竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

2017初詣山行4ー愛宕山・明智越・唐櫃越

2017年1月2日、初詣トレラン山行の第4弾です。
高尾山天狗トレイル2017で中断していたので、ずいぶん記憶が古くなってきましたが、とりあえず下山まで書きます。

唐櫃越の最高峰みすぎ山を過ぎてから、未舗装林道に降りてきました。
結論から先に言えば、唐櫃越で迷わないためには、未舗装林道を信じて最後まで着いていくことに尽きます。
例えば下のような写真の場所が何ヵ所かあります。
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ここは左側、轍のついている未舗装林道を進んで行きます。
他の似たような場所でも、何がなんでも未舗装林道です。
道を外してはいけません。

さて、林道とはいえ未舗装、脚に優しく非常に走りやすいトレイルで、けっこう飛ばせました。
薄曇りの中でしたが、柔らかく晴れてもいて、寒くもなく暑くもなく、とても快適でした。
ところが、ほぼフラットなセクションを飛ばしていたところ、アクシデントが起きました。
突然、右前方の茂みがガサゴソしたかと思うと、イノシシが勢いよく飛び出してきました。
距離は5mほど、一瞬にして身体が凍りつく思いでした。
幸いなことに、イノシシはすぐに林道を横切って左側の斜面に消えていきましたが、別のイノシシでしょうか、右側の斜面からはまだガサガサする音が聞こえます。
マジかよなんだよ~も~、と誰もいないのをいいことに、情けない声をあげてしまいます。
とりあえず早くこのエリアを離れなくてはならない、と思い、また走り出しました。
すると、すぐに下の写真の地点にさしかかりました。
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私はここで看板の矢印の意図を読み違え、写真の右奥に見える下り坂を下りてしまいました。
その坂も車が走れるくらいの広さはありましたが、200mくらい下ったところで、ちょっと手入れされていない感じがして不安になり、足を止めて地図を確認しました。
が、いまいちよくわかりませんでした。
もう一度分岐の看板を見に戻りましたが、矢印の指す方向が、真っ直ぐを指しているのか、それとも下りの方向を指しているのか、判断ができませんでした。
イノシシに出会ったことで動揺していたからなのだと思いますが、落ち着いて判断が出来ないまま、数分間停滞していました。
地図でも看板でも確信が持てる道を決めかねていましたが、ここは林道に沿って行けばとりあえず人里には出るだろうと、開き直って直進することにしました。
地図では、林道を下ってゆけば、京都の桂方面への分岐を逃したとしても、亀岡市の西山団地にたどり着くということでした。
ぐずぐずしていてイノシシが戻ってきてもいやなので、腹をくくって走り出します。

例の分岐から10分くらい下ると、アスファルトの広場が出てきました。
13:17、林道がロードに変わる地点に到着です。
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私はここでやっと、自分が未舗装林道が途中ロードに変わることを事前情報で得ていたことを思い出しました。
そういえば!にもほどがあります。
いったい、さっきの迷いはなんだったんだろう。
しかも、その情報はスマホにオフラインで読めるように保存してあるではありませんか…。
イノシシにビビって、すっかり記憶が飛んでしまっていたようです。
どんだけビビリなんでしょう。
動揺を抑えないまま行動を続けたことで、危うく道迷い遭難するところでした。
救いは、迷い込んだ道に違和感を覚えることが出来た、その一点だけです。
唐櫃越で亀岡から京都に行くときは、未舗装林道と最後までお付き合いしましょう。
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ここからはロードを2.5kmほど、緩やかに登り下りしながら進んでいきます。
私はこのとき気持ちが切れていたので、走ったり歩いたりを繰り返していましたが、ほぼ走れるロードと言えると思います。
また、唐櫃越の林道は稜線そのものか、すぐ脇に沿うように作られているため、日射しがそれなりにあります。
亀岡から京都に抜ける場合は基本的に南に向かうので、太陽が目に入りやすかったです。
サングラスがあれば活躍します。
そうこうしているうちに、今度は本当の分岐にたどり着きました。
13:27のことでした。
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写真の左側が唐櫃越のルートで、山道に戻ります。
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山道は稜線に付けられていますが、眺望はほとんどなく、密生した木々の間を通らせてもらう感じでした。
眺望はないものの、雰囲気はよいです。
ここからは地形図上は下り基調で、細かいアップダウンを繰り返すものの、快適に走れます。
途中で亀岡市から京都市に入ったようで、看板のスタイルが変わります。
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漢字表記です。
初見では読めないかも。
順調に走っていましたが、ある地点でルートファインディングに手間取りました。
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分かりにくい写真ですが、右は微かなピークで、中央は二重稜線の間の微かな谷、左が二重稜線の片割れです。
現場の様子では木々の密度が微妙すぎて、どこが登山道か初見ではわかりませんでした。
ここに道はあるのだろうか?それすら判然としません。
看板もないので、自力で見つけるしかありません。
左と中央は同じ方向に向かっているように見えるので、方向は2択でなんとかなりそうです。
右側のピーク方向をまず探ってみます。
20mくらいは進めるのですが、そのあとは藪とがけで進めなくなります。
引き返して左側の尾根筋を歩きますが、人が歩いた気配が落ち葉で消えていて、どうにも確信が持てません。
中央の谷も然り。
とりあえず写真の地点に戻って、地形図を見ながら考えますが、こういう細かい高低差は地形図に反映されていないので、正直よくわかりませんでした。
時刻は13:35ごろで、日没にはまだ余裕はありますが、土地鑑のない山の中で、独り立ち往生しているのは非常に心細いものです。
5分くらい決断できませんでしたが、もう探り探りでいいや、と開き直って左の尾根を下っていくと、1分ほどして道標に出会いました。
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小さいのですが、あればそれで充分です。
道が合っててよかった。
この辺りは下り基調が続き走れるトレイルなのですが、道が細いのと谷側に傾斜があるので用心しながら進みます。
小さい道標から10分ほど走って、道が分かれたところに出ます。
左手のちょっと大きめの登り返しを登ると、沓掛山の山頂にたどり着きます。
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右は巻き道でした。
山頂はあまり眺望がないのですが、南方向の木々が薄いところから日が射し、暖かい場所でした。
ちょうど少年たちが4人登ってきたところでした。
下は小学校中学年、上は高校1年生くらいでしょうか。
季節がら従兄弟かなと思うような年齢構成でした。
唐櫃越では、入り口でカップルとすれ違って以来の登山者でした。
少しだけおしゃべりして、イノシシに気を付けてね!と爽やかに?言い残し、上桂方面へと出発しました。
出発して200mも行かないうちに、本日2回目の獣との遭遇です。
今度は5頭くらいの猿の小さな群れが、山道を上から下から横切っていきます。
野生の猿は意外と筋肉ムキムキで迫力があり、普段なら恐くて近寄らないのですが、この日はイノシシで感覚が麻痺していたせいか、歩みを止めずにスタスタと猿の群れに分け入ってしまいました。
走ってはいなかったので猿を驚かせることにはならなかったのですが、今思えば危険な行為です。
なんだ猿か、目さえ合わせなければいいだろ、と、たかをくくっていたんだと思います。
幸運にも猿との遭遇は平和裡に終わりました。

沓掛山を出たあとは、進行方向右側の木々の向こうに、西京区の御陵という地区が見えます。
人家がすぐ近くに見え、裏山と言っていいようなところです。
そして、桂坂野鳥園方面の看板や地元自治会の赤い矢印看板が増えてきますが、基本的に東海自然歩道に沿って「上桂」「山田」という地名に向かって下りていきます。
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ここは赤矢印ではなく、左の道標に従います。
例外はここのところ。
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ここは赤い矢印が正解です。

沓掛山から30分くらい走ると竹林に入ります。
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このあたりは西山の竹林といわれ、ここまで来ると唐櫃越も終わりが近いです。
丁塚という地点に出ると、山道は阪急上桂駅方面と苔寺西芳寺方面に分かれます。
私は当初上桂駅を目指していましたが、ここで出会ったご夫婦とお話をして気が変わり、苔寺に下りることにしました。
苔寺方面のトレイルは北向斜面の森のなかにあり、途中から川沿いの道になります。
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湿気がすごく、ところどころ苔むしていて、苔寺がここにあるのも納得の道でした。
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最後に渡渉して、少し進むと苔寺西芳寺の門前に出ます。
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14:30の到着、本年の初詣山行はちょうど6時間くらいで全行程を終えました。

ここからは京都バスに乗って実家まで帰ります。
上桂方面に下りなかったのは、苔寺にバスがあることを思い出したからでした。
ここから実家へは5kmくらいなので、走って帰ってもよいのですが、獣との遭遇×2でこの日はお腹いっぱいでした。
京都バスに始まり京都バスに終わった1日でした。