竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

ただいま逃走中ー高尾山天狗トレイル2018レポート1

間が空きましたが、1月14日に開催された高尾山天狗トレイル2018のレースレポートです。
高尾山天狗トレイルには、2011年から5回続けて出場しています。
2011年大会は人生初のトレイルレースでしたが、ここで楽しさに心奪われてしまいました。
その後トレイルランニングにはまっていく入口となったのが、この高尾山天狗トレイルでした。
自分にとって原点の、好きなレースです。

会場は高尾山麓の日影沢キャンプ場です。
高尾駅から早めのバス(8:12発。受付は8:30から)で向かいましたが、それでもターミナルは大行列でした。
また、当日は今年最初の最強寒波の影響で極寒でしたが、今時分の寒さに比べればまだかわいいものだったのかもしれません。
天狗トレイルというだけあり、スタート前には天狗によるお祓いがあります。
f:id:CHIKUSENDO:20180125000114j:plain
高尾山麓の神社の神職が天狗の扮装をして来てくれるのですが、今回は代替わりしたのか、女性の神職に変わっていました。
先代よりも丁寧で厳かでした。
特に狼の遠吠えを模した唸り声には、山岳信仰の息吹を強く感じました。
前の天狗は少し人間くさいところがあり、また違うよさがありました。
なんにせよ、世代交代がうまくいってよかったなと思います。

天狗の祈祷のあとは準備運動ですが、一緒に出場したAさんと私はこのタイミングでトイレに並びました。
スタートまで1時間ほどでしたが、もう20~30人くらいの列ができていて、それはスタートまで絶えることがありませんでした。
早めに並ぶことをおすすめします。

準備運動が終わると、11:00の最初のウェーブのスタート時刻が大分近づいていました。
Aさんと私はこのウェーブで、もう一人一緒に参加したBさんは11:45のスタートでした。
スタート・フィニッシュゲートの下にAさんと一緒に移動します。
f:id:CHIKUSENDO:20180124235815j:plain
この横断幕は前回まではありませんでした。
今回新しく作ったものだと思います。
逆光でうまく撮れていませんが、かわいいデザインでした。
新しいものといえば、今年から「天狗から逃げ切れ!」なるカテゴリーが設けられました。
スタート後に追いかけてくる天狗から逃げ切ると、景品がもらえるという遊びです。
第一ウェーブの選手は皆そのカテゴリーで、天狗ゼッケンを背中に着けて走ります。
f:id:CHIKUSENDO:20180125221715j:plain
天狗にステッカーを貼られてしまうと、景品はもらえません。
追いかけてくる天狗は、長身のきれいなランナー体型をした2人の男性で、それぞれ赤の大天狗と緑の烏天狗のお面をかぶっていました。
f:id:CHIKUSENDO:20180130001600j:plain
ややこしいのですが、赤いダウンの緑のお面が烏天狗、緑のダウンの赤いお面が大天狗です。
遊びとはいえお面がリアルなので異様な迫力があり、ハイカーが怖がるんじゃないか、下手したら通報されるんじゃないか、Aさんとそんな軽口を叩きながらスタートを待ちます。
それにしても天狗は見るからに速そうです。
本気で逃げます。
本気だから捕まるまでは写真を撮らない、そう決めてスタートしました。

天狗トレイルのコースはアップダウンに富んでいます。
まずは日影沢林道を小仏城山まで登り、巻き道から陣馬高尾縦走路に入って、小仏峠から底沢・美女谷方面に下ります。
底沢からは縦走路上の底沢峠への長い登り返しがあり、縦走路に合流した後は巻き道を中心に走って、景信山頂を巻いた後に小仏バス停付近を目指して下ります。
景信山を下りきってからは小仏峠まで登り返し、小仏峠からは往路と同じ道を逆にたどり、小仏城山からは日影沢林道を下ってフィニッシュです。
18kmの間に、山麓から縦走路を3回登って3回下るコース設定になっていて、意外とタフなレースだと私は思っています。
男子の優勝者は大体1時間40~50分で、私のこれまでのベストタイムは2時間25分くらいです。
今回は、できればベスト更新、少なくとも2時間30分を切りたいと思っていました。

スタートからの登りの日影沢林道は、凍結箇所を確かめながら走りました。
2kmは砂利で、残り1kmはアスファルトの林道を登りきると、小仏城山に到着して縦走路に入ります。
小仏峠までは下り基調で走りやすいのですが、晴れていたためハイカーが多く、すれ違いの際は歩くように心がけました。
小仏峠から底沢・美女谷方面への下りは対照的に、一組の登山者にも会いませんでした。
ここは落ち葉に覆われた走りやすい下りですが、落ち葉の下に枝、根っこ、岩が隠れていて、かなりテクニカルなトレイルと言ってよいと思います。
実際私は、昨年この下りで落ち葉の下の根っこにつまづいて転倒し、半年くらい尾を引く大ケガをしました*。
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2017/01/16/234447
今年は「こけない」という決意のもと、足裏に感覚を集中させて安全な着地を心がけ、前の選手も余程ペースが合わない限りは追い越さず、慎重に慎重を重ねて走りました。

底沢の集落に下りてからの短いロードでペースを上げ、底沢峠への山道もガシガシとハイペースで登りました。
私はこの底沢峠への山道が好きです。
もう何年も何回も通っているのですが、ここでハイカーに出会ったことはほとんどなく、自由にトレランを楽しむことができます。
眺望はあまりないのですが、植生の変化が楽しい森で、飽きることがありません。
天狗から逃げるというミッションがあるのでしかたないのですが、ここは急いで通り過ぎるのがもったいない所です。
まあけっこうな急斜面なので、どんなに急いでも時間はかかってしまいますが。

底沢峠から縦走路に合流すると、おなじみの走れるトレイルとなります。
最強寒波の影響で山道はカチカチのコチコチでしたが、縦走路上にあるいつもぬかるんでいる場所は凍っていませんでした。
昨年は完全に凍っていたので、今年は少し気温が高かったのかもしれません。
縦走路は巻き道に入ればフラットですが、主稜線に戻ると意外とアップダウンがあります。
これまで「走りやすい」の一言で事足れりと思っていましたが、いざ意識して走ると、下りは急で、登りはだらだら長く、それが何度か繰り返されるという、それなりにタフに走らされるトレイルであると思いました。

ひとしきり走ってから景信山頂を巻く道と、山頂からの下り道の交差点に差し掛かったところで、天狗トレイルは縦走路を横切り、どの地図にも載っていないトラバース道に入ります。
この道は恐らく作業道なので細く、その上、右側に向かって斜度がきつく、足首への負担が大きくなる道です。
そのままどん突きの~♪まで進むと、景信山と小仏バス停をつなぐ山道に合流します。
この下りもけっこうな急斜面で、落ち葉の下に色々なトラップが隠れています。
私は今回、この下りで落ち葉で滑って一回しりもちをつきました。
そして、その直後に木の根に引っかかり、高尾山域の山道に2年連続のヘッドスライディングを決めました**。
http://chikusendobo.hatenadiary.jp/entry/2018/01/15/221950
こけ初めは、またも天狗トレイルでした。
昨年ほどのダメージはなかったものの、残りの小仏バス停付近までの下りは、ほとんど走れませんでした。
やっぱり、冬にこけると他の季節よりも痛みを強く感じます。
痛みに顔を歪めながら下ります。
このルートはハイカーが多いので、追い越す際にちょくちょく歩けるのが嬉しかったです。

なんとか下りきってからの小仏峠までの登り返しでは、大分痛みが和らいできたので、走ることができるようになりました。
ところが、登っている最中に抜かれたランナーの背中に天狗のステッカーが貼ってあるではありませんか。
ヤバイ。
天狗が迫ってる…。

2014年冬の大雪とレースの記憶

2018年1月22日は大雪で、東京都心でも20cmを超える積雪が記録されました。
この大雪で思い出したのが、2014年の冬シーズンです。
記録では、2014年は2月に2週続けて記録的な大雪が降りました。
今回の報道でも、4年ぶりの大雪警報だとか積雪量比較だとか、2014年を引き合いに出す例が見られます。
2014年冬シーズン、私は2月と3月で計5大会にエントリーしていましたが、その大雪がらみで4レースが中止となりました。
まずは、2月9日の赤羽ハーフマラソンがその前日の大雪で、翌週2月16日のおんじゅくオーシャントレイルも同様に、2週続けて降った大雪のために開催できなくなりました。
これらは直前の降雪で中止になりましたが、積雪の影響で開催が取り止めになる大会もありました。
2月23日に予定されていた高尾山天狗トレイル、3月9日の房総丘陵トレイルランは、積雪のためにコースが使えない状態となったため、中止となりました。
特に房総丘陵トレイルランが受けた影響は大きく、翌年から別の地域で開催されることになりました。
元々は清澄山周辺の東大演習林を走るコースでしたが、その演習林が大雪で荒れてしまったそうなのです。
現在は、最近チバニアンでお馴染みの養老渓谷周辺に会場を移し、名前も房総丘陵養老渓谷トレイルと変わっています。
ちなみに、現在の赤羽ハーフ、オーシャントレイル、天狗トレイルは、2014年当時と開催時期が異なります。
それぞれ変更の理由は異なりますが、一つのレースを形を変えずに続けることの難しさを感じます。
かといって、変えないことが良いというわけではありませんが、どんなことでも当初の計画通りに続けることはできないのかもしれません。
そういう時は、計画から離れて物事を考えなくてはならないのかもしれません。

計画といえば、元々このシーズンは3月下旬の板橋Cityマラソンに照準を合わせて走っていたため、上記の4レースは練習の一環としての意味合いが強いものでした。
それが全て中止になってしまったのです。
計画が狂うというレベルを越えて、根こそぎ失いました。
でも、自然現象が相手では、人間は状況を受け止めることしかできません。
その板橋Cityマラソンは私のフルマラソンのワーストタイムで終わりましたが、それはレース中止のせいだけではないことはわかっています。
計画通りにいかないことがたくさんある、とブルーハーツも歌っていますが、そのたくさんを越えた先で何があるか、それは計画になかったものであるだけに楽しみでもあります。

2014年に中止になった4レースのうち、先週末開催の赤羽ハーフにはエントリーしませんでしたが、高尾山天狗トレイル2018はある程度無事に完走することができました。
おんじゅくオーシャントレイル2018にはエントリー済みで、房総丘陵養老渓谷トレイルランにもエントリーの予定です。
オーシャントレイルと房総丘陵は、出場できれば初出場となります。
2014年には参加賞だけが送られてきました。
f:id:CHIKUSENDO:20180123233803j:plain
たとえ計画通りにいかなくても、律儀に送ってきてくれることが嬉しかった記憶があります。
でも今年は、無事に会場で受けとることができますように。

地獄の休息ーcoast to coast 2017余録2

~coast to coast ~房総半島横断2017の装備などの余録です。
この記事を書いている日、東京は大雪で大変なことになっています。
ある程度無事に帰宅できた私は、不意の夜長を活用して記事の渋滞を少しでも解消したいと思います。

今回はテクニカのインフェルノ(INFERNO X-LITE 3.0)を履いて走りました。
2016年の夏に、当時は9月開催だったUTMF2016での使用を想定して購入しました。
結局、悪天候で短縮開催だったUTMF2016ではスポルティバのミュータントしか履かなかったため、当初の目的を達することはありませんでしたが、試走や練習山行では常に履いていました。
見た目よりも軽く、また、クッション性能が高いため足への負担も軽く、一言で言って快適なシューズでした。
グリップもプロテクションもしっかりしていて(ミュータントには負けますが…)、私好みのシューズです。
f:id:CHIKUSENDO:20180122210928j:plain
爪先とアッパーメッシュは、何度引っかけても破れませんでした。
その年のFTR100でレースデビューし、その前年よりも早くフィニッシュすることができました。
その後は奥三河パワートレイル2017、菅平スカイライン、信州戸隠で使用しました。
レースで履いた回数は多くないのですが、レース以外ではよく履いていました。
インフェルノをレースで適用する基準は、ミドルディスタンス以上、直前の天気が良く乾いたコンディション、走りやすそうなコースプロファイル、というものでした。
例外は信州戸隠で、コースプロファイルとしてはミュータントがよかったのですが、アキレス腱の負担を軽くするために履きました。
インフェルノは踵のクッションが柔らかく、アキレス腱への当たりが、ミュータントに比べれば格段に優しい作りになっています。
その当時アキレス腱周囲炎を抱えていた私にとって、最適のシューズでした。
インフェルノは故障した足の保護にも適しているのです。
モデル名の原表記はINFERNO、テクニカの母国のイタリア語では「地獄」という意味です。
文字通りならば地獄に両足を突っ込んでいるわけですが、その名に似合わず、とても快適なトレランシューズです。

今回の~coast to coast~房総半島横断2017は、上記インフェルノ適用基準にピッタリのレースでした。
結果として、私の故郷である千葉の山でいつも以上に走れるレースを展開できたのは、インフェルノのおかげでもあると思います。
最後は暴走と言えるくらいのペースアップにも応えてくれました。
戦績としても、故障でリタイアした奥三河パワートレイル以外は全て完走し、FTR100と菅平では自己記録を更新しています。
私にとっては「走破性」の高い、「走れる」シューズでした。
ミュータントの場合は「走破性」というよりも、「踏破性」といった方が適している気がします。
いずれにせよ、インフェルノの走破性は、非常に頼もしいものです。

しかし、比較的短期間で酷使したせいか、アウトソールのすり減りが無視できないほどになってしまいました。
f:id:CHIKUSENDO:20180122215824j:plain
踵のラグはいくつか磨滅して、前足部も著しく浅くなってしまいました。
信州戸隠2017では石を踏んだときのグリップの弱さを感じましたが、coast to coastでもその傾向は強くありました。
まだまだ履ける状態ではありますが、ラグの浅さに不安を覚えている状況では、安全な山行を保障することができません。
もったいないとは思いますが、一線を退かせることを決意しました。
実働は1年半と短期間ではありましたが、大変お世話になりました。
ありがとうございます。

インフェルノの第2の人生は既に決まっていて、レース前の移動用、もしくはレース後のリカバリーシューズにする予定です。
地獄の名を持つ靴ではありますが、休息用の靴として生まれ変わってほしいと思います。
たとえラグが磨滅しても、ビブラムのメガグリップソールは素材自体のグリップ力が高いので、街歩きならばなんの問題もありません。
これからも、色々なレース会場に一緒に行けたらいいなと思います。
靴が地獄なら、その外側の世界は地獄以外の何物かです。
そう考えたらどこに行くのも楽しみになります。


coast to coast 2017装備

頭:ノルディスク・雑誌付録のチューブマフラー、フィールズ・オリジナルのサンバイザー
首:フィールズ・オリジナルのバフ
シャツ:ノースフェイス半袖
アンダーシャツ:オンヨネ・ブレステックPPメッシュロングスリーブ
アームカバー:ファイントラック・アクティブスキン(ランナーズオリジナル)
ズボン:ノースフェイス・腹巻きパンツ
アンダーパンツ:オンヨネ・ブレステックPPメッシュトランクス
タイツ:スキンズ・A200ロング
靴下:C3fit・紙素材
靴:テクニカ・インフェルノ

リュック:オスプレー・デューロ6
雨具ジャケット:サロモン・ボナッティ
雨具パンツ:ノースフェイス・ストライク
ウインドジャケット:モンベル・エクストラライト
防寒具:モンベル・ウルトラライトダウン
水:ソフトフラスク500mL×2、250mL×2
その他:ファーストエイドキット、ヘッドライト、ハンドライト、予備電池、携帯充電器など…