竹仙坊日月抄

トレイルランニング中心の山行記やレース記、その他雑感が主です。藤沢周平が好きです。

私にまつわるエトセトラーUTMF2018に向けて1

人は誰も、という書き出しで他の人を巻き込むことの是非はこの際おいといて、人は誰も、思い入れの強いことにはつい饒舌になってしまうものです。
饒舌にとは言っても、ただおしゃべりになるということではなく、しゃべるしゃべらないにかかわらず、言葉があふれて出てくる感覚でしょうか。
うまく話せなくても頭のなかには、言葉が次々湧いてきているあの状態です。
ちょうどUTMF2018-2020の参加資格についてのアナウンスがあったばかりで、次のUTMFに向けて、またつらつらと思いが湧いてきています。
思いを言葉に、はてなブログのキャッチフレーズにガッチリ乗っかりたいと思います。

これからの私自身の気持ちの持ちようについて考えると、どうしても100マイルレースに出られなかったことへの不完全燃焼感がポイントになります。
憧れの100マイルレース=UTMF出場だ!と思ったら、125kmも短縮されたレースとなったことが、私の思い入れをより強くさせていることは間違いありません。
行くことのできなかった125km分の不完全燃焼を、書くことで燃やしてしまいたいと思います。
この前振りだけで5km分くらいは燃えたかな。
ただ、私のUTMFへの思い入れやこだわりには、この不完全燃焼以外にも原因があります。
自意識過剰なトレイルランナーである私なので、この際、吐露してみたいと思います。
長いです。

そもそも、私のトレイルランニング好きは、子供の頃の山体験の影響が大きいといえます。
私の故郷は東京湾の埋め立て地で、見渡す限りコンクリートの団地という景色の中で育ちました。
人工海浜はあったものの、自然とほとんど隔絶された環境でした。
日常では山とは無縁でしたが、山好きの両親に連れられて行ったり、地域のキャンプに参加したりと、毎年のように山に遊びに行っていました。
そんな形でしか触れられない山であるがゆえに、山であればどんな山でも、私にとっては非日常の特別な存在でした。
山ではいつもワクワクしていました。
そんな特別なワクワク感が、私の山体験のベースにあります。
よく行ったのは四阿山で、嬬恋村のバラキ高原のキャンプ場から登っていました。
今思えば、メインではない長距離のルートをよく歩いたものだと思います。
また中3のときには、級友と3人だけで雲取山に山行しました。
まだ三峰のロープウェイは健在で、雲取山荘は改築前でした。
三峰神社から入山し雲取山荘に1泊、翌日登頂してから鴨沢に下りました。
野生の鹿に出会ったり、山小屋に泊まったり、全てが生まれて初めてで新鮮な楽しみでした。
登頂の日が快晴だったこともあり、かけがえのないよい思い出となっています。
学生時代の後期から社会人になって数年は山から遠ざかっていましたが、トレランに出会ったことで、山に行くことの楽しみに再び惹き付けられていくことになります。
その世界に引き戻された、とも言えます。
以来、トレランに限らず登山も再開し、山のことを考えない日はあまりない生活を送っています。
私にとってトレランは、新しい趣味であるにもかかわらず、ノスタルジーの心地よさを覚える遊びでもあります。

ただし、トレランを始めてからしばらくは、長距離のレースには、100マイルはおろか、ハセツネにすら興味がありませんでした。
高尾山天狗トレイルみたいなアットホームなレースが好きなトレイルランナーである私にとって、長距離かつビッグレースは別世界のような気がしていたのです。
しかし、鏑木さんのファンになってから、UTMFを毎年チェックしているうちに、ここで走る・この距離を走る、というのがどういうものか、段々と興味が湧いてきました。
他にも、参加した友人達が好成績をあげたり、番組の録画やDVDを何度もみたりしたことでも、気持ちが強まってゆきました。
また、FTR100Kで100kmを超える距離を経験できたことも大きかったと思います。
100kmは越える自信がついたら、次は100マイル。
100マイラーになりたい。
ポイントも充分に貯まっていたため、満を持してエントリーしたのがUTMF2016でした。

また、UTMFへの思い入れには、富士山への思い入れも大きな部分を占めると思っています。
私の育った埋め立て地は山とは無縁の環境ですが 、そんな中で唯一、ほぼ日常的に接する山がありました。
富士山です。
東京湾に向かって開かれた土地なので、晴れて空気が澄んだ日には西の方角、海の向こうに必ず見えていました。
私の家は団地の5階で、かつ前が野球のグラウンドで開けていたため、自室から見える富士山は素晴らしいものでした。
特に夕焼けに染まる富士山は何とも言えない絶景で、よく真っ暗になるまで飽きずに眺めていたものです。
人工海浜までくり出して見る富士山も格別です。
f:id:CHIKUSENDO:20170302214420j:plain
うっすらシルエットの富士山。
私にとって、富士山は唯一の身近な山でした。
私のUTMFへの憧れには、富士山に感じるノスタルジーが多分に含まれています。
富士山なら富士登山競争はどうなんだ、ということもあるかもしれませんが、私にとっての富士山はまず眺めるものとして記憶されています。
登るのではなく、眺めながら行きたい、だからラウンドレースに憧れるのです。

UTMFは、トレイルランニングと富士山という、私にとってノスタルジーの合わせ技一本なのです。
私のUTMFへの思い入れや憧れは、ほぼノスタルジーでできています。
私にとってノスタルジーは最強の感情であると思います。
ノスタルジーが最強だと思うのは、私のベースに組み込まれているものに直接働きかけてきて、それが巻き起こす感傷からは逃れようがないと思えるからです。
ノスタルジーに浸ることのデメリットはもちろんありますが、それもその感傷から逃れられないという特性によるものだと思います。
私は、いつかUTMFで100マイルを達成しないことには、私のトレラン生活を満たすことはできないとさえ、今は思います。
このとらわれは完全にデメリットでしょう。
もっと自由に考えていいはずです。
100マイラーになりたいのなら、本当はどんなレースでもかまわないはず。
でも、他のレースで100マイラーになれたとしても、UTMFへのこだわりが消えるのかは疑問です。
極端な話、UTMFなんかどうでもいい、究極には、トレランすらどうでもいい、と思える時がいつか来るのかもしれません。
でも、今はそう思えない。
この思い入れを燃やす機会は、恐らくUTMFでしかないのです。
また、UTMF2016のフィニッシャーベストには、125kmの宿題が残されています。
f:id:CHIKUSENDO:20170306204004j:plain
125km、それすら私には未踏の距離です。
その宿題も終えることができるよう、しばらくは精進の山行を重ねたいと思います。

完走率の低さで名高い奥三河パワートレイルにエントリーしてるので、まずはそこに向けての修行です。
その前に青梅高水30kmもあれば、板橋Cityマラソンもあります。
板橋Cityは今日ゼッケンとチップが届いてました。
参加賞Tシャツがまた増えてしまいました。
未だに膝が痛むので練習ができておらず、DNSも検討中なのに…。
やれやれ。
いつか山に行こ。

つらつらとSTYーUTMF2016余録4

UTMF余録も第4段です。
思い起こせば起こすほど書きたいことが出てきて、私自身の自己顕示欲と相まって筆が止まりません。
でもさすがにもう終わらせます。
STYには結局出場しなかったものの、当日富士山周辺にいたので動向は気にしていました。
そんな私にとってのSTY2016について、出てないけど、記しておきたいと思います。

前夜に短縮の短縮UTMF2016を完走したため、STY2016へのオープン参加資格を得ました。
UTMFのフィニッシュ後、サポーターの友人とも相談しましたが、心身ともに、また装備的にも走る準備が整ってないということで参加を断念しました。
心の面では、いきなりそんなの言われても…みたいな気持ちの準備不足と、フィニッシュしたことで一定の達成感があったことで、次の日にまたレースをする気になれませんでした。
身の面では、44kmしか走ってないとはいえ、その距離を精一杯走った疲れがあり、翌日に70km走れる自信がありませんでした。
また、心身双方、大雨による消耗が激しく、走れる状況になかったのでした。
装備面では、アンダータイツとカーフスリーブの替えがありませんでした。
他はドロップバッグに入れていたのでなんとかなったのですが、レースを通じて変える気がなかったその2点の替えはありません。
これが決定的でした。
洗えばいいだけの話なのですが、泥々でジャブジャブのトレイルを走ったカーフスリーブは、火山灰の真っ黒な砂でジャリジャリです。
アンダータイツも翌朝までには乾かないでしょう。
心身の準備が整わず、装備も充分でない、3ストライクアウト。
参加できる状態ではありませんでした。

翌日の午前中は、サポーターの友人がふじてんリゾートで開催されたトレラン大会に参加するというので、応援しに行きました。
短縮されてなければUTMF真っ最中でした。
友人はサポーターの合間に出る計画だったとのことで、そのタフさに感服します。
大会中は雨が断続的に降っていて、観戦したりランニングカメラマンの真似事をしたりしていた私は、雨具を上下着込んでました。
ふじてんリゾートは河口湖に近いので、この時点では、まさか、富士山の反対側まで激しい雨に見舞われているとは思ってもいませんでした。

その後、大池公園の会場に戻り、一通り見物と買い物を終えて、昼食、お風呂と、のんびりすごしていると、SMSに下記のような入電がありました。

「荒天の為15:02現在選手が到着した各エイドで一時中断します」15:07

回復すれば再開かななんて会話をして帰路に着いてすぐに、再度の入電です。

「大雨により、安全なコースの確保出来ない為、STY及びUTMFを中止します。
サポーターは選手と連絡を取り、エイドへ迎えに行って下さい。」15:55

この時点では、やはり出ないでよかった、という感想が強かったのです。
2日続けてどしゃ降りの中を走っていたら、やわなトレイルランナーである私は、しばらく社会復帰出来なかったことでしょう。
そんなことを車中で話しているうちに、だんだん、UTMFからオープン参加したランナー達はどんな思いでこの決定を聞いたのだろうと思うようになりました。
彼らにとっては、前日のUTMFが短縮で終わり、代替措置とも言えるSTYはスタート後の中止で、2日続けて天候に泣かされたことになります。
STY参加者にとっても、レースが成立しないで中止というのは、いくら天候のせいとはいえ、どんなに無念だっただろうかと思います。
でも、2日続けてあの悪天候のレースに挑んだランナーは、UTMF史上一番の猛者であると思います。
同じく、中止になるほどの悪条件を乗り越えたSTY参加者もまた猛者であると思います。
そんな猛者達が無事でよかった、本当に思います。

この記事を書いているうちに、先行予約で注文していたUTMF2016のDVDが届きました。
f:id:CHIKUSENDO:20170226170737j:plain
映像は雄弁で、STYのコースが私の想像以上にひどい状況だったことがわかりました。
「マラソンジャンキー」の小野さんが撮った映像では、山肌を濁流が流れてコースを横切っていたり、コース自体が沢のように水の通り道になっていたりと、とてもじゃないけど、安全に走れる状況になかったことが見てとれます。
そんななかでも、レース後からYoutubeに上がっていましたが、涸れ沢が激しい濁流と化している衝撃的な映像は、そのひどく危険なレースを象徴していたと思います。
しかし、こんなに危険な状況に直面しても、それを乗り越え無事に帰還できた全てのランナーに、心からの敬意を覚えます。

私もトレランを続けていく限りは、いつかこうした悪天候に対峙しなくてはならない日が来るのかもしれません。
でも、どんなときも無事に帰ってくることができるように、自律した登山者かつ強いトレイルランナーでありたいと思いを新たにしました。
精進です。

装備雑感ーUTMF2016余録3

UTMF2016余録第3段です。

まだ書き足りないんかい、という突っ込みもあるかもしれませんが、やはり書き足りないのです。

 印象に残ったものだけでも書きたいと思います。


装備面では、まずはおなじみのスポルティバミュータント。

悪路の走破性はもう最高だと思います。

44kmの間、3分の1くらいは悪路といってよかったと思いますが、無事に一回もこけることなくフィニッシュできました。

泥でのグリップがよいのと、クッションとプロテクションのよさで、色々な衝撃への耐性が強いのが魅力的です。

私のなかで、この先しばらくはNo.1の靴だと思います。


また、私はいつもハセツネでパールイズミのサイクルジャージを着て走っています。

エイドでの食糧補給がないため、より多くの補給食を運ぶための選択です。

サイクルジャージには背中にポケットがあるので、そこに補給食や頻繁に出し入れするものを入れています。

UTMF2016でも前半と後半で2枚のジャージを用意しました。

100マイルの長丁場が初めてだったので、余裕をもって臨みたかったのです。

ただ、今回は短縮レースに対応するためにジャージの食糧を抜きすぎてしまった結果、空腹に苦しむことになりました。

これは単なるアホです。

サイクルジャージを着るレースは限られてますが、次回への自戒です。

シャレも上手くない…。

パールイズミのジャージは長袖も持っていて、こちらはFTR100Kで2年続けて着用しています。

これからも有効に着ていきたいと思います。


今回のUTMF2016で一番感心したのは、サロモンの雨具、ボナッティジャケットです。

恐らく2014年の上越国際で旧モデルで半額みたいな感じでした。

レインジャケットは2枚をローテーションで装備していて、後から買ったノースフェイスのジャケットはよく雨のレースに当たってます。

しかし、ボナッティはなかなか雨のレースに当たらず、今回が初めてと言えるでしょう。

ボナッティは前面ファスナーの上の方にボタンがあり、ファスナーを開放したままでもぐちゃぐちゃにならないという長所があります。

また、ストレッチ性が高く、ザックを背負ったままファスナーを閉めても苦しくないという発見がありました。

特にワンサイズ上げたものを選んでいるわけではなく、ジャストサイズなのにです。

全部閉めるときついのですが、胸まで上げる分には問題ありませんでした。

UTMF2016では、A2出発直後のシャワーのような雨に対応するためにファスナーを閉めましたが、ザックを背負ったままでできたのはストレッチ性のおかげだと思います。

購入してから3年目にして、初めて気づいた長所でした。

今後は雨のレースに積極的に装備していきたいと思います。


f:id:CHIKUSENDO:20170224232806j:plain

これからも頼りにしています。