竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

風が強く吹いているー櫛形ウインドトレイル2017レポート2

先週はハセツネのゼロ関門や色々な同級生との飲み会が重なり、なかなか記事が書けないでいました。
行ったことのない店に出入り禁止になった話などのネタを豊富に仕入れてきましたが、それはまた別の機会にということで、おくればせながらの櫛形ウインドトレイル2017のレポート第2段です。

定刻から遅れてスタートした後、雨上がりのロードを2kmほど走り、白鳥山公園を登り詰めると登山道が現れます。
この白鳥山をガツンと登って、山頂の城跡からガツンと下ると、往路の羽黒エイドにたどり着きます。
ここの登山道が急勾配なうえに、先程までの雨の影響でズルズル滑りやすくなっていました。

この日、一緒に出場したBさんは、完走してITRAポイントを獲得することがレースの目標でしたが、私には特に目標があるわけではなかったので、Bさんにくっついて行きました。
羽黒エイドからは櫛形山脈の稜線に向けて一気に登ります。
この登りは斜面が急で、当然のように泥々です。
水分豊富なビチャビャとしたトレイルではなく、粘っこくて靴底にまとわりついてきます。
まるで歯にまとわりつくキャラメルのようです。
先が思いやられます。
どうやら土が粘土質のため、こんな粘っこさになるようです。

登りきった先、櫛形山脈の主稜線は美しいトレイルでした。
条件がよければ非常に快適にトレイルランニングができる場所だと思いました。
ギザギザとしたアップダウンは、いい感じで走れないキツさの斜度で、トレランをゆっくり楽しむには適していそうです。
ただし、この日はその坂が泥々でズルズルになっており、容易にこけてしまう危険がありました。
そのため、登りも下りもまったくペースを上げることができませんでした。
アップダウンは、斜度もそれなりに急ならば長さもそれなりに長く、真面目に追い込んで走ったらかなり鍛えられる感じがします。

稜線上には所々スタッフがいて、給水所も二ヶ所ありました。
標高が低いとはいえ、こんなとこまでまでよく担ぎ上げたなと感心します。
山中のスタッフ体制は非常に充実したレースです。

コース最高点の櫛形山山頂にはスタートから2時間40分後の10:40頃に到着しました。
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雲の中です。
晴れていればこういう風景らしく、
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飯豊連峰を見渡せるそうですが、このときは霧しか見えませんでした。
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霧の中、森林公園の第2エイドに向けて下ります。

櫛形山から第2エイドへの下りはじめは、杉とシダの森です。
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この森を抜ける少し手前に15kmの表示があり、林道に下りてから、少し下って登り返すと第2エイド森林公園です。
ここでトラブル発生です。
Bさんがここまでの下りで膝を痛めてしまい、下りを走れなくなってしまいました。
とりあえずエイドで休みながらマッサージなどしましたが、あまり効果がなかったようです。
私も奥三河パワートレイルで膝を痛めましたが、やはり痛んでからマッサージしても効果はありませんでした。
幸いエイドからすぐに登りだったので、走れる登りは走り、走れないところは急ぎ足で登り、なんとか時間を稼ぐことを意識しました。
第2エイド出発は3時間27分後の11:27だったでしょうか。
フィニッシュ制限の7時間には、なんとか間に合うだろうと思っていました。
しかし、このとき復路の羽黒エイドの関門時刻は完全に意識の外でした。

主稜線に登り返すと霧は大分薄らいでいて、視界が晴れてきました。
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日本海と、遠くに浮かぶ島がうっすら見えます。
佐渡島か粟島でしょうか。
レースコースは厳密にはループ型ですが、櫛形山脈の主稜線はほぼピストンします。
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往路は霧の中でしたが、今は明るくなったトレイルを進んでいきます。

Bさんは走れるところでは一生懸命走っていましたが、やはり下りを走ることができません。
しかも痛みは増しているようでした。
20kmを過ぎてしばらく走ると、主稜線と別れ、往路で登ってきた石切山を経由する尾根に入ります。羽黒エイドに向かっての下りです。
恐らくこの時点でまだ12時50分より前で、フィニッシュの15時は余裕だなと思っていました。
ただ、それはあくまでフィニッシュであり、第2関門羽黒エイドにはまったく余裕がなかったことを知ったのは、その関門時刻の2分ほど前でした。

羽黒エイドまではかなり急な下りなのですが、多くのランナーが踏みつけた後なので、グズグズで、グチャグチャで、柔らかくなったソフトキャンディのような、路面となっていました。
ミュータントのアウトソールでも歯が立ちません。
Bさんは、斜面によっては前向きに下ることができないくらい、痛みが強くなっていたようです。
また、水分と食糧の補給が足りていなかったようで、少し参っていました。
もうこの状態では仕方がないので、ゆっくりゆっくり、と声をかけながら下ります。
時計は13時30分を過ぎていましたが、25km近くは来ています。
このときでも私は、まだフィニッシュには余裕があると思っていました。
しかし、周囲の方々が口々にもう間に合わないと言い出したので、おかしいぞと思い、地図の制限時間を確認したところ、13時40分とあります。
今の今まで、4と3をひっくり返して、14時30分と思い込んでました。
確かに間に合わない、そしてもう急げない。
Bさんの膝も限界に近づいています。
無理はできませんし、する必要がなくなりました。

後は周りの諦めたランナーの方々と一緒に10分ほど山道を下り、復路の羽黒エイド、第2関門に到着しました。
Bさんによれば13時49分頃だったそうです。
関門時刻には、スタートが遅れた分を引いても、7分ほど間に合っていませんでした。
タイムオーバーによるDNFです。
BさんはITRAポイントの獲得ならず、私は2レース連続かつ今年3度目のDNFでした。

まあ、泥々の手を洗ってから、エイドのバナナとトマトをいただいて落ち着きましょう。
帰り道はまた長いのです。
レース中ずっと吹いていた少し強めの風は、麓でも同じように吹いています。
そういえば前日からこの風は吹いているような気がします。
なるほどウインドトレイルか、今さらながらに感慨にひたりながら、二つ目のトマトをいただくかどうか迷っていました。
結局、二つ目は食べませんでしたが、胎内市産のトマトは味がしっかりしていて美味しかったです。

会場へはスタッフが回送してくれるとのことで、飲み食いしながら車を待ちました。
風はまだずっと吹いていますが、ここにいる分には追い風でもなければ向かい風でもありません。
祭りの後に、後の祭りの5月の風が吹いています。