UTMF2016振り返り、第5段です。
記事がモタモタしているうちにハセツネ30Kのエントリーを忘れていました…。
本戦のエントリー合戦には初めて挑みます。
でもまた忘れたりして…。
A2本栖湖のホワイトボードを見て、私は軽く混乱していました。
泥と雨で心身ともに消耗してしまい、しかも空腹で頭が回りません。
そんななか、44km、朝霧高原、STY…。
なんのこっちゃと思っているうちに、思考がつながりました。
短縮UTMFはさらに短縮され、44km地点の朝霧高原道の駅にフィニッシュが変更です。
また、この短縮UTMFの完走者は翌日のSTYにオープン参加できることが書かれていました。
レースの再短縮については合点がいきました。
大雨警報が解除されていたかはわかりませんが、コースの状況が悪化していることは想像がつきました。
そもそも120km短縮なのです。
それが125kmになっても、その5kmは誤差でしかありません。
問題はSTYです。
着替えはドロップバッグに入っているので、出ようと思えば出れます。
はてどうしたものかと思いつつ、まずはフィニッシュ変更を友人に電話したついでに、STYがどうのこうのと相談してしまいました。
友人がフィニッシュしてから考えればいいんじゃない?と言ってくれて、ふと、まだUTMFが終わってないことに気づきました。
目の前の残り12,3kmに意識が向かってませんでした。
集中力が切れはじめています。
危険な兆候ですが、そのときはそこまで深刻に思わず、軽く気持ちを切り替えたに過ぎませんでした。
お腹減った。
今度こそ食べ物に一目散です。
ゆば飯をおかわりをして復活した私は、出発前にもう一度ホワイトボードを確認しました。
朝霧高原てどこだろうと思っていたのですが、地図が見当たらなかったのでわかりませんでした。
思えばここで自分の地図を確認していれば、後々の大混乱はなかったのかもしれません。
自分に課していたエイド滞在の制限時間を越えていたこともあり、少し焦りがあったのかもしれません。
やはり、屋根の下で落ち着いて地図を確認すべきでした。
エイドの建物から外に出たときに、雨が、さっきよりも三段くらい強くなっていました。
雨具はサロモンのボナッティを着ていたのですが、そのときは前のボタンだけ止めて、ファスナーを閉めていませんでした。
ボナッティはこういう使い方ができるので非常に重宝しています。
しかし、このときはファスナーを閉めるしかないくらいの大雨でした。
建物の軒先に戻って体制を整え、再スタートです。
記録ではA2アウトが21:00となっていましたが、走り始めにはもう数分かかっています。
大雨に飛び出してロードをしばらく走ります。
シャワーを浴びて、ウォウォウウォ♪
と、歌いたくなるくらい、シャワーランニングでした。
どしゃ降りもいいところ、むしろ滝行に近いのですが、それよりはマイルドだと思えばいいでしょうか。
あるいはドラマや映画の雨シーンの過剰感に近いのか。
ともかく大粒の雨が全身をたたきます。
短縮の短縮は大正解です。
後でアナウンスされてましたが、再短縮の理由は、コース上に土砂崩れの危険箇所があったことだそうです。
あれだけの雨が降り続けていれば致し方のないことです。
その手の災害事故が起きなくてよかったと思いますし、実行委員会の判断は適切だと、参加者の目線から思います。
A2から朝霧高原までは、大会前に変更された竜ヶ岳を迂回するコースを走ります。
竜ヶ岳は試走で軽く登りましたが、草原の山頂がよい雰囲気でした。
過去のUTMF映像でも印象的な場所として扱われています。
迂回路は東海自然歩道を通るのだと思いますが、竜ヶ岳エリアを過ぎるとロードの国道沿いに付けられています。
地図上ロードに見えなくもなく、私もそう勘違いしていました。
これが大間違いで、細かい起伏に富んだ道路脇トレイルというのが正解でした。
このトレイルは水たまりが多く、起伏の伏のところがことごとく水たまりといってもいいくらいでした。
大きな登り下りはないので走れてしまうのですが、足元の悪さと激しい雨に少しずつ消耗していきます。
また、A2を出たあとからベルトコンベアは解消されています。
直後のロードでばらけて、道路脇トレイルもそのまま行けた感じなのでしょう。
友人も待たせているのとベストに近づいているのとで、早く行かなくちゃという思いが強くなっていました。
どうせあとちょっとだから走っちゃえ、完全にスイッチが入りました。
道路脇のトレイルを終えて、国道を渡るとしばらくロードランになります。
ここでスパートをかけました。
残りの距離はわからないものの、短くてもUTMF、最後は走って終わりたかったのです。
雨は降り続いてますが、そんなの既に本日の前提条件となっています。
かまわず飛ばし、前にいたランナーは全員抜いたと思います。
雨でスイッチが入ってしまい、そのまま回線がショートして暴走ぎみにロードを走りきりました。
ロードを終えると、少し街中を通って東海自然歩道に復帰します。
この頃になると雨は弱くなり、時折止むといった感じでした。
街中を走っている最中、脇道のようなトレイルがあり、その入口近くの木にマーキングテープが下がっていました。
ここで曲がるのかな、でも少し不自然で、マーキングが微妙にずれていました。
どうしたもんだろと思っていたら、15人くらいの集団が脇道トレイルから出てきました。
どうやら軽くロストしたそうで、彼らが私の進行方向に走るのを見送りました。
一息ついてから私も出発しました。
ここでのプチ集団ロストが、この後の大混乱の一因になるとは、この時、知る由もありませんでした。
とにかく走り出すと、しばらく先にマーキングがあり、こちらの道が正しかったことがわかりました。
トレイルに入るとそこは水たまり地獄…。
先ほどの道路脇トレイルの水たまりなどかわいいもので、浅いもので足首くらいまで、深いものでは膝くらいまで浸かる水たまりが、次々と現れました。
私の身長が177cmなので、膝まで浸かるのは相当ヤバイと思います。
水たまりというよりもプチ池です。
そんなトレイルを、プチ池をつなぎながらジャブジャブと走っていきます。
アップダウンはほとんどないので、ロードの勢いを維持しながら飛ばします。
プチ池にもかまわず突っ込みます。
周りのランナーもそんな様子でした。
それまで散々雨に濡れているので、いまさら知ったことかという気がしていました。
ただ、水に浸かって足が冷えると、走るのが億劫になるのです。
この辺りのプチ池の水温が低かったのもあるかもしれません。
急に冷やされて、十分な血流を確保できなくなったことによるのでしょう。
面白い発見で、今後役に立ちそうです。
プチ池ジャブジャブトレイルを過ぎると、木立の中の泥の下り坂にたどり着きました。
傾斜は急ではないのですが、とにかくグチャグチャでスリッピーです。
足がめり込む感じがないのは救いでしたが、ここはスピードを出せず15,6人のパックで進みます。
結構長い坂でしたが、もうだいぶ下りてきたかなという時のことでした。
前からランナーが坂を登り返して来たのです。
それにつられて、パックごと足が止まりました。
戻ってきた方は、坂を下りきった先にスタッフがいる(べき)ポイントがあるのに、スタッフがいない、トレイルに入ってからマーキングもない、レースの再短縮にスタッフが対応できてないんじゃないか、フィニッシュに気づかず通り過ぎてしまったんじゃないか、ロストしたと思うから引き返す、皆さんは自己責任で、という趣旨のことをアナウンスしながら引き返していきました。
私の前にいたランナー15人ほどはほとんど、その方に付いて引き返していきました。
なんだやっぱりさっきのところか、という声も聞こえました。
マーキングが微妙だった地点のプチ集団ロストのことだと思います。
私も引き返すかどうか迷いましたが、足が止まったついでに頭の回転も止まってしまい、気が付けばただ一人、取り残されていました。
ロストってなんなんだよここまで来て…。
たぶん声に出していたと思います。
どうしたもんだろ、どころじゃない、本当にどうすりゃいいんだと、軽い絶望に見舞われました。
しかもまた雨が強く降ってきます。
武蔵坊弁慶は源義経を守るため矢に射たれて立ち往生しましたが、私、竹仙坊は何を守るでもなく雨に打たれて立ち尽くしています。
本当にどうすりゃいいんだ、大混乱の始まりでした。
雨はさらに強くなっていきます。