を踏み出すことができました。
トレイルランニングのレースレポートを書くのもずいぶん久しぶりですが、思い出せる限り振り返ってみたいと思います。

この大会のスタート・フィニッシュ会場は、御宿町の月の沙漠記念館です。
大漁旗が風にはためいていました。
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華やかで景気がよい感じがします。
毎年ゲストランナーの鏑木さんは、今年は地味目の衣装でした。
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今年のゲストランナーはもう一組、福島姉妹。
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当初は舞さんのみ告知されていましたが、当日になって和可菜さんと一緒に登場しました。
鏑木さんだけでもカブラキストの私にとっては満足ですが、トップランナー姉妹の登場で会場の雰囲気がより華やかになりました。

この日の気温は15℃まで上がる予報でしたが、スタートの10時頃にはすでに10℃前後まで上昇していて、寒さを感じることはありませんでした。
風は多少強く感じましたが、走りに支障をきたすほどではなく、むしろ心地よいくらいでした。
そして、快晴。
絶好のトレラン日和でした。
私の参加した10マイルの部は10時スタートです。
ゲストランナーたちも一斉に出発しました。
スタート後の砂浜ランは、おなじみとはいえやはり脚にきます。
波打ち際は若干走りやすいのですが、今年は何度か波に追いつかれそうになりました。
引き際をせめるのがコツかもしれません。
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それにしてもサーファーとトレイルランナーが同じ構図の中に共存する光景は、他ではなかなか見られないのではないでしょうか。
とは去年も思いましたが、今年もこの光景を見ることができたのはよかったです。

最初の砂浜ランを終え、サンドスキー場跡のトレイルまでロードで繋ぎます。
岩和田という地区を通過する際、地域の方々が小さな大漁旗を振って応援してくれていました。
サンドスキー場からは、短いトレイルをロードで繋ぎながら走っていきます。
サンドスキー場周りの笹に囲まれたトレイルが、昨年はぬかるんでズルズル状態で走りにくかったのですが、今年はある程度の固さがあり、走れるようになっていました。
一度町中に戻ると、メキシコ記念塔への登りトレイルに入り、登りきるとまたロードで次なるトレイルを目指します。
そのうちに小浦海岸に到着します。
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ここから、この大会の核心のトレイルに踏み込んでいきます。
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明るい笹の山道を登りきると、稜線の木立のトレイルに入ります。
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照葉樹林の中をなだらかなアップダウンに沿って走り抜けて行きます。
まとまった距離のトレイルはこのエリアだけなので、存分に楽しむことにしました。
ただ、時折骨折したときのフラッシュバックのような、良からぬ想像が頭の中でふくらむことがありました。
自ずと転んで怪我をする自分の姿をイメージしてしまい、その度に気持ちが冷やされるような感覚になりました。
そんなときは慎重に歩を進めることにしました。
このトレイル、ロープを使う急な登りが一ヶ所ありますが、距離は短く、そこ以外は快適に走れるトレイルです。
なんだかんだ言っても楽しかった、その一言に尽きる、とてもよいトレイルでした。
長いことトレイランニングから遠ざかってはいましたが、帰ってこれた嬉しさを噛み締めるような時間でした。

やがて山道が終わると、未舗装の林道を走ります。この区間にあるトンネルで、一瞬視界を失いました。
暗さに目が馴れていなくて、ブラックアウトのような状態になりました。
トンネルに入る前に暗さに馴らしておく必要があったのかもしれませんが、ひさびさのトレランだったせいか、そんなことには思い至りませんでした。
次の課題です。
そうこうしてるうちに、10km地点にあるエイドステーションに1時間6分で到着、昨年とほぼ同じタイムでした。
エイドではメキシコにちなんだトルティーヤチップスが提供されていました。
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思わずおかわりして2枚いただきました。
程よい塩分がしみわたります。

エイドを出てからは、丸木橋を越えてサンドスキー場にむかうトレイルに入ります。
木橋を越えた辺りで一瞬コースを見失いそうになる場所がありましたが、マーキングのテープが見つかったため事なきを得ました。
このサンドスキー場までの区間はフラットなトレイルで、快調に飛ばすことができます。
途中から序盤に通った笹に囲まれたトレイルに合流し、短いロードを繋いでサンドスキー場跡に到着します。

ここまで来ればもう終盤なのですが、サンドスキー場跡にはこのレース一番の激登りが待っています。
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私はこういった激登り大好き系の変態トレイルランナーであるため、この日一番の気分の盛り上がりを感じました。
やっぱ、これだよこれ!
脚の疲れが心地よいです。
そしてその先のオーシャンビュー。
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晴れた海の青さが目に染みます。
帰ってきた喜びを強く感じました。

サンドスキー場跡を後にしてからは、ロードで繋いで最後のトレイルに入ります。
この最後のトレイルは山頂に小さな神社があり、昨年はそこに迷い込んでしまいました。
今年は昨年私が間違えた分岐近くにマーキングしてあり、ロストすることはありませんでした。
ラストの下りトレイルはそれなりに斜度もあり緊張しましたが、周りのランナーのペースに合わせながら慎重に通過しました。
もう骨折はごめんです。
距離は短いのですが、ここが一番怖かったのかなと思います。
無事に下ることができてよかったです。

トレイルを後にして、岩和田の漁港を通り過ぎると最後の砂浜にたどり着きます。
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もう15km走り続けてきた脚にはキツいのですが、よく晴れた青い海の青さに祝福されたような気分になります。
こんなよいコンディションの日に復帰できてよかったな。
心から思いました。

そしてたどり着いたフィニッシュ。
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大漁旗に出迎えられ、最高の気分でした。
タイムは1時間48分30秒と、昨年より1分30秒くらい早く帰って来ることができました。
今年の方が路面のコンディションがよくて走りやすかったことと、神社でのプチロストがなかったことが理由だとは思いますが、復帰レースの完走に加えて、好タイムのおまけが付きました。
やっと帰ってこれた。
フィニッシュゲートをくぐって、やっとその喜びを胸に抱きしめることができました。
やっぱり、トレイルランニングは楽しいな。
これからもまたトレイルランナーとして、楽しく生きていけたらいいなと思います。