竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

雲に登るー先生と山2017夏1

7月16,17日に八ヶ岳天狗岳に登ってきました。
入山と下山は、稲子湯から少し登ったみどり池入口登山口です。
初日はみどり池から本沢温泉、夏沢峠、箕冠山を経由して根石岳山荘に泊まりました。
2日目は根石岳から東天狗に登頂した後、中山峠からにゅうを経て、シャクナゲ尾根経由で下山しました。
同行者は仕事で知り合った先生です。
先生とは7年来の付き合いになりますが、ここ2,3年、夏と冬に1度ずつのペースで山行しています。
天狗岳には昨年の夏に唐沢鉱泉発着の日帰り山行をしましたが、今回は八ヶ岳を挟んで反対側の稲子湯近辺を起終点としました。
元々は権現岳~赤岳の縦走を計画していましたが、二人とも足にケガを抱えてしまい、やむなく難所を避けるルートを取りました。
ヘルメットも買って準備播但線じゃなくて万端でしたが、足元の不安には役立ちません。
安全第一ケガしない、この日もこの方針で行くことになります。
この方針はいかなるときでも必須のはずですが、ほとんどの場合、最初のケガをしてから意識し出すもので、なんだか後の祭り感が半端ないのです。
それもまた人生、とは言い過ぎであるものの、よくある話ではありますが、意識しないよりはましです。
安全第一で歩き、ケガしないで帰ってきたいと思います。

みどり池入り口登山口の駐車場に着いたのは、8:30前でした。
駐車場は既に一杯に見えましたが、なんとかスペースを見つけて止めることができました。
登山口は林道のゲートです。
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8:45頃に出発しました。
みどり池までは、シラビソの森のなかをなだらかに登っていきます。
かつて木材の搬出に使っていたレールが、今も残っています。
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森は大木が多く、立派なシダもたくさん生えていましたが、今回の山行で一番気に入ったのがシラビソの若葉でした。
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枝の先にちょこんと伸びた葉の黄緑の色彩が、何とも言えずによいのです。
新緑の季節なのか、そこかしこのシラビソの葉が黄緑に浮かび上がって、森のなかが明るく感じられます。

登山口から1時間30分ほどでみどり池にたどり着きました。
ほとりのしらびそ小屋で、まとまった休憩をとります。
この日は曇っていましたが、みどり池からは翌日登る天狗岳の全容を見ることができました。
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また、みどり池と言えば逆さ天狗です。
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曇天のせいか、池に映る天狗ははっきりしていますが、本体の方がパキッと写りません。
山の上を見ていると、天狗の奥からどんどん雲が流れてきているのがわかりました。
稜線は風が強いようです。
天気を気にしながら出発します。

しらびそ小屋からは本沢温泉に進路をとりました。
20分弱歩くと、湿地帯にお花畑が現れました。
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クリンソウの群落です。
花の名前は先生に教わりました。
先の美ヶ原トレイルランのレポートで、よく見るけど名前を知らない花、というような紹介をしたのがこの花です。
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元・よく見るけど名前を知らない花。
FTR関連で秩父に行くと『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』というアニメの看板をよく見かけましたが、よく見るけど名前を知らない花を見るたびに思い出します。
今年は『心が叫びたがってるんだ』の看板に出会うのでしょうね。
余談でした。
ちなみに先生は、クリンソウの群落を見て「お花畑
というよりワサビ田みたいだなぁ」と言っていましたが、言い得て妙だと思います。
先生は写真がお好きで、一緒の山行では花や景色の写真をたくさん撮って、後でデータをまとめて送ってくれます。
まめで親切な方です。

クリンソウの群落があった橋から本沢温泉までは、起伏の少ない森の中を歩きます。
このエリアで、トランスジャパンアルプスレース(TJAR)のトレーニングをしている方とすれ違いました。
TJAR2016の選手だった方で、マウンテンスポーツネットワーク(MtSN)の記事で顔と名前を覚えていました。
私たちの姿を見ると走るのを止めて、私たちが立ち去ってから走り出す、トレイルランナーの理想的なハイカーとのすれ違い方を見せてくれました。
紳士です。
もしTJAR2018に参加されるのなら、一番に応援したいと思います。
やがて、大きな下りを下りきると林道に出ます。
ここにもクリンソウのワサビ田があり、目を楽しませてくれます。
やがて林道を詰めきると、本沢温泉に到着します。
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12時前にたどり着きましたが、ここで昼食をとりました。
硫黄岳の爆裂火口を雲がはい上っていきます。
稜線方向はやはり強い風で、ガスがどんどん濃くなって行きます。
コンビニおにぎりとガスストーブで沸かした紅茶で軽く昼食を済ませて、出発したのは12時半過ぎだったでしょうか。
天候が心配だったので、早めに動き出すことにしました。

本沢温泉から夏沢峠に登る道は、これまでの緩やかの登りとは違い、急な傾斜が含まれていました。
私はここで左アキレス腱の痛みが再発してしまいました。
むしろ、美ヶ原のレース中より痛いかも。
この後は痛みを抱えながら進むこととなりました。
どうも登り坂のアキレス腱を伸ばす動作と、着地時の左右のブレがよくないようでした。
極力刺激のないように歩きはしますが、アキレス腱てのはそれを動かさないと歩けないため、刺激を絶無にすることはできないのです。
今、改めて山と高原地図を見返していますが、本沢温泉までの等高線の間隔と、本沢温泉からのそれとは、随分と差があります。
急登と言えるかは微妙ですが、アキレス腱の使い方≒動かす範囲に大きな変化が起きて、ケガに影響が出るだろうことはなんとなくわかりました。
膝のケガは下りの痛みに繋がりますが、アキレス腱のケガは登りで痛み出す。
今後のために覚えておこうと思います。
1時間ほど痛みにこっそり顔をしかめながら登ると、夏沢峠に到着しました。
予想していた通りの強風で、見事に雲の中でした。
こういう天候でなければ、本沢温泉の日本最高地点の露天風呂につかってもよかったのですが、この日は先を急いで正解でした。
それに、宿泊先の根石岳山荘にもお風呂はあります。
欲張って2回入る必要はないのです。
ここからは、雲のなかを歩きます。