竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

ゆく靴くる靴2017ー2018年新春小ネタ

年も明ければ月も明けたので、通信制限との闘いも一段落しました。
今年も変わらず、私の過剰なものを放出していきたいと思います。
何とぞよろしくお願いいたします。

本来は大晦日にやるのがタイミングとして適切なのには目をつぶってくだされば幸いなのですが、今回の帰省で、実家に置いていた古い靴にお別れしたのと、新たに実家送りとなった靴について、思い入れを少々書き連ねたいと思います。
私は千葉県出身で東京在住ですが、両親が京都市に住んでいます。
京都の実家近くにはトレイルランニングに適した山が多く、帰省の度に山に遊びに出掛けています。
昨日は愛宕山を中心に初詣トレラン山行をしてきましたが、これはもう4,5年続けている恒例行事となっています。
ロードも時間のあるときには走っているため、実家にはどちらのシューズも置きっぱなしにしています。
今回はどちらのシューズも履くのが危険なくらいぼろぼろになってしまったため、両方ともお別れをしました。

まずはロードのランニングシューズ、プーマのフウジンFUUJINです。
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たぶん2012年に購入したと思いますが、私にとってはなかなかよいシューズで、かなり気に入っていました。
足指の辺りのスペースが広く取ってあり、履き心地が快適でした。
スピードに乗りやすい靴でもあり、私の10kmのベストタイムはこの靴で出しました(38分10秒)。
初マラソンもこれで走った、思い出深い靴です。
実家送りにした理由はアウトソールの磨耗が進んでしまったことと、足入れ部分の剥がれです。
実家でも使ってはいましたが、ついに使用に耐えられない状況となり、廃棄することにしました。
このフウジンは私としてはよい靴でしたが、世間の評価を得られなかったようで、おそらく廃盤となっているはずです。

次の廃棄シューズは、私の大好きなスポルティバのミュータントです。
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2015年のFTR100から履いていました。
私は足が大きく、気に入った靴があってもサイズがないということがよくあります。
日本で取り扱っていないサイズがピッタリ、なんてこともよくあるのですが、このミュータントはまさにそうしたサイズの靴でもあります。
このミュータントはWiggleという通販サイトで購入しましたが、UK11(US11.5, EU44.5)というイギリス向けのサイズの靴です。
ミュータントの場合はこのUK11が私にはピッタリで、サイジングという点では一番の靴です。
また、グリップのよさと足の保護性能の高さから、タフなレースには迷わずミュータント、というように、使い倒していました。
丈夫な靴でもあるはずなのですが、履き過ぎが原因のラグの磨耗や爪先の破損がひどくなり、実家送りとなりました。
実家で京都の山を走るにも安定してよい靴ではありましたが、特に爪先の破損が進行してしまったため、廃棄を決定しました。
ミュータントに関しては2代目を同様に履き倒しています。
これまで履いたトレランシューズでは一番好きな靴なので、廃盤にはなってほしくないです。
昨日、初詣でそう祈ってくればよかったかも。
*以下、私のミュータントへの偏愛の記録です。
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/02/24/232932
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/07/15/002753

フウジンとミュータントには、2017年の大晦日の夜、実家マンションのごみ置き場にてお別れをしました。
余生を京都で送り、靴としての生涯を全うしたものだと思いたいです。
お世話になりました。
ありがとうございます。

その後をついで、新たに実家送りとなったのが以下の2点です。
まずはロードのシューズから、ランナーの皆様にはお馴染み、アシックスのターサージール(ワイド)です。
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5とか3とかではなく2ですらない、ターサージール、です。
たぶん2013年の亀岡元旦ロードレースの会場で手に入れたのだと思います。
この亀岡元旦ロードレースというのは、2014年元旦まで京都府亀岡市で開催されていた大会で、湯の花ロードレースという別名もありました。
現在は亀岡ハーフマラソンとして、開催日を12月に移して生まれ変わっています。
私は10kmの部に、2012年から3年連続3回出場しました。
その会場に出店していたランニング用品店がけっこう思いきった安売りをしていて、新作であるにもかかわらず4割引くらいで売っていました。
買わない理由は見当たらず、主にレースシューズとして履き倒していくことになります。
私のフルマラソンのベストタイムは、2015年の館山若潮マラソンの3時間25分10秒ですが、このターサージールワイドで記録しました。
最近はミッドソールが変形してしまったのか、足裏に妙な突き上げを感じるようになりました。
別の安売りの機会に入手したターサージール(レギュラー)と、つい最近手に入れたターサージール5(レギュラー)に後を託すこととして、購入の地である京都で余生を送らせることにしました。

トレイルシューズとしては、同じくアシックスのゲルフジアタック4を実家送りとしました。
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2015年の美ヶ原でデビューしました。
雨でコンディションの悪いなか、1度もこけることなくフィニッシュまで導いてくれたシューズですが、若干サイズが小さかったようで爪が何本か死んでしまいました。
ただ、サイズさえ合えばとてもよいシューズだと思いました。
アウトソールの放射状のパターンは、雪の結晶のような形をして、様式美すら私には感じられました。
以来、30kmくらいまでの短い距離のトレランや、ロードが多く混じるレースによく使うようになりました。
特に2017年は短いレースによく出場していたので、かなり重宝しました。
しかし、アッパーに破れが出たのと、アウトソールの磨耗でグリップが甘くなってきたため、お役御免にしました。
*ゲルフジアタック4についての記事ですが、ミュータントの偏愛記録でもあります。
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/01/17/214348
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/04/11/230437

こうした靴だとか装備だとかの「物・モノ」について思いの丈を綴っていると、ある本にあった言葉をいつも思い出します。
精神科医の大平健氏による『豊かさの精神病理』(岩波新書、1990年)では、「モノ語り」という概念で、所有物を通してしか社会関係をつくることができない人びとについて考察していました。
私のモノ語りは私とモノとの関係でしかなく、そこに他人との関係性が入り込む余地のない、閉じられた語りです。
なので、大平氏の「モノ語り」の狙いからは外れているのですが、私のモノ語りにある種の効用を勝手に感じています。
一言で言えば、大切に使ったんだから仕方ないんだよ、と、私自身に物を捨てることを納得させるための物語なのだと思います。
たかが靴を捨てるのに何字書く必要があるんだ?
そう思う方がいると思いますが、私にはかなりの字数が必要なようです。
いっそ御経でも作っちゃおうかな。

さて、新しく京都組となったゲルフジアタック4は2018年元旦、愛宕山の初詣山行で早速再デビューしました。
愛宕山の山頂付近は雪と氷の世界でしたが、大過なく下山できました。
石を踏んだときのグリップが弱い感じは否めませんが、まだ走れそうです。
ターサージールにも、まだまだ走ってもらわなければなりません。
京都組のシューズ達は、代わりのない分、私のやる気次第では酷使されます。
その点はご覚悟の上、今後ともよろしくお願いいたします。